参院本会議で3月14日、「令和7年度地方財政計画、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案」及び、「地方交付税法等の一部を改正する法律案」が審議入りし、古賀千景議員が会派を代表して質問に立ちました。予定原稿は以下の通りです。
「令和7年度地方財政計画、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び、地方交付税法等の一部を改正する法律案」に対する代表質問
立憲民主・社民・無所属 古賀千景
立憲民主・社民・無所属の古賀千景です。私は、ただいま議題となりました「令和7年度地方財政計画」、「地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案」及び「地方交付税法等の一部を改正する法律案」につきまして、会派を代表して質問いたします。
冒頭、官房長官にお聞きします。
昨夜、驚愕すべきニュースが飛び込んできました。石破総理が、3月3日に公邸で行った自民党の新人議員15人との会合を前に、商品券10万円相当を配っていた事実が発覚したのです。
総理は昨夜の緊急会見で、違法性がないことを強調し、問題はないと開き直っておられましたが、総理が公邸で、官房長官・副長官も同席して開催した会合が、政治活動ではなかったと言えるのか、また、10万円もの商品券が「社交儀礼の範囲内」と認められるのか、はなはだ疑問です。政治資金規正法第21条の2に抵触する疑いがあると考えますが、官房長官の説明を求めます。
併せて、官房長官はこの10万円商品券の配布をご存知だったのか、あるいはいつ知ったのか。夜の会合の場では話題に出なかったのか、ご存知だったのであればなぜ止めなかったのか、ご答弁下さい。
総理は、ご自身の私費で賄ったと説明されています。しかし、総額150万円もの費用をポケットマネーで支払われたというのもにわかには信じがたく、官房機密費が使われたのではないかとの疑念も生じています。官房長官、官房機密費からの支出があったのかなかったのか、明確にご答弁願います。
「政治とカネ」、「自民党とカネ」に対して国民の厳しい目が注がれ、今まさに政治改革の議論がなされている中、このような行為は国民にさらなる政治不信と深い失望感を与えるもので断じて看過できません。石破総理内閣として道義的責任はまぬがれえないと思いますが、官房長官の見解を求めます。
次、に軽油引取税の「当分の間税率」について伺います。
原油価格の高騰、円安の影響等により、ガソリンや軽油といった燃料の高騰が国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしています。
令和6年12月11日、自由民主党、公明党及び国民民主党の幹事長間で、「いわゆる『ガソリンの暫定税率』は、廃止する」「具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める」とされ、その後決定された「令和7年度与党税制改正大綱」には「自由民主党・公明党としては、引き続き、真摯に協議を行っていく」とあります。しかし、政府が提出した税制改正法案には「当分の間税率」の廃止は盛り込まれておりません。そこで、立憲民主党は、揮発油税及び地方揮発油税並びに軽油引取税の「当分の間税率」を廃止するとともに、地方公共団体の減収分を補塡するために必要な措置を講ずることなどを内容とする修正案を、国民民主党とともに提出しましたが、残念ながら否決されました。
ガソリンや軽油の価格を下げ、事業者の負担を軽減するとともに、国民の生活を守るため、一刻も早く「当分の間税率」を廃止すべきと考えますが、軽油引取税の「当分の間税率」の廃止に向けた村上総務大臣の前向きな答弁を求めます。
次に、国と地方の税源配分の見直しについて伺います。
言うまでもなく、我が国における住民への身近な行政サービス提供の担い手は地方公共団体です。国と地方を通じた歳出のうち、社会保障、教育、社会資本整備など、住民に身近な行政サービスに関連する経費の多くは地方公共団体を通じて支出されています。しかし、国と地方の歳出比率がおおむね「4:6」であるのに対し、税源割合はおおむね「6:4」となっております。この税源配分の見直しについて、平成21年11月の地方分権改革推進委員会第4次勧告は、国と地方が対等・協力の関係にあることを考慮し、「5:5」を今後の改革の当初目標とすることが適当であるとしましたが、勧告から15年が経過した今も、大きく変わっておりません。地方の担う事務と責任に見合った地方税財源の充実確保を図るためには自主財源である地方税の充実が重要です。
税源配分の見直しを行うべきと考えますが、政府として引き続き「5:5」を目標にしているのか、また、目標としているのであれば、いつまでに実現させるのかを含め、村上総務大臣の明確な答弁を求めます。
次に、地方の債務の現状について伺います。
令和7年度においては、地方の一般財源総額及び地方交付税について前年度を上回って確保しつつ、臨時財政対策債が発行されないこと、交付税特別会計借入金の償還額が増額計上されることから、地方財政の健全化が図られる点は評価いたします。一方、令和7年度末時点の見込みで、地方財政は171兆円程度と、地方が巨額の借入金残高を抱えていることに変わりはありません。昨今の金利上昇による利払費の増加に加え、今後はインフラの老朽化対策や防災対策などで建設地方債が増加することも想定されます。
そこで、村上総務大臣に、現在の地方財政の状況についての率直な認識を伺うとともに、今後の見通しと健全化に向けた具体的な取組について伺います。
今、地方では、過疎化と高齢化が同時進行しており、高齢者世帯、とりわけ低年金の高齢単身女性世帯の安心をいかに守っていくかが、自治体にとって大きな課題となっています。そんな中、昨年の財政検証において、現行制度のままでは、将来、基礎年金が3割カットになる恐れが明らかになり、当事者はもとより、高齢者福祉サービスの担い手である地方自治体の財政にも大きな影響を与え得る問題として、先送りは許されず、早急に法改正によって対策を講じることが求められています。
だからこそ、年金制度改革法案は、与野党が合意して重要広範議案としているわけですが、極めて異例・遺憾ながら、今日までとされていた閣議決定の締め切り日に間に合わないことが明らかになりました。政府・与党の大失態であり、極めて無責任です。厚生労働大臣は、引き続き提出に向けて努力していると述べていますが、重要広範議案として、衆参それぞれで十分な審議時間を確保し、充実した審議を行う必要があることを考えれば、おのずと国会提出のデッドラインは決まってくるはずです。よもや、提出を断念することはないと思いますが、必ず国会提出するのか、いつまでの提出を国会に約束するのか、厚生労働大臣に明確な説明答弁を求めます。
次に、地方交付税の法定率と臨時財政対策債について伺います。
現在の地方財源不足に対する対応は、財源対策債の増発等を除いた残余について、国と地方が折半して補塡することとし、国は一般会計の歳出を加算して地方交付税を増額し、地方は臨時財政対策債という地方債を発行することにより補塡するというものです。この折半ルールは、当初、平成13年度から3年間の臨時措置として導入されましたが、その後も延長が続き、令和7年度末時点の見込みで臨時財政対策債の残高は約42.3兆円と依然として巨額なものとなっております。
現行法では折半ルールは令和7年度まで継続することとされており、令和8年度はルールを見直すタイミングですが、臨時財政対策債について、村上総務大臣はどのような方針で交渉に臨むおつもりでしょうか。
同様に加藤財務大臣はどのような方針で交渉に臨むおつもりでしょうか。
また、地方交付税の法定率の引上げについてお伺いいたします。
総務省は、令和7年度予算概算要求に際し、地方交付税の法定率の引上げを事項要求しましたが、今回も引上げは見送られました。
令和7年度においては税収が増加見込みであることを反映して財源不足が縮小し、臨時財政対策債の発行が平成13年度の創設以来初めてゼロとなりました。しかし、それでも地方の財源不足は1兆929億円と巨額であり、地方が巨額の借入金残高を抱えていることに変わりはありません。地方の財源不足に対しては、地方交付税の法定率の引上げなど、本来の姿に立ち戻り対処すべきであり、臨時財政対策債を始めとする特例措置に依存しない、持続可能かつ安定的な制度の確立を実現するべきです。
令和8年度予算概算要求に当たっても、これまでと同様に、法定率の引上げを要求すべきと考えますが、法定率の引上げに向けた村上総務大臣の決意をお伺いいたします。
また、加藤財務大臣には地方交付税の法定率の引き上げに関しての所見をお伺いいたします。
次に防衛力強化のためのたばこ増税について伺います。
令和7年度税制改正大綱で、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置として、防衛特別法人税の創設と加熱式たばこの課税方式の見直しが盛り込まれています。
特に加熱式たばこの増税については、不足する防衛力強化のための財源確保と、紙巻たばことの税負担の格差解消が目的ですが、「取り易いところから取る」という安易な増税議論であると言わざるを得ません。
たばこの販売数量は近年、減少傾向が続いており、増税で税収が増えるという想定は考えづらく、むしろ増税による価格の上昇も相まって、税収は減少すると想定するのが自然ではないでしょうか。
防衛力強化という国民全体に関わる費用負担を、喫煙者という特定層のみに課すことは、税の公平性を欠いていると言わざるを得ません。
安易に国民負担を求める防衛増税については、断じて認めることはできません。国民の理解も得られていない、合理性・公平性も著しく欠いている防衛増税については撤回を決断していただきたいと思いますが、加藤財務大臣にご見解をお伺いいたします。
次に、教職調整額について伺います。
教員の長時間勤務が課題となっているところ、教員に優れた人材を確保するため、処遇改善を図ることとされ、約50年ぶりに教職調整額の微々たる引上げが行われることとなりました。文部科学省は概算要求の時点では今4%の教職調整額を一気に13%に引き上げることを要求しておりましたが毎年1%ずつ6年かけての10%にとどまったことは非常に残念です。義務教育に係る教職員の給与費については、3分の1が国の負担ですが、残りの3分の2や一部の手当等は地方負担となっており、また、公立高校等の教職員の給与費については全額が地方負担であることから、教職調整額の引上げが行われる場合の負担増は国よりも地方の方が大きくなります。地方公共団体が、教職調整額の増加分を賄うため、他の教育予算を削減しなければならないような事態は絶対に避けなければなりません。令和7年度の地方負担については、全額地方財政計画の歳出に所要額を計上し、必要な財源を確保することとされております。
令和8年度以降も、地方負担の増について、全額を地方財政計画の歳出に所要額を計上し、必要な財源を確保することを、村上総務大臣に明言していただきたいと思います。
国がなかなか教育予算を上げませんので、地方に負担をかけることとなっています。政府も「公教育の再生」と言っているので理解いただいていると思いますが、これから日本を背負う子どもたちの為にも財源の確保をよろしくお願いいたします。地方公共団体が地域の実情に応じた独自の施策を円滑に実施することができる、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するためには、臨時財政対策債等の特例措置に依存しない、自立した安定的な財政運営が可能となる地方税財政システムの確立が必要不可欠であります。
社会保障関係費を始め増大が見込まれる地方の財政需要に対し、地方税、地方交付税を始めとする一般財源総額を充実確保するため、国から地方への税源移譲、地方交付税の法定率の引上げ等の抜本的な対応によって地方公共団体の基礎体力を高めていく必要があることを申し述べて、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。