野田佳彦代表は11月23日、「ここからはじまる―聞く・つなぐ・変える―」全国キャンペーンで鳥取県を訪れ、米子市で対話集会に参加、その後伯耆町で中山間地域の農業について農家の皆さんと懇談し地元の農地を視察しました。
【対話集会】
鳥取県連主催の対話集会は、浜田妙子鳥取県議が司会を務め、県連代表である興治英夫鳥取県議のあいさつに続き、湯原俊二鳥取県第2区総支部長が日々の活動を通じ寄せられる声を紹介しました。
■湯原俊二第2区総支部長
湯原総支部長は「偉い人は黒塗りの車で来て、市町村長や市町村議会議長や社長さんや地域の支部のお偉いさんにだけ会って、また車で帰っていく。地域の実際が分からずに、選挙区は地方だからと国政を、農政を、社会保障をやっていく」と自民党の姿勢を批判しました。
また、地域をまわる中で、年金暮らしの高齢者から「物価高でどうやって食べていけばいいのか」との切実な声や、空き家や耕作放棄地の増加、農家の後継者不足など地方が抱える深刻な課題を聞くとして「残念ながらこうした声が今の政権では反映されていない」と指摘しました。
高市政権について「防衛予算を前倒しするが財源は未定。国民負担を強いるのか、借金で賄うのか、福祉や教育予算を削るのか。何も決めずに後で請求書だけ国民に突きつける政治だ」として「自民党が強い地方の選挙区をひっくり返して政権交代を実現したい」と訴えました。
■野田佳彦代表
野田代表は「聞く、つなぐ、変える」をテーマに毎週末、全国各地で対話集会を開催していると話し、県議会議員に当選以来40年間街頭に立ってきたとし「ビラを配って、そして近寄ってきていただいている方の声を聞くようにしている」「その時にいろんな声を投げかけていただける。今国民が何を考えてるのか、何を欲しがってるのか、どういうご要望があるのかということはよく分かる」と自らの政治活動の原点と重ねてキャンペーンの趣旨を説明しました。
高市政権については「自民党と公明党は26年間連立を組んできた。とかくイケイケになりそうな自民党に歯止めをかけ、ブレーキをかけるのが公明党だった。今はパートナーが維新に変わり、イケイケのコンビになってしまった」と指摘。立憲民主党や公明党などが「中道のチーム」としてブレーキ役を果たす必要性を強調し、次期総選挙では比較第1党を目指して中道政権を実現したいと意欲を示しました。台湾有事をめぐる高市首相の発言について、自身の首相時代に尖閣諸島を国有化した経験を引き合いに「今回は台湾との関係においては中国が国内問題だと思っている分、尖閣の時にハレーションが起こった時よりもより深刻だ」と指摘。「円は売られ、国債は売られ、日本が売られている。たった1カ月で激動の時代になってしまった」と批判しました。非核三原則の見直し議論についても「昨年は日本被団協がノーベル平和賞を受賞した。その次の年に非核三原則の見直しを行うというのはあってはならないことだ」と反対を表明しました。
アベノミクスについて「円安になり、輸出型の大企業は史上空前の儲けを上げて内部留保は溜まった。溜まったけれども中小企業に回ってこない、地方に回ってこない。年金生活者に回ってこなかった、働いてる人に回ってこなかった」と総括。「トリクルダウンではない、トリクルアップ。下の受け皿で苦しんでいる人たちが、財布の紐を開くようになった時に、個人の消費が元気になってきた時に、日本の景気は回復するのではないでしょうか」と述べ、食料品の消費税ゼロなど実現を訴えました。
■参加者との対話
続いて会場の参加者との対話では、子育て中の母親から「今住んでいる地区は中学校1校、小学校3校で数年後に(小中一貫の)『義務教育学校』になる予定になっている」とし「学びの環境は良くなるが、家から遠くに学校ができ通学に負担がある。特に山間部では朝早く起きて通学しないといけない。子どもに負担が増えているのではないか」との懸念の声に、野田代表は「人口減少の中で出てきた知恵で、9年間一貫教育のメリットはある」としつつも「統合の結果、通学の距離が遠くなる子どもたちが多くいる。その弊害が、東北の中山間地ではクマが出るなど子どもの命にかかわる状況」と指摘。立憲民主党は公共教育の充実を大きな政策の柱としているとして「指摘いただいた課題も多くある。文部科学部門で議論を詰めるように指示をしたい」と答えました。
地元で鉄道の運転士を務める女性から「ローカル線のあり方の議論が進んでいるが、あるべき姿、あるべき交通体系、持続可能な形、この言葉の先にあるのは廃止論でしかない」との指摘とともに「このままでは地方は、鉄道やバス、タクシーの公共交通事業者の収支論では、廃止の一途をたどり、地方全体が衰退してしまう。地方の移動の権利、そして私たちの働く場所を守るためにも、(国で)議論を」との訴えに、野田代表は「過疎地域、人口減少地域で、交通網が途絶え続けたら、ますます、その傾向が拍車がかかる」とし「国土交通部門を中心に議論を加速していきたい」と応じました。
このほかに、会場からは国家予算、差別禁止法制定、教員の待遇改善、エネルギー問題などについて意見が寄せられました。
対話集会後、野田代表は伯耆町の中山間地域で農業を営む関係者との懇談会に参加、深刻化する第1次産業の後継者不足や農業政策について意見を交わしました。
地元農家からは「私が20歳の頃には70何軒あったが、今52軒で18軒空き家だ」「働くところがないから都会にみんな出て行ってしまう」との話や「30ヘクタールに90軒の地権者がいるが、農業しているのはそのうちの1割」と、就農問題の実態について説明を受けました。
野田代表は、食料確保と農地維持のため、地域就農支援の予算を10倍に増額する方針を示し、「担い手は親元就農だけでなく、新たにやる気を持って農業に入ろうという人を作らなければ」と強調。現行は49歳以下が支援対象の年齢を65歳以下に引き上げる考えを示し、「農業予算は食料安全保障と言いながら5兆円から2兆円台に減った。防衛予算は9兆円台なのに」と予算配分の歪みを指摘、一次産業の強化を訴えました。
懇談後、野田代表は同町荘地域を訪れ、山間部に広がる農地を視察しました。座談会と視察には湯原総支部長に加えて村上泰二朗鳥取県議、大森英一伯耆町議、柊康弘境港市議が同行しました。