長妻昭代表代行は3月17日、定例の記者会見を国会内で開催。(1)総理の商品券配布問題(2)年金改革(3)AIの脅威――等について発言しました。

 長妻代表代行は冒頭、石破総理大臣が自民党の新人議員に商品券を配布していた問題に言及、「内閣支持率も急落し、国民の皆さんの不信も高まっている。汚名を返上する唯一の方策は企業・団体献金禁止の法案賛成に舵を切ること。方針転換を期待したい」と述べました。国会図書館の調べによると、先進国38カ国中17カ国と約半分の国は企業・団体献金を禁止していると指摘。「私も(企業・団体献金が)政治を歪めている現場を数多く見て、感じてきた。ここで決着をつけなければ、またこの問題は雲散霧消して、10年、20年、30年、また何にも変わらないことになりかねない」と、石破総理の決断を求めました。

 加えて、自民党議員が「歴代の首相が慣例として普通にやっていたこと」と発言したことについて、「自民党の常識は国民の非常識。自民党の体質は直らない」と断じ、「政権を代えて政治とカネの問題や経済、社会保障について、誰の代弁をする政治なのかを大きく変えていかなければいけない」と力を込めました。

 年金問題に関しては、「就職氷河期世代以降の方々について、基礎年金の実質価値が3割下がるという由々しき事態であることが、昨年の財政検証で発覚した。何らかの手を打たなければいけない」と強調。「基礎年金の目減りを一定程度防ぐには、マクロ経済スライドを国民基礎年金と厚生年金で合わせなければいけない。ただ、その時に2040年までに亡くなられる厚生年金受給者の方は、ルール変更によって年金額が減らされてしまうので、そういう方々への手当をセットで行わなければいけない。数カ月前から何度も自民党幹部や、厚労省に求めているが未だに法案が出て来ていない。条文の詳細が詰められていないと聞いて驚いているが、全容を見た上で3割目減りを何とか解決するために、与野党力を合わせて議論して、より良い制度にしていきたい」と述べました。

 高額療養費をめぐっては、福岡厚生労働大臣が2010年6月23日のブログで「私は高額医療費の上限負担を引き下げ、大きな病気の方の負担も軽減していきます」と書いていたことを紹介。「下げるどころか7割アップの方針を飲んでしまったことは整合性が取れないのではないか」と問題視しました。

 また、歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリさんが同日、東京大学で講演することに関連し、「私もAIの脅威を強く感じている。日本の規制が非常に遅い、後手に回っていることに不安を感じている。われわれとしても取り組まなければならない」と発言。「人類滅亡の危機は、気候変動、核兵器、あるいはパンデミックなどと言われていたが、その中でも今後最も脅威になるのはAIになるのではないか。もちろん人類のために有益に使う、コントロールをする規制をあらかじめ作っておけばそうはならないと思うが、このままでは非常に急速に大変由々しき事態になるのではないか」と危機感を表明しました。

 石破総理ら閣僚計14人の政党支部が受けた個人献金のうち、政治資金収支報告書の寄付者の住所欄にその人物が代表などを務める企業や団体の所在地が記載されていたという一部報道について問われると、「外形的に個人献金を装っていても実質的に企業献金であればアウトというのが総務省の見解。そういう状況なのか、実態解明が必要だ」と述べました。