参院予算委員会で9月12日、「米国の関税措置等」についての集中審議が行われ、立憲民主党から古賀之士、高木真理各参院議員が立ちました。

■古賀参院議員

 冒頭、古賀参院議員は「生活への不安をよく聞く。少しでも不安が減るように」と述べて質問を始めました。

 古賀議員は「相互関税などの措置について裁判中。アメリカ大統領令は、現実に一、二審は敗訴している。最高裁でも敗れる可能性もある。敗訴したら混乱する。敗訴した場合、日本はどうなっていくのか」と懸念を述べました。

 赤沢経済再生担当大臣は「関連の動向を注意しながら影響を精査し、出てきたものに適切に対応していきたい」と述べるにとどまりました。

 古賀議員は、ミニマム・アクセス米について「日本からの輸入量を50%から75%に割合を増やす。米国のお米は他国に比べて高い。また、割合を国同士で決めてしまうことについてWTOが提訴する恐れがある」と指摘しました。

 小泉農水大臣は、「WTOのルールのもと、輸出量、国内外の事情を勘案して実施している」「加工用の販売を増やすとともに、保管経費の削減、財政負担の軽減に努める」「関係国に対しては、WTOルールに従って丁寧に説明をして理解を得るように努めていく」と述べました。

■高木参院議員

 高木議員は、(1)5500億ドル(80兆円)の対米投資(2)トランプ関税の大統領令をめぐる薬価の問題(3)トランプ関税がもたらす米国のインフレ、ドル高円安への懸念――について質問しました。

 高木議員は、米国と締結した投資覚書をWinWinの内容と評価しているか赤沢大臣にただしました。赤沢大臣は、「日米両国にWinWinの結果をもたらす全体パッケージとして、米側から関税引き下げを引き出すことのできるだけの内容だ」と答えました。高木議員は、「そういう内容とは思えない」と述べ、5500億ドルの投資先を選べないこと、投資をしないことを選択したらペナルティで相互関税に跳ね返ってくる可能性が書かれている可能性が覚書に書いてあることを指摘し、「令和の不平等覚書ではないか」と迫りました。

 トランプ関税の薬価の問題について、高木議員はトランプ政権が大手製薬会社17社に薬価引き下げ要求を行っているなか、日本の薬価が安いため輸出を控えた方が会社の利益となり、ドラッグロスが広がるのではないか懸念を示しました。福岡厚労大臣は、「対象となる医薬品の範囲であったり、薬価を参照する国の範囲、これが明らかではないため、どのような影響が生じるか予断を持って差し控える」等と明確な答弁を避けました。

 また、トランプ関税が米国へのインフレをもたらし、ドル高円安を招くことを指摘。「アベノミクスの負の遺産で多額の国債残がある中では、なかなか利上げが難しく円安となることが心配だ」と対応を求めました。