立憲民主党・農林水産キャラバン隊(隊長・田名部匡代参院幹事長)は6月23日から24日、岡山県の津山市、真庭市、岡山市、倉敷市を訪れました。
今回のキャラバンには、事務局長の徳永エリ参院政審会長、くにともさよ岡山県参院選挙区第1総支部長、鳥井良輔岡山県議会議員、高原俊彦岡山県議会議員(くにともさよ事務所参院選挙対策本部本部長代行)、柿本健治岡山県第3区総支部作州支部幹事長(元真庭市議会議員)らが参加しました。
一行は、23日に、津山市のJAおからく(おかやま酪農業協同組合)、真庭市のJA晴れの国岡山(晴れの国岡山農業協同組合)真庭統括本部を順次訪問、農林水産キャラバンの取組を紹介し、食農支払制度(食料確保・農地維持支払制度)、新たな新規就農対策を中心に立憲民主党の農林水産政策の概要について説明を行いました。続いて、真庭市の農事組合法人やこうげを訪問、水田、ため池等を視察した後、意見交換を行いました。
24日には、岡山市のくにともさよ事務所に立ち寄った後、JF岡山漁連(岡山県漁業協同組合連合会)、倉敷市のJA晴れの国岡山本店、岡山市のJA岡山(岡山市農業協同組合)、JA岡山中央会(岡山県農業協同組合中央会)を順次訪問、農林水産キャラバンの取組を紹介し、食農支払制度、新たな新規就農対策を中心に立憲民主党の農林水産政策について説明を行いました。
また、岡山市の株式会社JA岡山、岡山県農業会議、JA岡山厚生連(岡山県厚生農業協同組合連合会)、JA全農くみあい飼料株式会社西日本事業本部中国支店、農政記者クラブ(山陽新聞社)、一般社団法人岡山県畜産協会を訪問し、立憲民主党の農林水産政策の概要について、簡明な説明を行いました。
■農事組合法人やこうげを訪問、水田、ため池等を視察、意見交換(真庭市)
一行は、全域が中山間地域に位置付けられている真庭市の農事組合法人やこうげを訪問しました。
農事組合法人やこうげは、平成14年、経営体育成基盤整備事業によるほ場整備に合わせて設立された任意組合・焼芝(やこうげ)営農組合を、平成19年に導入された品目横断的経営安定対策(現経営所得安定対策)の対象となるため、同年、法人化した集落営農組織で、認定農業者にも認定されています。現在、61戸の農家が構成員となり、農用地の利用権設定による水稲・大豆・野菜栽培、水稲基幹作業受託を行っています。
同農事組合法人が耕作する水田、利用している農業用ため池及び水田用揚水ポンプを視察した後、意見交換を行いました。
意見交換では、まず、農事組合法人やこうげ代表理事より、概要説明を聴取しました。
次いで、徳永事務局長から、「農林水産キャラバンを全国で展開しており、その一環としてこちらにおじゃました。昨年は食料・農業・農村基本法の25年ぶりの改正、今年は基本計画の見直し。農業待ったなしの状況。危機感を持って国会で議論している」「戸別所得補償制度が本当に良かったとの声を聴いている。今の農業現場の課題に向き合った直接支払にしていかなければならないと議論した。開発圧力によりどんどん減っている農地をどうしたら守れるか、食料自給率38%、温暖化により世界中で農作物に被害が出ている中、いずれ危機的な状況が訪れるのではないかという問題意識を持って、農地を農地として利用していくことに交付金を交付する食料確保・農地維持支払制度を取りまとめ、提案させていただいている。全国農協中央会、全国農業会議所とも意見交換を行った。いい制度だと思うので、ぜひ実現に向けて頑張っていただきたいとのご意見もいただいている。細かいところで今後修正しなければならない部分があるかもしれないが、制度の実現に向けて頑張っていきたい」「これまでは、立憲民主党がいくら農業政策を打ち出しても実現するわけはないという感じであったが、衆議院で与党が過半数割れをした。令和7年度予算案が衆議院で修正され、参議院で再修正の上、衆議院に回付され成立した。これは憲政史上初。法案に対しても我々は修正案を出し、かなり取り入れられた」「参議院は政権選択の選挙ではないと言われてきたが、緊張感をもって選挙戦に臨みたいと思っている」「このまま小泉農水大臣に任せていたら大変なことになる。農水省も相当疲弊している。米価を下げることで、農業のことを分からない一般消費者が喜んでいるので、二日に一度新しいことをやれと官邸サイドから話が出ているとのこと。『農協が手数料を取って中抜きしているのではないか』、『精度が良くない統計はやめろ』、『概算金をやめろ』と議論もないまま、とんでもないことをやっている。参議院選挙後も小泉農水大臣が続投となると、農協解体、企業参入がどんどん進んでしまうのではないかと危惧している」「我々も農村を回って、現状の危機感を皆さんにお伝えし、私たちの政策が実現できれば、農家の皆さんが安心して再生産できる環境が整うことをお伝えさせていただいている」との発言がありました。
次いで、徳永事務局長から、食農支払制度、新たな新規就農対策の説明を行い、「農林水産政策大綱(改訂版)」を配付しました。
また、「国会の景色が変わってきた。参議院の任期は6年。参議院の独自性を発揮していかなければならない。これからは、政党ののりをこえて、わが国が抱えている重大な課題に関しては、しっかり議論し、政府に対して迫っていく力を持った集団を作っていかなければならない。先日、超党派の『農業の未来を創造する議員連盟』が立ち上がった。同議連の呼びかけ人をしており、頻繁に議論をし、政策要求を政府に対してしていく、視察も超党派で行おうという話もしている。選挙を通して、野党の数を増やさせていただき、与野党ののりをこえた議論、政策提言を実現させていきたい」と述べました。
次いで、くにともさよ総支部長より、「現場を見させていただくことが、政策を考える大きなきっかけとなる。現場を歩いて直接声を聴いて形づけていくことをポリシーとしている。机上の空論だけでなく、現場で頑張っていらっしゃる方を支えたい。中山間地域については勉強中。皆さんから課題をお聞かせいただきたい」との発言がありました。
参加した農業者から、様々なご意見がありました。
まず、小泉農水大臣への不満の声があがりました。
「日本の農業政策はYES・NOの『NO政』だと言われてきた。農水大臣は消費者米価中心で考えている。生産者のことをどこまでわかっているのか。もっと勉強してほしい。年間20日しか使わない農機具に2千万円使うよりもリース、レンタルの方がいいとか、しょうもない発言が次々ある」
「小泉農水大臣をここに連れてくればいい」
立憲民主党農政への期待が寄せられました。
「『食』と『農』という形で新たな直接支払制度を研究していただいたことはうれしい。生産者も消費者も含めて、今後の農業、米価をどうあるべきかを考え、持続可能な中山間地域、食べていける農業を中心にした政策を打ち出していただきたい」
「今の国会状況をみれば、いろんな法案が次々と修正されている。この食農支払の話も夢物語ではない。現実的な話として我々は受け止められる。この制度、政策をもっともっと進めていただきたい」
中山間地域農業の在り方について、様々な指摘がありました。
「中山間地域は条件も厳しいが後継者問題も厳しい。営農組合も団塊の世代が中心で、その次はどうなるのか、という状況。魅力のある、中山間地域でも生きていける、兼業農家が中心となっている中山間地域の農業の在り方を含めた政策を打ち出していただきたい」
「この地域では、ほ場を大きくしようとしても傾斜があるので1町歩にはならない。大きくすることばかりではない整備を考えてもらいたい」
「この地域は、中山間地域ではあるが、営農集団を作って、規模拡大をしている。それでも2種兼業農家が主。国や県が積極的に責任もって2種兼業農家をどうやったら支えられるのかを考えないと、中山間地域の農業は守れない」
農地中間管理機構制度について議論すべきとの指摘がありました。
同席した鳥井良輔岡山県議会議員から「岡山県では、水稲は農地中間管理機構を入れて大規模化しよう、という話になるが、農地を集約できるのは県南部の大きなところ。ここではできない。制度設計としても中山間地域に目が向いていない。集約できるところはどんどん集約しているので、年々応募者が減っている。制度そのものを議論すべき。今日伺ったお話を県議会で提案させていただき、県レベルの政策にも反映させるようにしたい」との発言がありました。
参加した農家からも同趣旨の発言がありました。
鳥獣害対策について、地方財政制度を活用すべきとの意見がありました。
「有害鳥獣対策はどこの市町村も困っている。そのため、例えば、真庭市くらいのエリアで有害鳥獣処理担当者10人くらいを、地方交付税の基準財政需要額の中に組み込んで職員を配置し、広域の県にも配置して、基礎自治体と県とが連携すれば、相当の効果があるのではないか」
政治家には、中山間地域農業の実態を知る必要があるとの指摘がありました。
「中山間地域の農業の実態を政治家、政党の皆さんに知ってもらいたいという思いがあった。小泉農水大臣にも来てもらいたい。政党を超えて、中山間地域の農業の在り方、現状を知ってもらいたい」
最後に、農業者から希望を持った決意が述べられました。
「与えられた現状の中で、楽しみながら、健康に気を付けて頑張って、その中で後継者を探していくという形ができればと思っている。われわれの頑張りが持続可能な地域社会を作っていくことにつながっていくのではないかと思っている」