野田佳彦代表は10月3日、国会内で定例記者会見を開き、(1)党勢拡大へ向けた地方活動(2)自民党総裁選の議論(3)総裁選による物価高対策への影響――等について発言しました。

(1)党勢拡大へ向けた地方活動について「参院選の結果を踏まえ、候補者を擁立できなかったところ、負けたところ等々を中心に、党勢拡大のために地方で活動するということを続けており、今週は福岡に行く。福岡は複数区であったが、わが党の現職が競り負けた。次の衆院選を考えると、選挙区がたくさんあるところでしっかりと党勢拡大しなければいけない」と述べ、今後も継続的に取り組んでいく意向を示しました。

(2)自民党総裁選挙の候補の論戦について「例えば旧安倍派を活用するのかどうかについて、皆さん適材適所と言葉を濁しながらも活用するだろうとの考えを示している。政治と金の問題に深い反省があるならば、そう簡単に適材適所という言葉は出てこないはずだ」と指摘。その上で「解党的出直しと言うならば自民党をぶっ壊すと言うぐらいの人が何人も出てきてエキサイトした議論があるのかと思ったがそうではない。党内融和を重視した戦いになっている分、どうしても外側から見ると冷めた目で見ざるを得ない」と厳しく評価しました。

(3)参院選以降、事実上の政治空白が続いていることに「早期の臨時国会召集を要求しているが、聞くところによると15日辺りということで、そこで選ばれた総理が具体的に物価高対策を含めた指示を出してから補正予算を組んでいくにはまた時間がかかる。これだけ時間を空費しているということについての責任はやはり厳しく自覚してもらわなければいけない。国民生活をあまりにも無視した状況だ」と強く批判しました。


野田佳彦代表記者会見

2025年10月3日(金)10時30分~10時58分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/J0uC48gtwiI


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○党勢拡大に向けて 地方行脚について

【代表】
 私はいつも週末は、参議院選挙の結果を踏まえて、候補者を擁立できなかったところ、負けたところ等々を中心に、党勢拡大のために週末に地方で活動するということを続けておりますが、今週は福岡に参ります。
 福岡は残念ながら、複数区でありましたが、我が党の現職が競り負けるという形になりましたので、次の衆議院選挙を考えると、選挙区がたくさんあるところでありますが、しっかりと党勢を拡大しなければいけないと考えています。
 今回は、1区の集会にまず行きますが、1区は(5区の)堤さんが辞職をされたことに伴い丸尾さんが繰上げで当選をされましたので、特に今の新人議員の中でも最もてこ入れをしなければならない人だと思いますので、福岡で活動させていただきたいと思います。
 これからも、こうした活動を継続的に取り組んでいきたいと考えています。


■質疑

○自民党総裁選について

【時事通信】
 自民党の総裁選に関して伺いたい。総裁選はあす投開票だが、自民党内の保守派とか、石破さんを支持してきた勢力とか、党内の様々な方たちに配慮して内向きの議論になっているのではないかという指摘もされている。野田代表ご自身がこれまでの総裁選の5人の候補者の論戦を振り返って、どのようにそれを評価されているのか伺いたい。

【代表】
 今のご指摘のとおりだと思います。御意としか言いようがありません。そのとおりだと思うんですね。
 内向き過ぎるというのは、例えば旧安倍派を活用するのかどうかについては、皆さん適材適所と言葉を濁しながらも活用するだろうというお考えを示していますので、政治と金の問題に深い反省があるならばそう簡単に適材適所という言葉は出てこないはずでありますが、皆さん同じではないかと思いますし、石破降ろしをしていたと思われる人たちも、その厳しい総括の上に立った議論をしているわけではないと思いますので、これは石破支持票も欲しいと。
 やはりどうしても勝負のために従来の主張等がまろやかになって、解党的出直しと言うならば自民党をぶっ壊すというぐらいの人が何人も出てきてエキサイトした議論があるのかと思いましたが、そうではない。党内融和を重視した戦いになっている分、どうしても外側から見ると冷めた目で見ざるを得なくなってしまうなと思います。

○首班指名選挙について(1)

【時事通信】
 もう一点、首班指名選挙に関して伺いたい。先月30日に、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、3党の国対委員長が会談を行ったが、維新・国民から一本化は難しいとの認識が示されており、3党の足並みがそろっていないのが現状だ。このままでは比較第1党である自民党の新総裁が総理に選ばれる公算が大きいが、現状をどのように受け止めているか伺いたい。

【代表】
 現状が厳しいというのは、そのとおりだと思います。そのとおりです。
 ですが、まだ前さばきは、一回やりましたが、総裁選が終わった後に何か化学反応が起こるかもしれませんので、引き続き前さばきは国対委員長にやっていただきたいと考えています。

【時事通信】
 関連で。このまま野党各党の足並みがそろわない状況が続いた場合、立憲民主党としては、1回目も、また決選投票が行われた場合の2回目も、野田代表の名前を書くという方向か。

【代表】
 いや、おかしいんですか、それ。

【時事通信】
 確認で。

【代表】
 はい。ほかと議論をして何かどなたにしましょうという結論が出ないならば、それはいきなり相手にも相談せずにほかの人の名前を書くということはあり得ないのではないでしょうか。

○「スパイ防止法」めぐる議論について

【東京新聞】
 話題変わり、スパイ防止法についてお尋ねしたい。参政党や国民民主党、日本維新の会は、いわゆるスパイ防止法を臨時国会に提出する方向で法案内容の検討などを加速している。自民党の総裁候補の中にも前向きな反応がある。立憲民主党としては、こうした動きにどのように対応されるか。また、スパイ防止法のそもそもの必要性や、立法に当たっての課題・懸念についてお考えがあれば、あわせてお聞きしたい。

【代表】
 その種の懸念に対応すべく、これまでも特定秘密法であるとかセキュリティクリアランス法等々の対応を、他国や民間のそういう重要情報の保護についてはしてきたと認識をしています。それらについては我々も一種の検討をしてきた経緯があります。支えてきた経緯もありますが、他党が今用意しているスパイ防止法については、これはまだ中身もよくわかりませんので、NC(次の内閣)が発足したばかりでありますが、出てきたならば、それは仔細に検討させていただきたいと思います。

【東京新聞】
 例えば参政党などでは、神谷宗幣代表が参院選の街頭演説で、極左的な思想を持つ人が国の中枢にいる、こういったものをあぶり出す役割もまたスパイ防止法にはあるのだと、そういう趣旨の発言をして物議を醸している。今後どんな法律が各党から出てくるかは見定めてみないとわからないが、スパイ防止法の議論でこのような言説が出ている点については、野田代表は何かお感じになるか。

【代表】
 どういう根拠でおっしゃっているかわかりませんので、それもね。政府の中枢にいるとおっしゃったのですか。

【東京新聞】
 国の中枢にそういう考えの人がいると。

【代表】
 ちょっとそういう事実関係がわからない話はコメントできません。

【東京新聞】
 先ほどご発言あった、特定秘密保護法など、治安の安定というか、そういったものを目的にした立法というのはこれまでもされてきたところだが、先ほどの表現で、立憲民主党はこういう法律に一定の理解を示しつつと。

【代表】
 そういう対応をしてきたということは承知をしているという意味で申し上げました。

【東京新聞】
 特定秘密保護法は、当時は反対ではなかったか。

【代表】
 そういう法律ができて、対応しようとしていることについては承知をしているという意味です。

○物価高対策について

【NHK】
 総裁選について伺いたい。改めてになるが、あす投開票が行われるが、この間、国会で物価高対策などが進んでこなかったことについて、改めてどうお感じになっているか。

【代表】
 7月20日に参議院選挙の投開票日だったんですね。それ以降、今回の総裁選も含めて、約70日間にわたって事実上の政治空白が続いていて、物価高は私は深刻だと思っているのです。間違いなく食料品の値上がりが続いているし、この10月でも3000品目以上の、いわゆる飲物を中心の値上げがありますよね。それについて全く無策のまま来ているというのは極めて無責任な状況だと思いますので、だからこそ早期の臨時国会の召集を要求しておりますが、聞くところによると、10月の14日の週、15日辺りということですので、なおもまだ時間がかかる。そこで選ばれた総理が具体的に経済対策の指示を、物価高対策を含めた指示を出してから補正予算を組んでいくには、また時間がかかるではないですか。
 これだけ時間を空費しているということについての責任はやはり厳しく自覚してもらわなければいけないと思います。国民生活を余りにも無視した状況だと思います。

【NHK】
 今おっしゃったことと少しかぶるが、物価高対策などを求めていくに当たり、新総裁に対してどのように政策実現の協議などで向き合っていくか。あるいは、国会の論戦でどのように向き合っていくか。その辺のお考えをお願いしたい。

【代表】
 きのうのNCで、10月末までに立憲としての経済対策を取りまとめるように指示をいたしました。参議院選挙で訴えた例えば食卓おうえん給付金であるとか消費税の(食料品)ゼロ税率であるとかということを基本に置きながら、その後の今の状況などを踏まえて、各部門から経済対策を出してもらうということになっています。
 政府が指示を出す前に、総理が指示を出す前に、我々は考え方をまとめて、その実現を迫っていきたいと思います。

【NHK】
 最後になるが、協議が三つのもので始まっていると思う。その協議の継続などを新たな新総裁に確認するとか、あるいは幹部間で接触するとか、自民党の総裁が決まった後、どのように自民党に対して接触していったり物を求めていったりするか。

【代表】
 どういうやり方をするかは別としても、給付付き税額控除については協議体をつくりました。これは立憲と自民党だけではなく、公明党も入っておりますよね。
 加えて、政治と金の問題についても、これも早期に協議を再開するというところを約束していました。誰が政治改革推進本部長に自民党がなるかどうかわかりませんが、どなたにも引き継がれるべきものだと思います。
 暫定税率の廃止については、まさに今、議論が煮詰まってきているところなので、これはどの候補も早期に実現すると言っているから、この点についてはまず心配はないだろうと、協議は続くと思います。
 今申し上げた給付付き税額控除といわゆる政治資金規正法改正については改めてきちっとやるかどうかの確認はどこかの段階で必要だと思いますが、現執行部は必ず後継の人たちにも伝えていくと、責任を持って協議をしてもらうようにするということは言明されていますので、その言葉も信じて、現執行部から次の執行部へのいわゆる引継ぎもしっかりやってほしいと思っています。

【毎日新聞】
 今の物価高対策に関連して伺いたい。先日出演されたテレビ番組で、減税か給付かという参院選の争点に対するストレートな議論が今の自民党総裁選では行われていないのではないかとおっしゃっていた。今後、物価高対策が何もない補正予算になりかねないのではないかということもおっしゃっていたが、改めて給付や減税に対する考え方を伺いたいのと、参院選で掲げていた食卓おうえん給付金のような形のもの、また、それが給付付き税額控除につながっていくような形であれば、今後補正予算の議論で与党と話し合う余地は出てくるのか、あわせて伺いたい。

【代表】
 3段構えの物価高対策を打ち出しました。一番最後の最終目標としている給付付き税額控除については協議体ができたということでありますが、そのほかの前段階である、食料品のゼロ税率と、そして、一番の当面の対策である食卓おうえん給付金。これは諦めたわけではありませんので、チャンスがあればそれらの実現をしていきたいという中で、今ご指摘のあったとおり、自民党の5人の候補者が、減税か給付金かという意味では、減税については基本的に否定的ですよね、どの方も。少し言及されているけれども具体的ではない方もいらっしゃいます。
 ガソリン税の暫定税率については皆オーケーだけれども、これは議員立法なので、別に総裁が指示しなくてもできる話ですよね。
 だとすると、政府としてどういう物価高対策に取り組むのか。減税か給付金については曖昧で、給付金については、(否定する発言から)一回言い直しをして検討すると言っているのは林さんだけではないですか。ほかの人は言っていませんよね。だとすると、5人の議論から浮かび上がってくる、政府が出すであろう経済対策に、物価高対策は入ってこない可能性がある。空っぽになる可能性があるのではないかというのが私の今持っている印象なのです。総理・総裁になってから何か指示するとすると、どういうことを出すのだろうと思いますよね。これがよく見えないという心配をしている。
 その中で、給付金の議論があるならば、従来石破政権が主張をして、でも、選挙区では候補者は誰も語りませんでしたが、あの給付金を持ち出したらこれは絶対反対です。野党みんながだと思いますね。
 食卓おうえん給付金を逆に丸のみするようなことがあるならば、それは我々もその協議は当然前提とするならば考える余地はあると。政策実現をするための、そういう協議をする余地はあるだろうと思います。

○「反軍演説の議事録復活」「戦後80年見解」首相方針について

【朝日新聞】
 いわゆる帝国議会の反軍演説の件で伺いたい。帝国議会の当時の立憲民政党の斎藤隆夫議員の反軍演説について、石破茂首相が議事録の復活を指示しているという報道も出ている。この復活についての野田さんとしての考え方をお願いしたい。

【代表】
 私は賛成です。もう随分昔ですが、もう亡くなってしまいましたが、岩見隆夫さんの演説は死なずという名著がありましたが、そこでも紹介をされていますので反軍演説を私も拝見させていただいたことがありますが、よくあの時代にあれだけ勇気を持ってお話をされたなと。議会人としてすばらしいことだと私は思っておりますので、それが議事録が戻っていなかったことを残念ながら知りませんでした。もし完全に戻していないとするならば、これはやはり戻すべきであると私も思います。

【朝日新聞】
 もう一点、関連で。石破茂首相が、退陣を表明されているが、戦後80年の談話について自身の任期中に発表される方向で調整している。退陣を決めながら発表するという方向には批判もあると思うが、その辺りを代表はどのようにお考えになるか。

【代表】
 私は元々、50年、60年、70年、80年で、10年単位で出さなければいけないものではないという認識を元々持っていましたが、80年という節目に過去の歴史を忘れたかのような発言が内外共に続いておりましたので、たまたま80年だけれども、きちっとした、改めて先の大戦についての総括をするようなことは必要ではないかということをことしになってから強く感じていたときに、石破さんがそういうご見解を持っているというならば、それを80年の談話として政府としてまとめて出すべきだと思っていました。そのことは8月4日の予算委員会の集中審議でも申し上げさせていただいたとおりであります。
 でも、いわゆる政府としての談話ではなく、退任が決まった中で、いわゆる総総分離状況の中で出すというやり方が、やはりちょっと遅きに失したなという感じはしますけれどもね。これはご自身のレガシーなのかもしれませんので、私は、80年の節目と、一つの節目として出すということ自体は否定しませんが、もうちょっと早くやる気を出してほしかったなと思います。

○首班指名選挙について(2)

【朝日新聞】
 別件で一点伺いたい。日本維新の会の動きだが、自民党総裁選の最中ではあるが、幹部が自民党の方々と接触しているという報道もある。一方で、立憲民主党が呼びかけた首班指名についてはなかなか距離を置くような反応があった。この維新の現在の自民に寄っていると見られかねない動きをどのようにご覧になっているか。

【代表】
 一方的にそういう判断をしたいとは思いませんが、どの党も八方をにらみながら自分たちの正しい選択はどうするのかということを考えているのだろうというふうに、冷静に受け止めていきたいと思います。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(1)

【読売新聞】
 冒頭、地方で週末に次の選挙に向けたてこ入れを図っているというお話があったかと思うが、その件について伺いたい。先日、代表は総合選対本部で1期生・2期生のてこ入れが重要だというお話をされていた。次の衆院選ではどういったところでてこ入れを図っていくのがポイントだとお考えなのかと、それを踏まえて、どういった点を重視して党勢を拡大していくかという点をお願いしたい。

【代表】
 前回150人近くの人たちが当選をすることができまして、前々回より50議席を増やしたことがあるのですが、その中で、やはり多くの新人が通ってきましたよね。その新人の皆さんの政治活動をしっかり支えて、きちっと戻ってきてもらうようにするということが、比較第1党を目指す上では欠かすことができないと思います。
 当選1回生・2回生と、まだ地元に十分定着をしていないような皆さんがきちっと国政に復帰できるようにするということが、やはり執行部としての、あるいは選対本部としての役割だと思いますので、私だけではなく幹部が、あるいは選対本部のメンバーが、手分けをしながらこうした1・2期生の活動を後押ししていくと。プラスして、有力な新人を擁立していくということが比較第1党を目指す上では欠かすことができないと。そういう認識であります。

【読売新聞】
 次の衆院選に向けて、比例での票をどのように伸ばしていくか、現時点での戦略をお願いしたい。

【代表】
 参議院選挙の総括で一番そこが厳しいところでしたので、1人区では野党系が18勝して自民党が14勝と勝ち越すことができた中では立憲民主党が主導的な役割は果たしたと思うのですが、複数区で取りこぼしがあったり比例区で伸び悩みしたことが今回の厳しい総括につながったと思いますので、その比例区対策はやはり、個別の競り合いで勝つことと、一定の人数の候補者を擁立するということは、これは不可欠だと思うのです。
 当然のことながら候補者調整というのは選挙区によっては必要になってまいりますが、能動的に立てるような準備をしていかないと調整もできないと思いますので、まずは擁立をどれだけできるかということ、可能性を探るということ。先ほど参議院では候補者を擁立できなかったところを今回っていると言いましたが、擁立できなかったところは比例票がやはり伸び悩んだんですね。衆議院も同じように小選挙区で立てる人たちが少ないところでは比例票もつながってこないと思いますので、そのこともにらんで、一定のやはり人数は、候補者擁立は確保していくということが大前提だと思います。
 加えて、今回は総括の中でも広報の問題が出ましたので、幹事長部局の下に、広報委員会も含めて、運動体ですね、国民運動局とか青年局等、いわゆる若者とか無党派層とまさに連帯をするような、キャンペーンを張っていくような、そういうところの工夫も必要になってくると思っています。

【読売新聞】
 現時点で力を入れないといけないと考えているような地域や場所というのはあるか。

【代表】
 どちらかというと立憲民主党の支持層・支持率でいうと東高西低です。ということは、西側を中心に特に力を入れていかなければいけないと思っています。

○給付付き税額控除について

【日本経済新聞】
 給付付き税額控除に関連して伺いたい。代表は給付付き税額控除を社会保障のあり方の議論の入口としても位置づけていると思うが、公約上は物価高対策に向けての3段構えの最終的な手段という位置づけでもあったと思う。今後の税や社会保障のあり方の議論に向けては、どういった改革を給付付き税額控除を始めとして見据えているのか。その先の考えがあれば伺いたい。

【代表】
 今回は物価高対策のいわゆる3段構えの一番最後の究極の目標のところに位置づけられた給付付き税額控除でありますが、給付付き税額控除は、複数税率がいいのか給付付き税額控除がいいのかという、いわゆる消費税の逆進性対策で元々議論されてきたことですよね。それで我々は一貫して給付付き税額控除のほうが有効であるという立場で言ってきましたが、要は消費税の逆進性を克服することによって、それによって社会保障の持続的な発展のための財源にするのが消費税と位置づけているというところがあるのですが、これは消費税だけではなく社会保険料の問題を含めて、現役世代とのバランスを考えたときに、社会保障は持続可能でなければいけないが、では負担はどうするのかという議論を、やはり大きな見取図を持って議論しなければいけない。
 これはどなたが政権を担ってもやっていかなければいけない立場だと思いますので、そのきっかけになるのが給付付き税額控除ではないかという位置づけをしています。

【日本経済新聞】
 今回始まった3党での給付付き税額控除の議論というか協議に関しては給付付き税額控除の制度だったりを考える場だと思うが、その先にはまたそういった社会保障のあり方だったりをめぐって今後他党も含めて協議していくという考えを代表の中でお持ちということか。

【代表】
 ぜひ社会保障については、与党・野党で余りにも180度違い過ぎては建設的な議論ができませんので、やはりベースをつくるということが大事だと思っていますので、せっかくこういう協議会ができましたから、それを突破口に、もっと大きなテーマでの議論も必要になってくると思います。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(2)

【西日本新聞】
 冒頭ご紹介あった福岡入りの関係で伺いたい。堤さんが辞められて、今、福岡5区は空白になっているが、国民民主党も候補者擁立の考えを示して現地で話合いをしているような状況だ。先ほど代表は西側を中心に擁立に力を入れていくという発言があったが、福岡5区に関して現時点でどういうふうに考えているか。

【代表】
 福岡全体で、今の現職以外に、丸尾さんは復活しましたが、残り2人、次の(総選挙に向けて)総支部長として公認として決めているのですが、それ以外はまだ決まっていません。その中で、まだ複数の選挙区で立てられる可能性があると思っている中で、今おっしゃったとおり、堤さんの後についても、これは十分我々も検討しなければいけないと思います。他党の動きとか連合のご意見なども含めて、その意味からも、福岡で肌でその辺の状況を確認してきたいと思っています。

○党の立ち位置について

【「FACTA」】
 遅れてきたので重なっていたらあれだが、自公のときは、多文化共生が公明だから、いわゆる外国人の問題でもなかなか総量規制とかスパイ防止法とか自民党も言い出さなかったが、これが今、スパイ防止法も含めて、維新と国民と参政がほぼ足並みをということになる。立憲の立場は実はこの面ではほとんど公明党と同じような立場だと思うが、このスパイ防止法と、総量規制を含めた外国人対策、ここはやはり大きな固まりをつくる意味でもう一回見直すというような考え方があるのか。ここを伺いたい。

【代表】
 今、どちらかというと、やはり旧安倍派を意識してというか、亡くなった安倍元総理を意識して、コアな保守層が最近の岸田さんや石破さんで離れてきていることに対する危機感が自民党内にはあると思うのです。それに呼応するかのように、その支持層を取っていけるのではないかと思っている政党も野党も含めて出てきていると思いますが、私はそこには危うさを感じています。
 むしろ、こんなときこそ、既成と言われようと、中道のど真ん中に自分たちを位置づけて、やはり穏健な議論をしていくということが大事だと思っておりますので、公明党さんももしかすると路線的には中道という意味では同じかもしれませんので、もしかするとかみ合う議論があるかもしれません。これは何とも言えません。

【「FACTA」】
 以前は基本的認識として、エネルギー、原発。憲法。沖縄。この三つがハードルだと言われていた。そこに今度、外国人とか、右寄りの、いわゆるスパイ防止法とかも出てくると、私は野党がまとまるということがほとんど難しいのではないかと感じるが、その辺はどうお考えになるか。

【代表】
 私はどの党とも、自民党ともそうです、公明党もそうですが、特に野党については、どれだけ一致点があるかということをずっと探っていきたいと思っていますし、探り当てた結果が今回の暫定税率(廃止の合意)になっていますし、去年の政策活動費の廃止にもなっていますので、野党間においても、違いがちょっといろいろなのはあるかもしれませんが、その中でも一致点は何なのかということを探って、共闘できることは共闘していきたいと思います。

(以上)