立憲民主党つながる本部は3月11日、「ニセ・誤情報氾濫時代~民主主義をメディアリテラシーで守れ!」と題し、白鴎大学特任教授の下村健一氏をお招きしてオンライン勉強会を開催しました。

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 東日本大震災発生の日にあたるこの日の勉強会開会にあたり、あいさつを行った辻元清美・つながる本部長代理は、自身が総理補佐官として震災対応に当たった際、「水と食料と『情報』を届けることがいかに重要かと考えた」と当時を振り返りました。そして、ニセ情報や人を分断するような情報を見抜き、正確な情報をどう伝えるかが今日の勉強会のテーマだと述べました。

 講演で下村氏は、情報を見極める眼力をつけるためのメディアリテラシーを広める活動に長年取り組んできた原点のひとつが14年前の東日本大震災だったこと、当時内閣広報室審議官として首相官邸にいたが、発災直後のノートに『正確な情報が枯渇するとどうなるか』、『冷静になることの大切さ』を物語る象徴的な言葉を書き留めていたことを語りました。そして、「当時は原発が、今は民主主義がメルトダウンしようとしているから焦っている。なんとかメディアリテラシーでこの危機を脱却したい」と現在の活動への思いを語りました。

 ニセ・誤情報が氾濫する現状を下村氏は、「偏った情報しか通さない『フィルターバブル』によって、似た情報ばかりがこだましてほかの情報は入ってこない」と述べ、「原始時代以来人間は情報を「真か偽か」で判断してきたが、ここ数年で「快か不快か」に変わった。人間が情報交換を始めて以来の大転換がここ数年で起きている」と分析し、「これを放っておくと差別も分断も進み、衝突へとエスカレートしていく」と危機感をあらわにしました。

ニセ・誤情報の氾濫を食い止める4つのおまじない
 それを食い止めるにはどうするか。下村氏は、未確認情報が手元に来た時の対応として以下の四つのおまじないをつぶやくことをあげました。
①「まだわからないよね」(即断しない)
知らない情報はすぐに拡散せずに一旦立ち止まってみる。わからない情報が来たら逆の検索をしてみる。例えば「大地震がくる」というネット情報が来たら「大地震・来ない」でネット検索をしてみる。
② 「意見・印象じゃないかな」(鵜呑みにしない)
情報はたいがい事実描写に加えて、それを言っている人の意見や印象が混じっている。意見・印象っぽい部分と事実っぽい部分をきちんと分けること。
③ 「ほかの見え方もないかな」(偏らない)
情報を様々な立場(他国や他者、自然界の動物等々)や様々な角度(上から下から左右から等々)から見る。
④「隠れているものはないかな」(中だけ見ない)
情報はすべてスポットライトである。周囲に必ず暗がりがある。そこにどんな情報が隠れているかを確認する。
そしてこの、「即断しない」「鵜呑みにしない」「偏らない」「中だけ見ない」の4つの頭文字を取って「ソ・ウ・カ・ナ」をつぶやいてみることで、ネット上に不明確な情報が出てきても踏みとどまることができると語りました。

親しい人が不確かな情報を信じてしまったらどうするか
 親しい人が不確かな情報を信じてしまったらどうするか、というよくある質問に対して下村氏は、「No, Butを言って、相手を否定したり傷つけたりせず、Yes, Andでいったん受け入れて『こういう説もあるよね。一緒に調べてみようか』というところに持っていく。相手の窓を広げてお互いに同じ景色を見れるようにする。これができないと自動的に分断は固定されてしまう」と述べました。

発信の際に注意する4つのポイント
 発信の際はどうするべきか。下村氏は以下の4点をあげて説明されました。
①早すぎない?→決めつけてないか。
②つまり何?→自分の言っていることの趣旨を明確に。
③キツくない?→誹謗中傷していないか。
④理解できる?→この言葉で伝わるか。内輪の言葉や専門用語を使っていないか。
4つの頭文字を取って「ハ・ツ・キ・リ」を確認すること、特に3点目の誹謗中傷は、自由な意見表明を委縮させて民主主義の最大の脅威になっており、これは本当に止めなければいけないと強調されました。

 最後に下村氏は、「『ソ・ウ・カ・ナ』と『ハ・ツ・キ・リ』がマスターできれば、これからさらにどんな情報ツールが出てきても、AIがどこまで進化していっても、情報洪水には溺れない、民主主義の守り手になることはできる」と述べお話を締めくくりました。

 この日の司会進行はつながる本部事務局長の渡辺創衆院議員が務めました。

 ご参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました。

 立憲民主党つながる本部では、今後もシリーズ「選挙に大集合!」と称し、みんなで選挙を盛り上げ参加しやすくするために、さまざまな企画を開催してまいります。