衆院の選挙制度に関する協議会が11月18日に開かれ、自民党と日本維新の会が連立合意に盛り込んだ「衆院議員定数の削減」について、初めて協議の場で意見交換が行われました。会合後、協議会メンバーの立憲民主党・奥野総一郎、源馬謙太郎両衆院議員が国会内で記者団の取材に応じ、議論の経過と論点を説明しました。
冒頭、奥野議員は「定数の問題と選挙制度は切り離せない」と強調。協議会に出席した各党からも同様の意見が相次ぎ、定数削減の是非を議論する場は、議長のもとに設置されたこの協議会であるべきだとの考えが大勢を占めたと報告しました。
自民党の石田真敏議員や維新側からも「定数と制度は不可分である」との認識は共有されたものの、自民・維新は連立合意を理由に、協議会外での議論も排除しない姿勢を示したと説明。一方で、奥野議員は「最終判断はこの協議会で」という方向性には一定のコンセンサスが得られたと述べました。
また選挙制度協議会は、来年春までに一定の結論をまとめるという従来のスケジュールを共有してきましたが、定数削減という新たな課題が持ち込まれたことで「本当に間に合うのか」と懸念の声が上がったと述べました。議長指示では、国勢調査の速報値が出る4〜5月頃までに結論を出すことが求められており、奥野議員は「定数削減が絡むと議論は根本から変わる。地方の声をどう守るのかを考えれば、簡単には決められない」と指摘しました。
さらに協議会では、一昨年の報告書に記された「1票の格差是正と地方の声の反映をどう両立するか」という問題が改めて浮上し、定数削減が前提となれば、現行制度では地方の議席がさらに減る方向にしか働かないとの懸念が示されました。奥野議員は「議長指示は『地方の声をしっかり届けられる制度に』というもの。定数削減と本当に両立するのか」と疑問を呈しました。
協議会では、比例代表と小選挙区の配分(現行は3対2)や中選挙区制の検討なども議論されたが「どの制度が望ましいかを示さずに定数だけ先に決めるのはおかしい」という意見が、国民民主党など複数会派からあったと述べました。
記者から、自民・維新が示した「削減の根拠」を問われた源馬議員は「連立合意書に記載があるという説明だけで、合理的な理由は示されなかった」と回答。協議会内でも「なぜ衆院なのか、なぜ1割なのか、なぜ比例なのか、その立法事実を示してほしい」という声が相次いだと述べました。続けて奥野議員は「定数削減そのものに反対ではない」としつつ「民主主義の根幹に関わる問題であり、慎重な議論が必要。地方の声が届かなくなるような改革は本末転倒だ」と述べました。
自民・維新は臨時国会での法案提出を目指しているが、協議会全体では「拙速な結論は出せない」との認識が共有され、奥野議員は「何が何でも臨時国会でという空気ではない。今日の議論は、その危うさに多くの会派が気付いた点で大きな意味があった」と総括しました。