小川淳也幹事長は9月9日国会内で定例の記者会見を開き、(1)石破総理の辞意表明(2)執行役員会の報告(3)石川知裕元衆院議員の逝去――等について発言しました。

 小川幹事長は、7日に石破総理が辞意表明したことを受け、「ご本人なりに苦悩は深かったと思うが、判断は遅きに失し、二重三重に国政の停滞を招いていることを憂慮している。一刻も早く自民党内の混乱の収束を願いたいし、政策推進が遅れてはならない」と指摘。自民党が9日、党員参加する形式で総裁選挙の本格実施を決めたとして、「民主的な手続きとしては本格的な総裁選挙が行われることは望ましいが、一方政権与党であり、国の政治と政策推進を預かる立場から言えば政治空白がなお1カ月続くことは大変憂慮すべき事態だ」と述べました。

 馬場雄基衆院議員から提出された離党届については、通常国会議員の離党届は常任幹事会で諮るのが原則だとした上で、今回はすでに議員辞職し、市長選挙出馬に向けて党籍を離れて戦うことから、本日の執行役員会をもって離党届を受理したと報告しました。

 執行役員会ではそのほか、三重県知事選挙や三重県議会議員補欠選挙の結果、ガソリン税の暫定税率の引き下げをめぐる野党内・与野党での調整状況、臨時国会の早期開会に向けた折衝状況についてそれぞれ報告があったと述べました。

 自身と当選同期の石川知裕元衆院議員が6日、直腸がんのため逝去したことに哀悼の意を表明。「非常に地に足の着いた、いろいろ苦労されたからこそだと思うが非常に重心の低い信頼に足る同期同僚だった。(妻で衆院議員の)石川香織さんがいろいろな意味で(知裕元衆院議員)遺志を継いでいかれると思うので、連携して遺志を継いでいけるよう最善を尽くしたい。心よりご冥福をお祈り申し上げる」と述べました。

 また、記者から自民党の新総裁に対し求めることを問われると、「ガソリン税や政治資金の在り方、給付と減税に関し、誠意をある対応を願いたい」と答えました。

 小川幹事長は冒頭、11日の両院議員総会で人事が行われることに言及。「骨格含めてどうなるか分からないが仮に交代があるとすれば現執行部として最後の記者会見になる可能性がある。この1年、いろいろな形でお世話になりご指導いただいたことに感謝を申し上げたい」とあいさつしました。


小川淳也幹事長記者会見

2025年9月9日(火)16時00分~16時39分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/live/Ixk69zXOOFk


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

【司会(中谷幹事長特別補佐)】
 それでは、定刻でございますので、本日の幹事長記者会見を始めさせていただきたいと思います。冒頭、小川幹事長より、お話をさせていただきます。よろしくお願いします。

○定例記者会見に当たって

【幹事長】
 お疲れさまです。
 あさって11日に両院議員総会が行われますので、一定の人事が行われることは間違いありません。骨格を含めてどうなるかはわかりませんが、仮に交代があるとすれば現執行部として最後の記者会見になる可能性がありますので、この1年、いろいろな形でお世話になり、ご指導いただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

○石破首相の辞意表明について

【幹事長】
 一昨日、石破総理が突如辞意表明をされました。
 ご本人なりに苦悩は深かったことと思いますが、非常に判断は遅きに失し、二重三重に国政の停滞を招いているということで、危惧・憂慮しております。一刻も早く、こうなった以上、自民党内の混乱の収束、事態の収束を願いたいと思いますし、政策推進が遅れてはならないということを重ねて申し上げたいと思います。
 とはいえ、本日、10月4日に党員も参加する形で(総裁選挙を)本格実施ということをお決めになられたようですので、なお1か月近く、もっと言えば首班指名選挙がどうなるかわかりませんが、それ以上政治空白がなお続く可能性が濃厚であるということには一言苦言を呈しておきたいと思います。

○執行役員会を開催

【幹事長】
 きょう役員会で議論を、議論というのかな、報告をいたしましたが、馬場議員から離党届が提出されました。通常、現職国会議員の離党届の受け止めは常任幹事会にお諮りするのが原則ですが、既に議員辞職が認められているということ。それから、市長選出馬に向けて、党籍を離れて戦うわけですから、その判断は早いほうがいいという執行部としての認識から、本日の役員会をもって馬場議員の離党届を受理したいと思っております。
 三重県知事選挙の結果や三重県議会議員補欠選挙の結果等について、ご報告を申し上げました。
 政調会長からは、ガソリン税の暫定税率の引下げ(廃止)について、引き続き野党内、与野党で調整が続いていることの報告がありました。
 国対委員長からは、臨時国会を早期に開催するように、与党側・野党内で折衝が続いているという報告がありました。

○石川知裕氏逝去の報に接して

【幹事長】
 最後になりますが、私も同期、彼は補欠選挙でしたから完全なる同期ではありませんが、当選同期扱いで、石川知裕さんが亡くなられたことに大変胸を痛めております。この場をおかりして、生前いろいろな形でご一緒させていただいたことに深く敬意と感謝を申し上げ、また、追悼の意を申し述べさせていただきたいと思います。
 非常に地に足の着いた、本当に最近の政治家では珍しい、いろいろ苦労されたからこそだと思いますが、非常に重心の低い、信頼に足る同期・同僚でございました。心よりご冥福を祈り、また、石川香織さんがいろいろな意味で遺志を継いでいかれると思いますので、知裕さんの生前の意志をお互いに連携しながら継いでいけるように最善を尽くしたいと思います。
 心よりご冥福を祈りたいと思います。


■質疑

【司会(幹事長特別補佐)】
 それでは、ここからは質疑応答に入らせていただきたいと思いますので、質問のある方は挙手にてよろしくお願い申し上げます。

○石破首相の辞意表明を受けて(1)

【産経新聞】
 冒頭言及があった自民党総裁選について伺いたい。石破茂首相が辞任を表明し、新しく総裁選が行われることとなったが、新たに選出される総裁に期待することなどがあれば伺いたい。

【幹事長】
 まず、私はちょっとあさって以降のことについて必ずしも今責任を持って発言できる立場にはありませんが、現時点における私の思いを申し上げれば、簡単に自民党新総裁に新首相の座を譲り渡すべきではないと思っています。
 その上で、仮に新総裁が新首相になられた場合には、石破現総理と野田代表との間で(合意された)、ガソリン税や企業献金の見直し、そして、場合によっては給付金や消費減税といった物価高対策、これらの協議が道半ばですので、そうした協議については誠意を持って応じていただけるということを願いたいと思います。

【産経新聞】
 石破総理との間で呼びかけた協議などにも言及があったが、石破政権に対しては、通常国会において年金制度改革関連法案に賛成したり、8月の臨時国会で各種の協議を呼びかけたりと、部分的に協力する場面もあったが、新総裁がどのような人物であれば立憲民主党としても協力できるとお考えか。

【幹事長】
 なかなか人物像に言及するのは難しいのですが、やはり大事なことは政策の方向性だと思いますので、先ほど言及させていただいた具体の項目、また、その他様々な項目について、誠意ある協議を行える方であることが望ましいという考えを持っています。

○首班指名選挙について(1)

【産経新聞】
 先ほども言及があった首班指名選挙に関して、前回の首班指名選挙では一部野党が無効票を投じたことで石破政権が誕生することとなったが、次期首班指名選挙において野党各党に協力を呼びかけて政権交代を実現すべきとお考えか。

【幹事長】
 重ねて、11日以降のことに関して責任を持って発言できる立場に現在ないことはご留意いただいた上で、現時点での私の考えですが、当然、自公が過半数割れしているわけですから、野党が一致協力すれば首班指名によって政権交代という可能性が論理的にはあるわけですから、私は野党第1党というのは常にその可能性を模索すべきだという考えを持っています。

○石破首相の辞意表明を受けて(2)

【読売新聞】
 冒頭に言及のあった、自民党の総裁選がフルスペックで行われることによって長期の政治空白が懸念されるが、改めてその点、政策協議についてどう捉えているか。また、最近の自民党の姿勢について改めてどう思うか伺いたい。

【幹事長】
 自民党内、他党のことで恐縮ですが、民主的な党内手続という意味では、本格的に総裁選が行われることは望ましいことだろうと。一方、現在政権与党ですから、国の政治と政策推進を預かる立場からいえば、政治空白がなお1か月続くということは大変憂慮すべき事態だと思います。その上で、申し上げたようなガソリン税や企業献金、それから給付金や消費減税、これらの政策について、いち早く与野党で推進できる体制が望ましいと思います。
 自民党、他党のことですが、いわゆる55年体制ができてから70年、そのほとんどの期間を政権政党として、いろいろと苦心をしてこられたことと思います。そのことには一定敬意を表するのですが、私は中央官庁に勤めているときに自民党政治の劣化を目の当たりにし、これに代わる受け皿が必要だと思って当時の民主党の門をたたき、その後、政権交代、そして再度下野というのが私の20年を振り返ってなのですが、今、自民党内に、ちょっと他党のことで恐縮ですが、いわゆる保守派と中道リベラル派の相克・亀裂・対立が抜き差しならなくなっていると感じており、その背後には、参政党を中心とした更に右派、つまり自民党を本格的に右から脅かす存在ができ始めているということが影響しているというふうに、他党のことながら見ています。
 仮にそうだとすると、これから自民党でどういう総裁が選ばれ、どういう政策的な方向性になるのかわかりませんが、いわゆる55年体制が終わったとか崩壊したとかいうことはかねてから言われているのですが、それはひとえに、社会党の存在がほぼ消えてなくなっていく過程に見られるように、野党陣営の話なのですね。自民党は自民党のままあり続けた70年でした。それがいよいよ本格的に変わる可能性を秘めた局面にあると私は観察しており、それは55年体制が本当の意味で終わる可能性があるという目で今の自民党の変化を見詰めています。

【読売新聞】
 この間、政策協議がなかなか進まないことについては、どうお考えか。何か自民党に求めることというか、そういうことはあるか。

【幹事長】
 それはかねてから申し上げているとおり、まず石破総理が自らの敗北責任の多寡を見誤ったところから一連の混乱は生じており、そして、その政治空白は既に50日、なお30日余り、合計80日を超えてくるということで、二重の責任が生じています。
 したがって、我が党としても無策であってはいけないので様々な政策課題の協議を呼びかけましたが、そもそも政権の持続可能性が足下から揺らぎ、十分に対処応答する当事者能力に欠けているという状態が長く続いたことは、極めて国民にとって不幸なことだという認識です。

○首班指名選挙について(2)

【共同通信】
 先ほどの首班指名選挙に関連して、確認の意味で一点伺いたい。先ほど幹事長の今の思いとして、野党が一致協力すれば首班指名によって政権交代が論理的には可能であると、野党第1党としては常にその可能性を模索すべきだと言及された。これは当然だが立憲民主党としては所属議員に対して野田代表の名前を書いてもらうことを求めた上で、野田代表を総理として他党にも連携を呼びかけるといった認識でのご発言ということでよろしいか。

【幹事長】
 一義的にはそれが最優先だと、今なお思っています。
 ただ、去年の秋に随分苦労しましたし、その後、公に私はその種のご質問をいただいたときに、あらゆる可能性・選択肢を排除すべきではないと。かつては自社さ方式もあれば日本新党方式もあったわけですから。
 ここで冒頭申し上げたことの趣旨からいえば、一義的には野党第1党の党首が、与党第1党の党首とせめぎ合う形で、一義的には主たる首班候補。仮にそれが首尾よくいかない場合は、野党統一候補ということまで念頭に置いた、あらゆる選択肢・可能性を排除しない形での協議・政治工作が求められてしかるべきだというのが私の考えです。

○福島市長選 馬場雄基氏の出馬表明について

【フリーランス】
 堤さんが大野城市長選挙に勝って、おめでとうございました。馬場さんは残念ながら選挙区がなくなってしまったということなのだが、わざわざ離党、党籍を離れるということは必要なのか。立憲民主党がこれに推薦するか公認するかとか、そんなのではないが、党に入るということはとても重要なことだ。小川さんが知っているかどうかわからないが、鈴木宗男さんが疑惑で自民党を離れるときに、4階の会見室で男泣きに泣いた。要するに、自民党を離れたくないと。海部さんが自民党で総理をやって、新進党に行っていたけれども、死ぬ前には自民党に帰りたいと言って、それで帰って、お亡くなりになった。軽々しく党というものがあるのではない。だから、馬場さんはいろいろな事情があって行くのだろうけれども、やはり立憲民主党にいたという誇りを持って、離れるのではなく、立憲民主党の政治家としてやってくれということは幹事長から言えないのか。

【幹事長】
 堤かなめさんも党籍を離れられて無所属で市長選挙に出馬しました。
 今のご指摘は、ある種、理想論としては一つのあるべき姿だと思います。二大勢力を志した以上、地方選挙においても、一時期そういう時期が民主党の時代にありましたが、知事選にせよ市長選にせよ、大抵自公推薦の候補がいますから、これとがっぷり四つに組む形で戦うということが理想的な姿として望ましいということは私も同感です。
 しかし、一方、現実の地方政治は、県政にせよ市政・町村政にせよ、議会が大選挙区制で、オール与党形式ということが多発しています。ここがアメリカやイギリスと違うところで、アメリカやイギリスは地方議会も小選挙区制度なんですね。そこが大きく構造的に違うことで、(日本の地方議会は)かなりオール与党体制が敷かれることが多いです。
 したがって、今回も馬場さんが挑戦される対立候補は限りなくオール与党に近い候補だと聞いていますが、ここに挑戦するに当たって、党籍を離れ、無所属の立場で、よく言いますが「オール県民党」「オール市民党」という形で戦いたいという彼の意欲なりは、現行制度下、今のよくある状況の中では、十分理解できることだと。私自身、今回に関してはそう受け止めています。

○幹事長就任1年 党の課題と長所について

【テレビ東京】
 ちょっと広い話になるかもしれないが、幹事長の立場から見る党の課題についてお聞きしたい。あさって新人事が発表されるということで、どうなるかわからないが、現執行部はひと区切りになると思う。就任されてからこの間、幹事長という立場で党全体を見てきたと思うが、今、党が抱えている課題。幹事長の目から見て、どうお考えか。

【幹事長】
 参院選の総括に関連しても申し上げたのですが、大きく分けて二つの課題を抱えており、一つは川上の課題と、もう一つは川下の課題と、あえて申し上げています。
 よくSNSに立ち遅れているとか適応できていないという声はいただくのですが、それはその二つでいえば川下の課題で、何をどのように有権者に届けるかと。それはSNSもそう、日頃の運動論・組織論もそうです。何をどう届けるかということが大きく問われているという認識を一つ持っています。
 ただ、それにも増して川上の課題。参院選の総括のときにもあったのですが、党の基本的な立ち位置、目指すべき社会像、根幹となる政策、これら届けるべきものをより研ぎ澄まし、よりクリアなものとして有権者に訴求する。党の存在そのものがそうならないと、デリバリー、川下に意識を取られ過ぎていてはその川上の問題こそが軽視されるおそれがあり、最も重要で根幹に関わるのはむしろ川上の問題であるというのが、この1年を通しての、責任を感じながら申し上げなければいけないのですが、私の問題意識です。

【テレビ東京】
 逆に、いい点というか、これからも党として生かしていってほしい、いきたいという点はいかがか。

【幹事長】
 新興政党がこれだけ勢力を伸ばしている状況ですから、そちらに目が向き関心を集めることは十分理解しているのですが、それがうまくベストミックスで発揮されているかどうかはちょっと課題なのですが、とはいえ、我が党にはベテラン・中堅・若手、そして、それぞれなりの苦労と志を背景とした、私は特に新しい人たち、若い人たちの質感に党幹事長としてかなり期待と誇りを感じながら党運営に当たってきましたが、そういう人材が大きく幅広く奥行きを持ってストックされていると。
 もちろん、これからどんどん新陳代謝をしていかなければいけないわけですが、その層の厚みと幅こそが我が党としては最大の資産であり、これを先ほど申し上げた、立ち位置や目指すべき社会像、根幹となる政策。そして、うまく発展・開発したデリバリー。この両論がそろったときに、この人材群は相当魅力ある存在として国民に届く可能性を秘めているということは、今なお期待感を持って感じています。

○石破首相の辞意表明を受けて(3)

【テレビ朝日】
 新たな自民党との向き合い方について伺いたい。石破総理、石破政権との向き合い方としては、対決より解決ということで協議を持ちかけるなどしていたかと思うが、新しい総裁の下での自民党との向き合い方としては、また協議を進める形になるのか。徹底的に野党第1党として対立するというのも選択肢としてあり、参院選前にうわさされていた大連立がまだ可能性として残っているのかどうかも、あわせてお願いしたい。

【幹事長】
 代表が、無策であってはいけないので一時期様々な協議を呼びかけ、その過程においてまさに対決より解決ということをある種便宜的におっしゃったと私は理解しており、我が党の基本的な立ち位置は、選挙による政権交代、これは国民の目から見てですね、選挙による政権交代の一方勢力の基軸たるべきと。だからこそ、悪い意味ではなく、対決・対峙を基本姿勢としてきました。それは党の存在意義からいって大きくは今後も変わらないという基本認識です。
 その上で、時々、折々、年金法案もそうでしたが、与党側と個別具体の課題について協議なり調整をしなければいけない局面があることは事実ですから、今後、自民党にどういう体制ができて、どういう方向性を志向するのか。そして、我が党があさっての人事によってどういう体制ができ上がるのか。お互いの相乗効果で、いろいろな対話、いろいろな対決が行われていくと思いますが、基本は対峙・対決、そして時により物により誠意ある協議という、基本構図そのものはゆるがせにならないと思います。
 したがって、お尋ねの大連立については基本的にはないという前提でこれまで代表も私も折々申し上げてきましたが、その基本構図は今後も変わらないという前提で、様々個別具体の調整が行われると私自身は考えています。

○首班指名選挙について(3)

【フリーランス】
 新しい執行部があさって誕生するということだが、首班指名選挙で政権交代を実現する、野田連立政権あるいは野党統一候補政権を誕生させるという布陣になるのか。幹事長が交代する可能性があるということを先ほどからおっしゃっているが、去年の秋の総選挙後、維新と国民民主党が無効票を投じて石破政権を延命させたことを繰り返し厳しく批判していたのが小川幹事長だ。今後も維新・国民民主に働きかけて、首班指名で政権交代を実現したいと今おっしゃったが、であれば幹事長継続で、去年の秋の経験も踏まえて継続されたほうが布陣としてはプラスではないかと思うが、幹事長自身の意気込みを含めてお聞きしたい。

【幹事長】
 具体の人事はもう代表の専権事項ですから、何も私から申し上げることはありません。
 基本的に政権交代を目指しているという立場はご指摘のとおりで、そこは全く同感、共感です。

【フリーランス】
 本当だったら今すぐにでも国民民主や維新と政策協議をして野田連立政権誕生のための話合いなどを始めていないとおかしいと思うが、そういう意欲というか、続投を希望してやらせてくださいということはおっしゃっていないのか。

【幹事長】
 人事に関連して代表とどういう話をしたかしていないかは、ちょっとこの場で申し上げるのはふさわしくない。適切ではないと思います。
 せっかくのお尋ねなので、ちょっと、その首班指名選挙について。何党の誰であれ、総理大臣の指名選挙で無効票を投じるならば議員辞職すべきだと、私はそれぐらいの考えを持っております。無責任極まりないと。
 それから、「自党の党首に投票してください」と、いいんですよ、1回目はいいんです。1回目はそれでいい。2回目は、この人とこの人、1着の人と2着の人ですね、どちらかだという選挙に臨むわけですから、それでもそのどちらかに書けない人たちは議員辞職すべきだと。
 その前提で申し上げるのですが、仮に「自党の党首に投票してください」と党首なのか幹部なのかが言う場合には、その投票が無効票にならないように努力をする責任がある。したがって、野田代表は昨年の秋、私は代表の人間性・性格を考えれば自ら「自分に投票してくれ」ということは通常おっしゃるのにははばかられたのではないかと当時想像していますが、野党第1党の党首たる責任において各党に協力を要請したわけです。
 仮に2度目、同じことが起き、そこで第2党、第3党、第4党、第5党が「自らの党首に投票しろ」と(決選投票で)所属の議員団に言うのであれば、それが無効票にならないように「私に投票してください」と各党に呼びかける責任がある。首班指名選挙で無効票を投じるならば議員辞職しろというのが私の基本的な考えです。

【フリーランス】
 今おっしゃったことをこれから訴えればいいのではないか、幹事長留任で。そういう迫力ある訴えをされたのであれば、野田代表に続投を要請、お願いして、今言ったことを各党に訴えていけばいいのではないか。何でやらないのか。

【幹事長】
 それは私が考えることではありませんので、代表があらゆることを総合判断されるべきことだと、かねてから申し上げているとおりです。

○政党制・選挙制度について

【フリーランス】
 今のお話の関連でもあるが、先日来、国民民主党の玉木代表は、もう二大政党制は困難で多党制の時代に入ったと、その時代を踏まえた新しいルールが必要ではないかという発言をされている。現実に、参議院選挙を踏まえて、今、国政政党が11個も誕生し、世論調査等も本当に各政党に支持率がばらけている状態だ。この状態で、先ほど来、二大政党制を目指すという建前は何か維持しているようにもお聞きしたが、こういった玉木さんの多党制の時代を踏まえたルールづくりが必要という見解については、小川幹事長はどのようなご見解かお聞きしたい。

【幹事長】
 一定理解します。多党制の時代に入ったという見方もできるだろうし、玉木さんご自身が多党制に向けて牽引しておられるという理解もできると、そのコメントについては受け止めています。
 ちょっと制度的な制約があって、日本は小選挙区制度を軸に衆議院の選挙をやっていますから、二大勢力に収れんさせる力学が働くのはそうなんですね。これがアメリカやイギリスに行くと完全に単純小選挙区制度なので、限りなく二大勢力に収れんされています。今後どうなるかわかりませんが。一方、比例代表制が並立制で存在しており、なおかつ、ここが重要なんですが、国政政党要件が得票率の2%なんです。比例代表制に移行しているドイツは5%で、ほかの先進国の多くはそうではないかと思います。
 したがって、二大勢力に収れんすべき力学と多党制に向かう力学とが混在しており、しかも、2%ルールという、あまり他国に例を見ないと私は理解しているのですが、非常にハードルが低い。つまり、二大政党の代表選に出馬するのに20人の議員の同意が必要なんですね。しかし、5人いれば新党はできるわけです。そういうハードルの低さも含めて、このどちらに進むのかを、そろそろ日本政治が全体として判断しなければいけない、ジャッジしなければいけない。選挙制度改革や政党制度改革を含めて、一定、柔軟性や変革と安定性とを両立させてこその政治ですから、制度改革の議論をしなければいけないという議論を仮に玉木さんがしているとすれば、同感するところは多々あります。

【フリーランス】
 同感するところが多々あるということになると、制度改革の議論は早急にスタートすべきだというお考えだと受け止めてよろしいか。あるいは、具体的に立憲民主党内で何か議論を始めているのか。あるいは、今はあくまで小川幹事長の個人としての思いで、今後の新執行部ができた後、そういった議論に早急に着手する必要があるというご認識なのか。

【幹事長】
 今申し上げたのは私見です。
 それから、現行制度で、制度疲労を起こして、現にこれだけ政治が不安定化し、本来の趣旨とは異なる多党制に向かっているとすれば、何らかの制度改革が必要であるということは多くの方に共有いただけるのではないかと思います。

○石破首相の辞意表明を受けて(4)

【フリーランス】
 山尾しおりさんの解説で私も理解できたのだが、今回のような総裁リコールという形で引きずり降ろされた総理、この前例というのは、これから、自民党総裁がそのまま総理になると仮定した場合だが、より党内事情に気を遣わなくてはいけない党内ファーストの総理が誕生することになり、あまりよくない前例をつくってしまったというご説明があった。また、外交面でも、信頼されていた石破総理がいなくなってしまい、また新しい人ということで、安定的な信頼関係をつくりにくいという点もあると。加えて、政策面では、連立に至らなくても政策ベースで立憲にとっては石破総理というのはよい相棒だったのではないかと私は見ていたが、小川会見を見ていると地位にしがみつくものではないという価値観をお話しされていたが、国民の代弁として私のような市民記者は申し上げたいが、マスメディアの記者さんの質問は上司から頼まれてしている場合も結構多いわけで、選挙が終わる度に責任は取らないんですかという質問は、民意だと思うか。それをちょっと一つ聞いてみたかった。小川幹事長に関しても、大変国民生活をおもんぱかった発言でまとめていただいているので、例えば立憲の進む方向の中でちょっと嫌だなと皆が思うことがあっても、小川会見を見るとちょっと落ち着くかなというような、好感度が高かったと思う。それをこういうところで責任を取らないんですかと記者さんに言われると、何かそういうものなのかなというふうに謙虚な方ほど思ってしまう。国民にとっては政治が滑らかに進行して問題を解決してくれるのを妨げているようにしか見えない。これは資本の勢力ではないかと私達は思っているが、本当に記者さんの質問は民意だと思うか。

【幹事長】
 まず、党総裁。我が党もそうですが、選任権は党員にあるので、現職の議員を含めた党員にあるので、罷免権も党員なり議員にあって、そこは表裏一体であるべきだと。つまり、選任する人事権と辞めさせる人事権は同一同者にあってしかるべきという原則的な考えを私は持っており、その点に限って言えば違和感はありません。
 それから、これだけ政治空白、停滞を心配されていたのは、全く共感・同感するところで、これは石破総理が進退を表明する時期を自ら見誤ったと、政治判断を見誤ったというのが私の考えです。
 もちろん、政権の継続安定性を望んでいる国民はたくさんいらっしゃると思います。そこで問題とすべきは、これだけ国政選挙が頻繁に行われている国はほかにありませんから。大抵、上院の選挙と下院の選挙というのは同日行うのが先進国の通例です。アメリカが一番短いですが、2年(に1回)、上院と下院を一緒にやる。ヨーロッパ諸国になれば大抵3年、4年、物によっては5年に1回。私も20年やってきましたが、ほとんど毎年国政選挙をしているんですね。この執行部はあさって以降どうなるかわかりませんが、発足以来10か月で三つの大型選挙に臨んでいるわけです。それは各党そうですが。
 選挙の結果に責任を感じないとか責任を負わないとなれば、これは民主制は崩壊します。したがって、見直すべきことが今幾つかの角度でご指摘ありましたが、一つあるとすれば、これだけ頻繁に国政選挙を行い、政策の場合によっては推進になることもあるだろうが、政局が優先されて低迷することのほうがむしろ多いのではないかという角度から議論を整理すべきというのが私の考えです。

【フリーランス】
 続いて、今一番話題に上がっている小泉進次郎さんだが、国会軽視の傾向がある。以前は種子法廃止に関しても審議会をすっ飛ばして短時間で決めてしまっている。今回も備蓄米の件で、やはり法律をちゃんといじらないと駄目だよと、国会にかけないと駄目だよというお手本を示すために、立憲民主党のほうではわざわざ小泉さんに代わって法案を提出している。これは私はたまたま居合わせたのでご説明を受けたが、備蓄米を売りに出すといっても、あれは国民の財産であって、その前に国会に諮って、法律を改正して、それからやるべきことだということで、有志が法案を提出されている。そういった小泉進次郎さんを抱き込んで麻生さんがわざわざ土曜日に説得にかかって降ろしたと。お二人そろうとCSISをちらつかせて脅したんだろうなというふうに私などは思うが、麻生さんという立ち位置に関して、いろいろな見方があると思うが、麻生さんが危惧して石破さんを降ろした本当の理由というか、政策的な理由というか、そういうのは小川さんから見て何だと思われるか。今お話しいただいたような責任を取るのが正しいんだという説得だったのかもしれないが、そうではなく、麻生派としては石破さんがこのままだと日本が危ないよと思われたとしたら、それは何が原因だったと思われるか。

【幹事長】
 ちょっと私には麻生さんの胸の内は、おもんぱかるには限度がありますので、麻生さんなりの思惑が様々交錯しているのだろうなということ以上のことは。

【フリーランス】
 ガソリン減税をやはりやりたくないので党内を混乱させたいのかなという、そういうのはどうか。フルスペックをわざわざ。

【幹事長】
 ちょっとわかりません。仮にそうだとすればやめていただきたいですが、ちょっとわかりません。

○日米交渉 関税・投資に関する合意について

【フリーランス】
 日米関税合意の文書化がなされ、それで石破総理も辞任を表明されたわけだが、この二つの文書に対する評価、今回の合意の内容についてはどういうふうに受け止めているか。

【幹事長】
 税率が25から15に下がったことを多とする声もあるでしょうが、2から15になったという評価もあり得るので、これはなかなか大変なご苦労だったとは思いますが、手放しで喜べるものではないだろうと私は思っています。
 それから、80兆だか90兆だかの投資ですか。多くの利益がアメリカに行くということの意味がわかりません。何を意味した、どういう合意なのか、よくわかりません。
 それこそ早く国会を開いて、誰が留任するのか替わるのかわかりませんが、十分、これこそ国の命運に深く関わる議論なので、オープンな場で透明性高く真摯に議論が行われるべきだと思います。

【司会(幹事長特別補佐)】
 そのほか、いかがでございますか。よろしいでしょうか。それでは本日の幹事長記者会見はこの辺りで終了させていただきたいと思います。皆さんご参集いただきましてありがとうございました。

【幹事長】
 それでは、仮にあさって替わるとすればですが、大変お世話になりました。ありがとうございました。

(以上)