野田佳彦代表は6月11日、今国会3回目の国家基本政策委員会合同審査会で石破総理と物価高対策について党首討論を行いました。
野田代表は「日曜日から『物価高から、あなたを守り抜くキャンペーン』を始めた」と述べ「食料品、日用品の値段が高止まりし、直近の4月は生鮮食品を除く物価高指数は3.6%。G7サミットの参加国と比して、先進国第1位のインフレ国が日本。民のかまどの煙が立ち行かなくなった。深刻に受け止めるべき」と指摘しました。
しかし、石破総理は「店頭に2000円のお米が並ぶようになった」「ガソリンは、直近では172円」等と述べました。
野田代表は「米の取り組みはわかるが、全体の現在進行形の対応は遅すぎる。感度が悪い」と批判しました。
野田代表は「食料品の値上げが心配。4千品目以上の、エンゲル係数が28年ぶりの高い数字。所得の低い方はもっと割合が高くなる。食料品に着目した物価高対策が必要と考えて、食料品については8%の消費税をゼロ%にするという政治判断をした。社会保障と税の一体改革を進めた当事者だが、決断をした。それだけ、食料品の問題は深刻だと考えている。単なる減税ではなく、所要額には責任ある財源を明示してある。期間も区切っている」と立憲民主党の考えを述べました。
石破総理は、立憲民主党の提案について「時間がかかる」「消費税の特徴」「システム改修」「社会保障の財源」など等をあげて「賛同いたしかねる」と述べました。
野田代表は「理想形は給付付き税額控除。中低所得者に恩恵があるのは、給付より給付付き税額控除。一つの解であると石破総理も前回お話をされた。この肝は所得の把握。その制度設計をしていきたい」と述べました。そして「それまでの間、超臨時的措置としての食卓おうえん給付金は、食費の高騰で困っている人を助ける唯一の道。一律2万円。2人だと4万円。1年間で2人以上の世帯でお米代は3.8万。3段構えで考えている。選挙のためではなく3段構え。自民党は給付を数兆円単位で掲げるそうだが、それこそ、制度設計もわからない。秋の補正でばらまきをする。具体的に物価高対策をどうするか答えてほしい。立憲民主党の案に代わる提案があるなら聞かせてほしい」と石破総理に詰め寄りました。
石破総理は「給付付き税額控除が1つの理想形であることは否定しない。どういう順番でやるか」「賃金上昇を訴えてきた」と答えました。
野田代表は「今までやったことの総動員の説明をしているだけで、効果が上がっていないのではないか。政府は無策だ」と批判しました。
また、野田代表は、ガソリン価格を引き下げる暫定税率の廃止法案を野党7党で共同提出したことをあげ「7党が提出したことを重く受け止めるべき」と訴えました。
石破総理が財源の問題等を指摘したことに対して、野田代表は「財源は捻出できると申し上げる。0.8兆円の財源を死に物狂いで探さないやる気はない。物価高対策も先送り。選択的夫婦別姓も、石破総理は本当は賛成でしょう。課題は分かっているが先送り。石破政権は無策が特徴」「批判ばっかり。どっちが野党かわからない」と石破総理の姿勢を批判しました。
党首討論終了後に国会内で記者団の取材に応じた野田代表は、物価高対策を中心に置いた狙いについて、「『物価高から、あなたを守り抜く』、とキャッチコピーを決めた。今最も重要な課題であり、夏の参院選挙でも1番大きな争点だと思う。この物価高で政府・自民党とわれわれの差がどこにあるかをご覧いただければと思って、中心的に扱った」とコメント。政府・自民党との違いとしては、「(石破総理は)いろいろおっしゃるが、今起こっていることへの対応は、現時点ではないということ。昨年度の補正予算、今年度執行中の予算に込められているものを見てくれという話であって、それでは足りないというのがわれわれの問題意識。報道に出た、(自民)党で検討している一律給付の話も、政府としては考えていないと言ってまさに無策だ」と断じました。
討論のなかで石破総理に対し「批判ばかり」と批判したことには、「われわれが一つの政策決断をして世に提示することには、批判もリスクもたくさんある。私も減税と言うとコアの支持層からは『野田は筋を通さないのか』と批判を受けている。でも決断したことは着実に説明をして、実行するのが政治家の役割。全然何も決断しようとしないところに今日はむしろいらだちを感じた」と述べました。ガソリン価格を下げる暫定税率の廃止をめぐっては、7党派が共同提案した事態に対しての認識が浅すぎる。7党が集まると、昨年は政策活動費を廃止に追い込み、前農林水産大臣は事実上更迭された。7党が固まることの大きさをよく分かっていない。本来は廃止で一致しているはずなのに、時期の問題や財源の問題を言っている。0.8兆円の財源はひねり出していくべき。衆院で通過したら参院で否定するのか。本当に争点になるが、そういう覚悟があるのかと思いながら聞いていた」と述べました
関税をめぐるやりとりについては、「範囲の絞り込みがきちっとできていないから何合目まで来ているかも分かっていないのではないか」「原理原則として守るべきものは何かを明らかにしながらやっていくべきだと思うがそれが見えない」などと指摘。第1次トランプ政権の時は、先行したTPP11の合意がてこになって日米貿易協定で高い自動車関税を避けることができたと述べ、「バイの会談ばかりでマルチの使い方が全然できていない。てこの使い方が全くできていないのではないか」と述べました。