野田佳彦代表は8月9日、長崎市の平和公園で開かれた「被爆80周年 長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」に参列しました。献花を行うとともに、原爆死没者への慰霊と世界の恒久平和への祈りを込めて黙とうを捧げました。
式典に先立ち、野田代表は同日朝、国が線引きした地域外で原爆に遭い、被爆者と認められてこなかった「被爆体験者」の方々と面談し、話を聞きました。行政側に被爆者健康手帳の交付を求める訴訟は今なお続いています。
被爆体験者の方々は「私たちはお金が欲しいのではない。尊厳と人権の問題だ」と強調。灰を浴び、汚染された水や食物を口にし、内部被曝の危険にさらされたにもかかわらず、放射性微粒子の影響は認められていないことに、「放射性微粒子による内部被爆をしっかりとらえていただき応援してほしい。重い疾病を起こしていく状況だということを発信してほしい」「『被爆体験者』と差別された名前で呼ばれている。お力添えを」などと訴えました。
長崎地裁は昨年9月、15人に対し被爆者認定をしましたが、被爆原告団44人のうち8人がすでに亡くなられており、「時間がない。被爆80年を迎える今、政治決断による救済を」と切望しました。
意見交換会には、党長崎県連の山田勝彦衆院議員、白川鮎美(長崎市)・饗庭敦子(西彼杵郡)両県議、佐々木宣綱諫早市議、安部都長与町議が出席しました。
式典後、記者団の取材に対し野田代表は、「被爆80年というのは本当に大きな節目であり、決して風化させてはいけない」とあらためて表明。「今なお多くの課題があり、政府としてのメッセージは出すべきだという思いを強く持った」と述べました。
また、被爆体験者の方々との面会を受けて、「いわゆる被爆の仕方もいろいろなケースがあり、残念ながら行政の線引きによって、被爆されたすべての皆さんが救済の対象になっていないなど、尊厳の問題も含めて、まだ課題が残っていることがよく分かった。早期の救済のために全力を尽くす」と述べました。
石破総理に要望を十分に伝える機会が得られていないという声を受け、野田代表が石破総理への親書を預かったことについて問われると、「せっかく長崎まで来られたのだから、長崎でできるだけ多くの人の声を聞くことがもっと必要ではないか。いま市の方が折衝しているということなので、その推移を見ていきたい」と前置きした上で、「『直接お渡しすることができないならば、代わって私が』と申し出た。約束を果たしたい」と述べました。
この問題が2002年以降、民主党政権時代も含めて解決しないまま現在に至っていることに対し、野田代表は「私もこういう生の声は聞いたことがなく、十分承知していなかったというのが事実。気づいた以上、責任ある対応をしていきたい」と力を込めました。