野田佳彦代表は3月19日、衆院農林水産委員会で質疑に立ち、(1)総論(食料・農業・農村基本法、基本計画について)(2)食料安全保障(3)食料安全保障と農業基盤強化(4)中山間地等の条件不利地に対する直接支払い(5)食料安全保障支払/農地維持支払(6)農村政策/多様な経営体の必要性(7)米政策(8)予算の確保――について取り上げ、特に、食料安全保障や農地維持に関する具体的な支援策の重要性を訴えました。

 野田代表は冒頭、昨年成立した食料・農業・農村基本法に言及、議論のなかで立憲民主党からのさまざまな提案が一顧だにされなかったとして、「基本法は、農政の憲法と言われるだけに、全ての会派が賛同し、送り出す形が本来の形であった。今回の基本計画については、わが党もいろいろな提案を出したいと思うが受けていく構えを持っているのか」と質問。江藤農水大臣は、基本計画に関し立憲民主党から37項目の提案があったことに触れ、「3月31日までに決定するのが通例だが、議論が足りなければ4月に入ってもさらに議論を進めた上で、それぞれの党が納得する落としどころを見つける努力をしたい」と答えました。

 野田代表はその上で、食料安全保障について「政府は平時・有事を問わず、食料供給の安定を確保すべき」だと主張。生産者のみならず、消費者や食品製造、流通、小売り等の視点も含めた支援の必要性を強調しました。

 食料供給困難事態対策法に関しては、農業者に対する罰則の重さを問題視。「農業者の思いに立てば罰金を過料に変更する等のことが必要なのではないか。他の野党とも相談した上で改正案として国会に提出したいと考えている」と述べました。これに対して江藤農水大臣は、自民党内でも刑事罰は重すぎ行政罰の方がいいのではないかと議論があったが、法務省と密に連絡を取り合い、法律の整合性をとることが必要となったと説明し理解を求めましたが、野田代表は「農業者の立場に立ってむしろ法務省を説得することくらいのことをやってほしい」と求めました。

 野田代表はまた、農地の維持のために、農地に着目した直接支払い制度の導入を提案。「中小家族経営を含め多様な農家を展開されることがこの国の農業の豊かさにも通ずる」と述べ、条件不利地域(中山間地)の農業継続に向けた適切な支援や、多様な経営体に対し多様な形での支援が必要だと主張しました。こうした提案に対し江藤農水大臣は「全く同意」を連発しました。

 政府が打ち出した米の大幅な輸出拡大の方針については、国内需給の調整弁としての機能に疑問を呈し、農業者の経営には痛手となる懸念もあると指摘。生産費と米価に乖離(かいり)が生じる場合には適切な所得の補償がなされるべきとの考えを示しました。

 予算の確保をめぐっては、各省別予算で自身が財務大臣を務めていた15年前には農水省4兆円台、防衛省と文科省は約5兆円で横並びだったものが、今では防衛省は8兆円規模に右肩上がり、教育関係は横ばい、一方で農水省は約2兆円と食料安全保障は右肩下がりになっていると指摘。「これで農は国の基とは言えない状況」だと述べ、政府全体での財源の確保にも努めるべきだと迫りました。