立憲民主党は、11月12日と13日の両日、農林水産部門会議(部門長・神谷裕ネクスト農林水産大臣・衆院議員)を国会内で開催し、令和8年度税制改正要望について、関係団体との意見交換を行いました。(司会:岡田華子農林水産副部門長・衆院議員)
■北海道農民連盟より
北海道農民連盟より、2026年度農業関連税制改正等に関する要望について、以下のとおり説明がありました。
1.農業等に関連する税制改正の要望事項
(1)2025年度末に適用期限が到来する租税特別措置について
①みどりの食料システム戦略に基づき、生産現場で環境負荷低減に取り組めるよう、環境負荷低減事業活動用資産等の特別償却を継続すること。(所得税・法人税)
②肉用牛の売却による農業所得の課税の特例措置を継続すること。(所得税・法人税)
③中小企業等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の取得価格を引き上げた上で継続すること。
(2)免税軽油制度について
農業生産に欠かせない軽油の価格の高止まりが農業経営に及ぼす影響は大きいことから、生産者が安心して営農できる体制整備の一環として、軽油引取税の暫定税率(17.1円/ℓ)の」廃止後も、農業用軽油については引き続き課税免税(32.1円/ℓ)とすること。
(3)2026年度税制改正における制度の新設などについて
①インボイス制度の導入などで税申告が煩雑化するなか、青色申告の更なる推進に向けて、青色申告特別控除額を引き上げること。
また、青色申告による欠損金の繰越控除期間については、個人経営においても法人経営と同様、10年間に延長すること。
②北海道内で農業用に使用する自家用貨物自動車については、冬場の走行距離数が短いことや走行区域も限定されているなどの実態に合わせて、自動車重量税の軽減、車検期間の伸長や検査項目を限定するなどの措置を講ずること。
2.インボイス制度への対応について
生産資材価格の高止まりなど農業経営を取り巻く環境が厳しさを増す中、経過措置があるものの、インボイス制度の導入によって事務的・税負担が生じていることや、消費税相当額の値引きも強要されるなどの現場の実態を踏まえ、制度を廃止すること。
なお、廃止までの間は経営への影響を鑑み、
①免税事業者等からの課税仕入れについて、仕入れ税額相当額の8割を控除できる経過措置について、多様な農業者の営農継続の観点から適用期限を延長すること。
②免税事業者がインボイス事業者を選択した場合、売上にかかる消費税額の2割を納税額とする経過措置について、事務負担軽減等の観点から適用期限を延長すること。
【北海道農民連盟との意見交換】
<中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置について取得価額を引き上げた上で継続することとする要望の裏付け>
参加議員から「これは初めての要望か。急激な物価高は誰もが理解しているが、『取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、特例対象となる損金(必要経費)算入額は年間の少額減価償却資産の取得価額の合計額300万円を上限』となっているところ、上限金額を引き上げた上での継続という要望であるが、その根拠となる裏付けものはないか」(近藤和也衆院議員)との質問がありました。
北海道農民連盟より「初めての要望である。準備不足もあり、いくらに引き上げてほしいという要望の具体的な根拠をお示しすることはできないが、減価償却の対象とならないトラクターやコンバインは2倍近い価格となっている。減価償却の対象となるものの価額は少なくとも5割は上がっている。所得税の基礎控除の見直しもあり、これを踏まえた上で要望している」との説明がありました。
<青色申告における欠損金の繰越控除期間について、個人経営においても法人経営と同様10年間に延長することを要望する背景>
参加議員から「これは初めての要望か。インボイスとは関係ないということでよいか」(近藤和也衆院議員)との質問がありました。
北海道農民連盟より「インボイスとは関係ない。所得税の申告において、収支が赤字となった場合、現行では3年間は赤字を翌年以降に繰り越して控除することができるが、法人税は2015年度税制改正で2017年4月より欠損金の繰越期間が10年に延長された。これに合わせて、所得税の方も10年に合わせていただきたいという要望」との説明がありました。
<肉用牛の売却による農業所得の課税の特例措置の継続>
参加議員から「売却価格が1頭当たり100万円未満(交雑種にあっては80万円未満、乳用種にあっては50万円未満)の場合、特例措置の対象となるが、生産コストが上がっている中、特例措置の対象となる肉用牛の売却価格の上限を引き上げてほしいという声を現場から聴いている。農水省と話をしたら、引き上げることにはならないということであったが、現場からどのような声を聴いているか」(西川将人衆院議員)との質問がありました。
北海道農民連盟より「平成15年までは国税庁から示された経費の指標に基づき申告していたが、平成15年以降は、実額計算で申告することとされた。ただ、急に個々で計算を、と言われても莫大な事務負担がかかるので、指標を参考に使ってもよいとなった。昨年、一昨年、税務調査が入ったとき、当時示されていた指標と現在の牛に係る経費に差が出たため、所得から控除する分が残ってしまい、例えば、畑作と肉用牛の複合経営の場合、畑作まで影響しているのではないかということで札幌国税局から指摘を受けたという経緯がある。今回、限度額引上げについて、要望に盛り込まなかったが、声を聴く中で、これが望ましいということになれば、来年以降要望したい」との回答がありました。
■一般社団法人日本林業協会ほか9団体より
(一社)日本林業協会ほか9団体((一社)全国木材組合連合会、全国森林組合連合会、(一社)日本林業経営者協会、日本林業同友会、全国素材生産業協同組合連合会、全国森林整備協会、(一社)全日本木材市場連盟、日本合板工業組合連合会、日本造林協会)による「令和8年度林業・木材産業関係税制改正要望」について、(一社)日本林業協会より説明を聴取しました。
要望の概要は、以下のとおりです。
(1)山林所得に係る森林計画特別控除の延長(所得税)
個人が所有する森林について、林業経営計画に基づいて山林を伐採又は譲渡した場合に、山林所得の計算上、収入金額の20%(収入金額が2,000万円を超える場合は、その超える部分の金額について10%)を控除することができることとする「森林計画特別控除」について、適用期限を延長すること
(2)農林漁業用軽油に対する石油石炭税(地球温暖化対策のための課税の特例による上乗せ分)の還付措置の延長
林業は間伐等の森林整備を行うことで森林の二酸化炭素吸収量の確保に貢献していることから、林業用機械の動力源に供する軽油に係る石油石炭税について、現行の上乗せ分(760円/㎘)の還付措置を延長すること
(3)バイオ燃料製造事業者が所得したバイオ燃料製造設備に係る課税標準の特例措置の延長(固定資産税)
木質バイオ燃料の製造は、林業者の所得向上や山村の活性化等に貢献するものであることから、バイオ燃料製造施設に係る固定資産税の課税標準の軽減措置の適用期限を延長すること
【一般社団法人日本林業協会ほか9団体との意見交換】
<3点の要望事項以外の希望項目>
参加議員から「全て特例措置の延長の要望であるが、他に加えたい項目もあったのではないか。あれば教えていただきたい」(近藤和也衆院議員)との質問がありました。
(都市近郊森林の固定資産税評価 相続税納税猶予制度の要件緩和)
日本林業経営者協会より「毎年議論しているものとして、林地に係る固定資産税の問題がある。市町村ごとに評価がまちまちであり、都市部に近い森林はどうしても固定資産税が高く評価される。そうしたところは裏山のようなところが多く、伐採もままならず土地だけはもっていて固定資産税だけを払う、という話がある。各市町村に当たってお願いするしかないが、よく出る話題である。相続税の納税猶予制度について、要件が厳しく活用しきれない部分があり、その緩和をお願いしていきたいと思っている」との回答がありました。
(木材需要の拡大)
日本林業協会より「伐って、使って、植えて、育てるというサイクルを、と言っているが、需要が縮むと生産の方も厳しくなってくる。伐ったら必ず植えたいと思っていても、需要がしっかりしていなければ踏み込めない。個人の新築住宅はかなり前から減少することが予測されていたが、あまり減らずに推移していたところ、今、急激に落ち込んでいる。設備投資、流通、加工にしても、一定の見通しがあるからできる。景気全体の問題もあるが、住宅が建って、初めて木材が利用され、新しい森を作り、CO₂の吸収にもつながる、いい循環になっていく。直接税制とは関係ないが、木材需要の拡大をお願いしたい」との回答がありました。
(諸物価に上昇に見合った木材価格の形成)
関連して、日本林業経営者協会より「物価が上がっているが、製材品を含め、木材価格が上がっていない。提供している人は厳しい環境の中でやりくりをしているので、価格がもう少し上がれば楽になるので、なにかいい手だてがあれば」との発言がありました。
<クマ被害対策に係る要望等>
参加議員から「クマが驚異的状況になってきて、林業従事者の身の危険もある。林野庁なのか農水省全体なのか、どこが所管すればよいのかという点も含め、行政の在り方、法律上の担保など何か要望があればご教示願いたい」(近藤和也衆院議員)との質問がありました。
(個体数の把握 地域振興への支援)
日本林業経営者協会より「林業者としては大変困っている。安心して山に入れないのが現実。地域を上げて対策をとっていただきたい。頭数管理をしっかりやらなければならないが、個体数の把握ができ切れていないという感じがある。どこまで捕捉して殺傷していいのか、なかなか難しい。いずれにしても、農山村地域は人口が減り、動物との境が人間に近寄っている。中山間地域をしっかり守って、人が共住する地域を持続的に維持していくことが大事だと思っている。鳥獣害対策とともに地域振興もバックアップしていただきたい」との発言がありました。
(クマよけスプレーの調達 ハチの被害)
全国森林組合連合会より「クマ対策でスプレーが手に入らないことが、現場で問題になっている。現場の人に言わせると、それ以上に暑さによるハチの問題が大変。暑いとハチは低い所に巣を作る。そのため、ハチに気が付かずに踏み込んでしまうことがあり、今年はハチの被害が大きかった。温暖化で夏の作業が非常に厳しい。下刈りを真夏の非常に暑い時期に行うので、人材確保も非常に厳しくなっている。来年の税制改正ではないが、温暖化に伴う現場の課題が顕在化してくると思う」との発言がありました。
<木材価格低迷の原因と対策の考え方>
参加議員から「能登半島では地震の復旧で皆さん頑張っている。住宅建築費用は、地震の前は一坪70万円だったが、今は150万円、ひどいところでは180万円。山元には還元されていない。どこが原因なのか。提言があれば」(近藤和也衆院議員)との質問がありました。
(諸物価高騰に見合った木材価格の形成)
全国素材生産業協同組合連合会より「一般的には住宅の設備に係るものの価格が上がっている。人件費も上がっている。住宅自体の値段が上がっているが所得が増えていないので、住宅着工は厳しい状況になっている。そうした中、製材品の値段は、3~4年前、ウッドショックで一時上がったが、その後下がった。他の諸物価の高騰に比べ木材製品の値段は上がっていない。厳しい状況が続いている」との回答がありました。
(川上川下が一体となった木材価格・コストについてのアピール)
日本林業経営者協会より「我々がやっていることは木を伐って出して、丸いものを角にするというもので、価格交渉をするようなネタがない。あきらめているところもあるというのが実感。外国製品との競争もある。できるだけ使ってもらうために、ある程度価格を抑えて流通しているという実態。もう少し、川上と川下が一体となって、木材価格のコストについて、業界としてもアピールしなければならないと考え、話し合っているところ。特に、持続可能な森林から出てきた材をしっかり使うという運動を一昨年より取り組んでいる」との回答がありました。
(ウェブサイトでの立木市場の試み)
日本林業協会より「お米の値段はいくらであれば生産者が自信をもって続けていかれるかということが大きな話題となっているが、山の場合、生産者側がいくらなら頑張れるというものがなかなか出てこない。バラバラの状態。国産材は、外国産材と比べ、不定期で量がまとまらない、ばらつきが多いということで競争力が劣る。外材の方がまとまって同じものが手に入る。国産材で一定の量をまとめようとするとコストがかかる。国産材に係る生産、流通、加工の部分は小規模、中規模の方が多く、非常に複雑で多岐にわたっているため、全体としてコストがかさむ。最終的には買い手の方が値段や量を決めていく。売る方はどうしても言われた値段で買う。価格交渉力が弱い」とした上で、「2~3年前から提唱しているが、立木で売るという市場を作ってはどうか。丸太にして売るとどんどん劣化していく。足元を見られ、この値段で、と言われると売らざるを得ない。立木であれば、伐った後植える経費まで含めて買ってくださいと主張し、それでもいいという買い手がいれば、自信をもって次の経営につなげていくことができる。そこまで値段が付かなければ、立木なので無理して伐らなくても次の機会に譲ることもできる。木も太っていく。こうした立木市場をサイト上に立ち上げた。この値段で売れれば責任を持って植えるということを誓約した人が出品できる。買い手の方も自分が欲しいものだけでなくグループで出てきたものは全部買い取って使っていくという形が増えていけば、という考えで、2年間補助事業により調査、分析をしたところ、持続性が担保されるのであればほしいという大手の建設業者の方がおられ、思った以上に反応が良かった。去年12月に2件出して、通常の価格の3倍、4倍の価格。ビルダーの方、木材の買い付けをする方にも現場を見ていただき、これだけのいいものであれば考えようと。持続性が新しい価値になるということを最終消費者に分かっていただく戦略を企業の方も考えていっていただければ。今月末か来月頭にもう一度サイトを開設したい」との回答がありました。
<住宅建築費コストと国産材利用の状況>
参加議員から「大手ハウスメーカーに住宅建築を依頼すると1坪100万。宮大工に頼むと88万でやってくれるという。地元の木材であればこんなに高くなるわけはない。大手ハウスメーカーは国産材をどのくらい使っているのか」(小山展弘衆院議員)との質問がありました。
(住宅建築費における材料費の割合は低い 木材コンサルタントの組織化)
日本林業協会より「手持ちに数字がないが、皆さんが思っておられるよりも材料費はかなり少ない。1割とか1割五分。積算の内訳は表にでないので分からない。材料費で山側が大きなシェアをとっているわけではない。地元の木をもっと使ってもらうため、地元の材の状況がわかっている木材コンサルタントの組織を増やしていく方法もある。突然ほしいというとスポット的に高くなるが、早めにいっていただくと希望される価格にできる」との回答がありました。
(住宅における和室を増やす方策)
林業経営者協会より「今建っている住宅は洋間主体で、木材は壁に隠れている。隠れているということは良材ではなく、安い材を使っている。我々が一番困っているのは、和室が減っていること。和室をもっと作るような方策を考えていただければと思う」との回答がありました。
(非住宅建築物における木材利用の促進)
全日本木材市場連盟より「木材需要について、住宅の問題はご説明があったとおり。住宅以外の店舗、オフィスビル、学校、公共建築物における木材利用について、林野庁がPRしていただき、だいぶ普及するようになってきている。床や壁など、内装で目に見えるところに国産材を使って、価値の高い国産材をつかっていただけると川上の山の方にもいい影響がでてくる。住宅以外の建築物で見えるところに木を使う文化を取り戻していきたい」との発言がありました。
■大日本水産会、JF全漁連より
大日本水産会より「水産業を取り巻く状況、懸念を感じていることは、①海洋環境の急激な変化、②人口の減少の2つに集約される。世界的に見ても急激な変化であり、水産業界に与える影響は大変大きい。海洋環境の変化については、日本周辺の海水温の上昇は世界平均の2倍を超える。日々日々深刻さを増している。水産業界の漁場、漁期の変動、主要魚種の不漁など、近年如実に表れてきている。燃油や各種資材や人件費の高騰などに加えて、このような海洋環境の変化により、水揚げが減少し、たくさん獲れてもなかなか処理ができないということに悩まされている。能登半島地震の被災地の復旧復興が他の被災地に比べ、時間がかかっているとも感じている。課題が山積みになっている。水産業界としては、こうした困難な課題に対して、業界最大の使命は国民に対する水産物の安定供給だと考えているので、食料安全保障に寄与していくため、困難な中、それぞれの業種、特例に応じて対応しているが、漁業経営、生産基盤の維持確保をしていくことが非常に重要。支援をお願いする。また、人口減少により需要の減少、人材確保の困難性がますます増している。需要拡大の取組も重要。デジタル化などにより若年層や女性も活躍できる水産業にしていかなければならないとの思いを強くしているところ。水産業は多面的機能を有する。これによって、地域社会・経済に貢献して、人口減少の影響を少しでも緩和することができるのではないかと思っている。このような地方創生、地域活性化を推進する支援もお願いする。水産業が持続的安定的に成長することにより、浜の構造改革や漁村の活性化、食料安全保障が果たされていくと考えている。我々として、こうした取組をしっかり進めていこうと決意している。ご支援をお願いしたい」との発言がありました。
次いで、JF全漁連より、令和8年度税制改正に関する要望について、以下のとおり説明がありました。
1.期限延長事項
(1)農林漁業用軽油にかかる石油石炭税(地球温暖化対策のための課税の特例による上乗せ分)の還付措置について、適用期限の延長をすること。
(2)試験研究を行った場合の税額の特別控除の適用期限を延長すること。
(3)輸出事業用試算の割増償却の適用期限を延長すること。
(4)福島県内において特定事業活動に係る機械等を取得した場合の特別償却又は税額の特別償却の適用期限を延長すること。
(5)特定事業活動を行う事業者が特定被災雇用者等を雇用した場合の税額の特別控除の適用期限を延長すること。
(6)東日本大震災被災地での代替資産等(漁船)に係る特例措置の適用期限を延長すること。
(7)東日本大震災の被災者等が建造又は取得をした船舶等(漁船)に係る所有権の保存登記等の免税の適用期限を延長すること。
(8)東日本大震災の特別貸付に係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税措置の適用期限を延長すること。
(9)東日本大震災の被災者が作成する船舶等(漁船)の取得又は建造に係る船舶等(漁船)の譲渡に関する契約書等の非課税措置の適用期限を延長すること。
(10)被災代替償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例の適用期限を延長すること。
2.拡充事項
(1)農令和7年度税制改正大綱で決定された子育て世帯に対する生命保険料の拡充の適用期限の恒久化等をすること。
【大日本水産会、JF全漁連との意見交換】
<漁業経営セーフティネット構築事業の発動基準を引き下げる必要>
参加議員から「とにかく油代が高くて大変。円安が長く続いている。今回の物価高。小規模の漁師さんは油代が高いので漁に出ない。民主党政権の時に漁業所得補償を行った。発動基準が前年までの平均値との比較であるが、長いトレンドの中で高止まっているので、発動基準が高すぎで補填ができていないのではないか。本当の意味で所得を補償するため、セーフティネットの発動基準を例えばℓ60円で固定すれば、安心して漁業者が漁業できる環境を作れると思っている。どのようにお考えか」(山田勝彦衆院議員)との質問がありました。
大日本水産会より「現状はおっしゃるとおり。特にウクライナ紛争以降、どんどん油代が上がって補填額が少なくなり厳しいとの声は我々もよく聞いている。もともと、セーフティネット事業は、油が少しずつ高くなっていくのであれば、漁業者も省エネの努力をし、それが間に合わないので、その間は補填しようとの考え方であった。しかし、このように急激に上がったまま止まってしまうと厳しいとの話を聞いている。特に、油代が上がっている原因は漁業者の責めに帰すものではないので、この場をなんとかすることを考えてもらえないかと水産庁にも相談しているが、なかなか理屈がないと厳しいと言われる。実際には見直しには至っていない」との説明がありました。
<東日本大震災に係る税制特例を必要とする期間の見込み>
参加議員から「東日本大震災関連の税制について、震災発生から14年半経過するが、それでもまだ苦しい状況にあるということで特例の延長を要望しているが、あとどのくらいの期間が必要とみているか」(平岡秀夫衆院議員)との質問がありました。
大日本水産会より「福島県と他の地域は事情が異なる。アルプス処理水を放出している。この決定をする過程で、福島原発の対応が終わるまでは、福島県に係る税制要望は福島県に寄り添って支援していただけるということと認識している。東日本大震災関連の税制特例について、あとどのくらいやればいいのか、という問いに対して、私の方からお答えすることは難しい。当初に比べて復旧・復興が進んで漁港施設に関しても支援をしていただいている。いつまでもそういうことではないとは思っている」との回答がありました。
<能登半島地震に係る税制改正要望>
参加議員から「先ほどの説明で能登半島地震の話がでたにも関わらず、能登半島に係る要望がない。来年度は能登半島関係の税制特例措置の期限切れを迎えるものではないということか」(平岡秀夫衆院議員)との質問がありましたが、調査の上、回答することとされました。
<子育て世代に対する生命保険料控除の拡充の適用期限の恒久化等を要望する趣旨>
参加議員から「拡充事項に係る要望で、子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充の適用期限の恒久化等とあるが、漁業関係の方がこうした要望することはなんとなくしっくりこない。水産業の方による要望は珍しいことなのか、水産事業者の自助努力を支援するものとして必要だという認識をもって要望しているのか」(平岡秀夫衆院議員)との質問がありました。
JF全漁連より「JFグループに共済連があり、漁師のご家族に共済に加入していただいている。漁業者の生活を守る意味で要求させていただいている」との回答がありました。
<試験研究を行った場合の税額の特別控除の適用期限の延長>
参加議員から「試験研究を行った場合の税額の特別控除の延長期限の延長を要望しているが、詳細を教えてほしい」(徳永エリ参院議員)との質問がありました。
JF全漁連より「研究開発税制について、他の案件も含め、水産庁から活用実績があるのかどうかと照会があり、これまでやり取りをしてきた。率直に申し上げ、実績がないものについても今回要望させていただいた。復興を後押しするためには実績の有無にかかわらず、必要な措置は延長していただきたいと要望させていただいている」との回答がありました。
<漁獲される魚種の変化に対応した新商品の開発のための試験研究>
参加議員から「北海道でブリやフグの日本一の産地になり、獲れなかったオオズワイガニが大量に獲れるようになったが、地元で食べる習慣がない。もともとの産地に、品質が落ちた状態で送って、価格がたたかれている状態。獲れたところでしっかり加工し、加工したものを出荷すれば漁業者の所得向上にもつながり、浜の加工業者の方々にもいいのではないかとずっと言ってきている。設備投資にものすごくコストがかかるため、やりたくてもやれない状況がある。こうしたことに関して、『新商品の開発のための試験研究の促進』に係わってくることがあるのか」(徳永エリ参院議員)との質問がありました。
大日本水産会より「実績がゼロ若しくは極めて少ない中、研究開発税制に新商品の開発も念頭に置いている。一部の圏域においては、そうしたものも絡めて活用しているところも聞き及んでいる。加工については、経産省の基金を北海道で漁協、関係団体が活用させていただいている。加工分野での施設の増強など、幅広に予算を活用させていただいている。予算と税制の併用で後押ししたい」との回答がありました。
参加議員から「せっかく特別控除があるので、実績を上げるよう、関係方面にはしっかりアナウンスをしていただきたい。我々も力になることがあれば取り組む」(徳永エリ参院議員)との発言がありました。
<漁協の共販事業をめぐる動向>
参加議員から「税制改正ではないが、これまで、共販事業に対して規制改革会議の中で理解のない動きがあった。高市内閣の中での動きについて分かれば教えていただきたい」(小山展弘衆院議員)との質問がありました。
JF全漁連より「共販事業、特に、有明の海域において排除命令などで係争状態にある。我々は協同組合原則にのっとって適切に販売事業等を行い、一切やましいことはしていないという認識の下で、当該圏域の会員と連携して、必要な情報発信、サポート、情報の共有を行っている。いろいろ報道がなされているが、特段、政権が変わったからといって、新たな情報に接したということはない。引き続き、主張することは主張してまいるので、引き続きお力を賜ればと思う」との回答がありました。
<JFマリンバンク関係の要望>
参加議員から「マリンバンク関係で何かお困りのことがあればご教示願いたい」(小山展弘衆院議員)との質問がありました。
JF全漁連より「漁協系統信用事業に限らず、マイナス金利ゼロ金利が解除された中、調達サイドで、金融機関業態、個々の金融機関によって局面がまちまちの状態になっている。マイナス金利ゼロ金利のときは預貯金の利息について差異がほとんど出なかったので、リレーションシップバンキングにとっては、ある意味、フォローの風が吹いていた。金利が建ってくると預貯金者は金利先行が強く働きだす。そうした中、金利の増減がまちまちになっている。マリンバンクの貯金は安定して推移している。漁業者の皆さまと強く結びついた貯金であることが強み。一方、同じ漁村でも都市部に近い所では他の銀行との競争も厳しい。農林中金としっかり連携し、系統金融を守っていくべく対応していきたい」との回答がありました。
<海業の推進>
参加議員から「福井のリアス式海岸では小規模の漁家が多く、漁家民宿を営まないとやっていけない。海業の推進についてはどう考えているか」(辻英之衆院議員)との質問がありました。
大日本水産会より「海業に大変期待している。もともとは観光業の延長のようにとらえられている面が大きいが、それだけではうまくいくところとそうでないところが出てくる。海はいろんな可能性があると思っている。先行している観光、教育をやりたいが、これに加え、例えば藻場造成も海業に入らないかとか、いろんなアイデアがある。いろいろな可能性を追求して漁家の所得を増やしていきたい」との説明がありました。
JF全漁連から「地元の漁業者、漁協が納得した海業であることがポイント。それ以外のプレーヤーが前に出て話を進めないように、そこだけ気にしている」との発言がありました。参加議員からは「福井の小浜では水産高校、水産大学もあり、体験学習が盛んで、漁民と地域の皆さんが子供の学びに力を入れている。応援をしてきたい」(辻英之衆院議員)との発言がありました。
■全国農業会議所より
全国農業会議所より、令和8年度税制改正要望について、説明を聴取しました。
要望事項は18項目ありますが、このうち、農地と担い手に関する要望について説明がありました。その概要は、以下のとおりです。
1.青色申告関係
(1)青色申告特別控除額を引き上げること。
(2)青色申告による欠損金の繰越控除期間(現行3年間)を延長すること。
法人化を選択しない家族経営に対する支援。
2.農地の所有権移転による規模拡大関係
農用地利用集積等促進計画及び農業委員会のあっせん等により認定農業者に対して農地等を譲渡した際の譲渡所得の特別控除額を大幅に引き上げること。(現行800万円→改正3,000万円)
3.農地中間管理機構(農地バンク)関係
(1)農地中間管理事業の推進に関する法律に基づく農用地利用集積等促進計画により農用地区域内の農用地等を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減措置(20/1000→10/1000)の適用期限を延長すること。
(2)農地中間管理機構が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減措置(20/1000→10/1000)の適用期限を延長すること。
(3)農地中間管理機構を活用した場合の固定資産税の軽減措置を延長等すること。
3.新規就農・担い手確保関係
地域農業の担い手確保の観点から、新規就農を促進するため、農業協同組合等が認定新規就農者に利用させるために機械装置等を取得した場合の課税標準の特例措置を延長等すること。
【全国農業会議所との意見交換】
<青色申告に係る商工業者の要望>
参加議員から「青色申告については商工業も同じ要望を出しているのか。農業関係者のみなのか」(平岡秀夫衆院議員)との質問がありました。
全国農業会議所より「商工系との連携はほとんどない。商工系と組めるのであればやっていきたい」との回答がありました。
<新規就農者が利用させるため機械装置等を取得した場合の課税標準の特例措置の利用状況>
参加議員から「新規就農に係る特例措置の利用状況について情報があれば教えていただきたい」(平岡秀夫衆院議員)との質問がありましたが、後ほど回答することとなりました。(本件については、この後聴取したJA全中の税制改正要望の説明資料中に、令和2年度の制度創設以来、令和3年度37件、令和4年度254件、令和5年度501件、令和6年度669件と、右肩上がりに増加している旨の説明がありました。)
<認定農業者に対して農地等を譲渡した際の譲渡所得の特別控除額の大幅引き上げが農村人口に与える影響>
参加議員から「所有権移転した譲渡人が利益を出した場合に減税になるということで、土地を手放すことが増える方向に働くが、これでよいのか。地方では人口減少で担い手は必要だが、集落に人がいなくなるという問題があるが、どう考えるか」(階猛衆院議員)との質問がありました。
全国農業会議所より「根本論の問題。負債整理のため、農地を手放す人はたくさんいる。そこに対する手当は必要。地域の農村の人口が減ることについては、税制とは違った施策で手を打つべきと思っている。農業委員会による農地のあっせんは、本当に深刻。農業委員が農地を売りたい人買いたい人の仲立ちをするが、買いたい人は堂々と玄関から入ってくるが、売りたい人は暗くなってから勝手口からこっそり来る。現場で農地を売るということはかなりのプレッシャー。かつて農業委員会は市町村の本庁舎でなく別館に入っていることが多かった。当時、農協は毎日行く場所、農業共済は台風が来たら行く場所、農業委員会は一生に1回、できれば行きたくないところと言われた。それは先祖代々の農地を手放すときにこっそり相談にいくため。控除の額がそれなりに大きいということは、借金返済の時に少しでも原資を増やすという意味で大事な制度。そもそも人が減ることについてはおっしゃるとおり。これは税制とは違いった農業政策、社会政策で手当てをするのが大事と思っている」との回答がありました。
参加議員から「農地を売った場合、負債の分を考慮しないで直接税金がかかるという仕組みか。ずっと要求し続けているのか」(階猛衆院議員)との関連質問があり、全国農業会議所より「負債というよりも離農する、農業を縮小するときの制度として昔から大きな位置付けを占めている。農業委員会のあっせんが始まったときから特別控除が措置されていた。当時は800万円より少ない額であったが、要望して800万円となっている。これを増やしていただきたいという要望」との回答がありました。
<家族農業への支援の重要性>
参加議員から「全国農業会議所は農林水産省とセットで、大規模農家、規模拡大と全面的にやってこられたという印象を持っている。これは否定しないが、家族農業が小規模と言うわけではないが、家族農業へのバックアップが足りないと常々思っていた。しかし、数年前から、大規模でやっていったら人口が少なくなっていく。関係人口交流人口ということで農村の人をつなぎとめようとしているときに、大規模ばかりではよくない。青色申告の関係は家族農業をバックアップするということでよいこと。以前からやっていると思うが。新規参入には温かいが、農村に住んで農業を営んでいる人へのバックアップが少ない。それほどもうけていないので税金を減らす必要がないのかもしれないが、そちらの方を要望していただきたい。農業委員会もかつては変わってきた。立派になったなと思っている」(篠原孝衆院議員)との発言がありました。
全国農業会議所より「3年前、兼業農家をしっかり措置すべきとの要請をした。1961年に旧農業基本法が成立し、自立経営を推進し、農業法人を作り、稲作経営者会議を作り、農業法人協会を作ってきた。農協と骨肉の争いをしてきた。当時は、農協グループは特定の組合員を支援するのはダメだと。我々は農業で頑張る人に支援をすべきだと。そのため、1980年から、登録農家制度を作ってくれと主張してきたが、これが認定農業者制度になったと思っている。農業で頑張る人へ支援することが成り立つのは、地域にいい兼業農家が分厚くいたため。兼業農家が頑張る人に農地を提供して成り立つロジックであった。今、兼業農家がいなくなっていて、兼業であれ、専業であれ、農業で頑張る人を支援したいというのが全国農業会議所のスタンス」との発言がありました。
<定年帰農を支援し、担い手として位置付けるべき>
参加議員から「新規就農を促進するための税制特例措置の延長要望がある。新規就農よりもずっと数が多くてまじめにやっているのは定年退職してやろうとしている人たち。これをバックアップしていいのではないか。80歳まで20年間働けばたいしたものだ。ふるさとに帰って農業やろうという人を農業労働力、農業の担い手として位置付けるべき」(篠原孝衆院議員)との質発言ありました。
全国農業会議所より「地域計画で農業を担う者は兼業でも良いことになった。基本法27条に2項を付けていただき、政府も担い手だけでは無理ということが分かってきた。全国農業会議所として、兼業農家をしっかり支援せよと言い切りたいが、持ち出し方について検討しているところ。改めてご指導いただきたい」との発言がありました。
<認定農業者に貸し付けていた農地を売却する場合の特例措置>
参加議員から「もともと認定農業者に貸していた人が亡くなるなどして、家屋敷も農地も売却するような場合も税制特例の対象となるのか。今まで農地を借りていて、もらってくれと言われてもらったら贈与税を取られたという話があった」(小山展弘衆院議員)との質問がありました。
全国農業会議所より「原理原則から言えば、あっせんや促進計画は、出し手というよりも受け手のほうに認定農業者であるなどの要件がある。農業委員会には、農地を買える人の名簿であるあっせん譲受者名簿を備えておくことになっている。今の話の場合、利用権設定がすでになされているのであれば、受け手の条件は満たしていると思われる。農地を手放す方については要件がない。贈与税については違う問題。農地を手放したい人が一定の要件を満たしている人に売った場合に800万円の控除がある。これを引き上げてほしいという要望」との回答がありました。
<再生可能エネルギー発電施設に係る特例措置の適用期限の延長>
参加議員から「再生可能エネルギー発電施設に係る特例措置の適用期限の延長を要望する理由として、『バイオマス発電など地域資源を活用した再生可能エネルギーの製造が農業者の所得向上や農山漁村の活性化等に貢献する』としているが、農地を利用した太陽光発電も含まれるのか」(平岡秀夫衆院議員)との質問がありましたが、確認の上、回答することとされた。
■一般社団法人全国農業協同組合中央会(JA全中)より
JA全中より、令和8年度税制改正要望について、説明を聴取しました。
要望の概要は、以下のとおりです。
(1)農林漁業用軽油に対する石油石炭税の課税の特例の恒久化。
燃油価格が高騰・高止まりする中、食料安全保障を強化し、国産農産物の安定供給を図るため、農林漁業用軽油の石油石炭税に上乗せされている地球温暖化対策税分の還付措置について恒久的措置を講じること。(時限特例措置の恒久化)
(2)肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の延長
飼料価格が高騰・高止まりする中、畜産経営の安定及び国産牛肉の安定供給を図るため、肉用牛の売却による農業所得の課税の特例措置について適用期限を延長すること。
(3)新規就農者が利用する機械装置等に関する固定資産税特例措置の延長
新規就農者の確保・育成を通じ、生産基盤強化を促進するため、JA等が認定新規就農者のために機械装置等を取得した際の課税標準の特例措置について適用期限を延長すること。
【JA全中との意見交換】
<豚肉、鶏肉・採卵鶏に係る税制特例>
参加議員から「肉用牛の売却による農業所得の課税の特例は措置されているが、豚肉や鶏肉・採卵鶏に係る税制についてはどのように整理されているのか」(平岡秀夫衆院議員)との質問がありました。
JA全中より「この税制は牛肉自由化のときに対外コストの差額を埋める経営安定対策としてできたもの。そのため、豚や鶏にはないのではないか」との回答がありました。
<肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の経営規模要件>
参加議員から「所得税・法人税等を免除する対象となるものは、売却した肉用牛のうち、①100万円/頭未満、②1経営体当たり1,500頭以下とされている。②について、事実上、全経営体が対象となるのではないか」(篠原孝衆院議員)との質問がありました。
JA全中より「こういう要件は我々が求めているものではない。財務省あたりが特例であることから、一定規模以上の経営体は必要ないのではないか、ということで、この規模となった。1,500頭以上の経営は相当少ないと思う」との回答がありました。
<肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の飼料作物栽培要件>
参加議員から「同一経営体が飼料用作物を栽培しているとの要件があったのではないか。これが制約要因としてどう影響しているのか。国産粗飼料増産のための政策誘導は想像できなくないが」(渡辺創衆院議員)との質問がありました。
JA全中より「要件としてはあるが、毎年意見要望を積み上げるときに、それが支障になっているということを聞いたことはない。この税制は大胆な税制なので、100万円/頭未満との要件が厳しくされるのではないかと懸念する声が多いと思っている」との回答がありました。
<軽油の暫定税率の廃止が農業者に与えるメリット>
参加議員から「農林漁業用軽油に対する石油石炭税の課税の特例の恒久化に関連し、今回、我が党が頑張って、軽油の暫定税率を廃止することが決まったが、これは農業者にとってメリットがあるのか」(階猛衆院議員)との質問がありました。
JA全中より「ある部分もあると思っているが、現場からは、一時的に暫定税率を減らすために補助金を増やしていくと、補助金がなくなった瞬間、来年4月1日以降、免税軽油の部分が上がるのではないかとの懸念の声がある」との回答がありました。
これに対し、参加議員から「軽油の暫定税率は17.1円/ℓ。農林漁業用軽油における石油石炭税の特例で還付されるのは㎘当たり760円なので、1ℓにすると0.76円。軽油の暫定税率廃止の方が、圧倒的に恩恵が大きいと思う。ご指摘のデメリットのところに何らかの手当をする必要があるが、軽油の暫定税率の廃止の効果があることを考えれば、0.76円は些少ではないか」(階猛衆院議員)との指摘がありました。JA全中より「額としてはそういう部分もあるが、軽油引取税含めて、免税になっているところもあり、我々としては農業者に関する石油石炭税のところも免税のお願いをずっとしているところ」との回答がありました。
参加議員から「農家にやさしい立憲民主党としては、暫定税率を廃止するとともにこちらもちゃんとやるということでよろしいと思う」(階猛衆院議員)との発言がありました。
<機械施設等のリースによる新規就農者が途中で辞めた場合>
参加議員から「機械施設をリースして新規就農者した人が途中で辞めた場合、機械施設の所有権を持っている農協は不良資産を持っていることになりはしないか。こうしたリスクは顕在化していないかもしれないが、どう考えるか」(階猛衆院議員)との質問がありました。
JA全中より「我々はひとりでも新規就農者に増えていただきたい。これは共同利用施設。トレーニングファームの場合は10名くらいに入っていただく。途中で脱落される方もいるかもしれないが、必ず一人でも二人でも多くの方に就農してもらうことが大事だと思っている。手をこまねいて新規就農者が入らないことの方がリスク。収益事業ではない中、固定資産税は収益が上がらなくても納めなければならないので、ぜひ、こうした減免を続けていただき、我々としてはリスクをできるだけ避けていきたい」との回答、「特例措置は令和3年からであるが、トレーニングファームは各地区で平成10年代後半から取り組まれている。岐阜ではイチゴのトレーニングファームを作り、地域の生産者の約半分がトレーニングファーム出身者。確かに、ご指摘の懸念はあるが、トレーニングファームに受け入れるときに、しっかりと、その方がどういう方か見て、行政と連携しながらやっている。心配事ではあるが、こうした施設がないと新規就農者が生まれてこない。JAグループとしてしっかりやっていきたい」との回答がありました。
<全農による新規就農支援の取組>
参加議員から「全農の桑田理事長の話をうかがったことがあるが、全農もかなり積極的に新規就農関係の事業を展開していると聞いている。その内容をご教示願いたい」(小山展弘衆院議員)との質問がありました。
JA全中より「全農は、今やろうとしているところ。県本部については、さきほどのイチゴの事例が岐阜県本部での取組でやっているところ。桑田理事長が紹介した話は、おそらく、ゆめファーム全農。現在、栃木、高知、佐賀で展開し、栃木はトマト、高知はきゅうり、ナス。佐賀ではきゅうりの施設を作っている。この施設は、高軒高ハウスといって、背の高いハウスを作り、どんどん上に伸ばしていく。トマトでは、栃木で10aあたり20トンくらいだが、この施設では40トン獲れる。埼玉の方に土地を取得して、トレーニングファームとして研修していただくこととしている。高軒高ハウスの栽培技術について学んでいただく。岐阜県のイチゴについては、平成20年から行政と連携して取り組んでいる。岐阜県本部が施設を取得し、行政は新規就農者の暮らしの関係、住むところなどの面倒をみている。こうした事例は全国に広がっている」との回答がありました。
<新規就農者が利用する機械装置等に関する固定資産税特例措置の対象者>
参加議員から「長野では里親農家、農業法人で研修しているが、トレーニングファームは個別の農家も農業法人も含まれるのか」(篠原孝衆院議員)との質問がありました。
JA全中より「税制の特徴は、個人の農家の試算にしないということで、協同組合が共同利用施設として作ったものが対象となっている。法人はこの税制は使えない。公益性のあるものの税制措置として作られている」との回答がありました。
■その他
金子恵美衆院議員(農林水産委員会筆頭理事)より、初回の委員会開会について、①政治空白があったこと、②高市政権が誕生し新しい大臣が就任したこと、③コメをめぐる状況が変化してきていることから、今まで以上の時間をしっかりとってからでないと合意しないという前提で、与野党で協議していきたい、との発言がありました。
神谷部門長より、部門会議で議論した経済対策について、政調における調整状況について報告がありました。