立憲民主党・無所属は12月1日午後、「国土の適切な利用及び管理を確保するための施策の推進に関する法律案」(不動産取得実態調査法案)を衆議院に提出しました。本法案は、国土を将来世代にわたる共有資源と位置づけ、土地や建物の取得・利用に関する実態を適切に把握するための基本理念、国と自治体の責務、情報収集体制の整備などを定めるプログラム法です。現行制度では情報が省庁ごとに分散し網羅的な把握が難しいことから、国土政策の基盤強化を目的としています。
提出後の記者団取材で、筆頭提出者の黒岩宇洋衆院議員は、「国土の適切な利用と管理を進めるためには、まず基礎となる情報を整え、国と自治体の責務を明確にする必要があります。本法案はその第一歩です」と説明しました。また、土地情報が登記、国土利用計画法、農地法、森林法、外為法、重要土地調査法など複数制度にまたがり、「政府自身も実態を網羅的に把握できていない状況にある」と指摘。事後届出中心の制度により取得目的や支配関係が十分に捕捉されていない現状についても触れ、「制度上把握可能であっても、実際には情報が集まりきっていない」と述べました。
法案取りまとめを担った藤岡たかお衆院議員は、「現行制度では不動産の実態把握が不十分であり、丁寧に把握できる枠組みを整えることが重要だ」とコメントしました。
白石洋一衆院議員は、法人が土地や森林を所有するケースに言及し、「形式的な名義ではなく、実質的支配者の情報を確認できる仕組みが重要だ」と指摘。
また森山浩行衆院議員は、「排外主義に陥らず、調査に重心を置いた法案です。対象を広げつつ、人権への配慮も明確にしています」と述べ、本法案が多文化共生・共生社会の理念とも整合的であることを説明しました。
黒岩議員は、土地取得に関する不安が背景にあるとしても、規制先行は適切ではないとし、「不安だけでは立法事実にならない。まず実態を把握し、その結果に基づいて適切な対応を検討すべきです」と強調しました。
国土交通委員会筆頭理事の谷田川元衆院議員は、すでに自民党側の筆頭理事へ審議入りを要請したことを明らかにし、「国交委員会で速やかな審議が行われるよう働きかけていきます」と述べました。
立憲民主党は、不動産価格の高騰や情報の不透明性から生じる不安を解消し、誰もが安心して暮らせる地域社会を実現するためには、適切な実態把握が不可欠との立場から本法案を提出しました。
あわせて、党が掲げる 多文化共生・共生社会の理念 に基づき、制度設計および運用においては人権尊重と公正性を確保し、特定の属性を不当に扱うことのないよう丁寧かつ慎重に進めていく方針です。
党としては、国民の安心と地域社会の持続性を支える制度として、透明性と配慮を備えた取り組みを進めていく姿勢を明確にしています。
今回の法案提出者は、黒岩宇洋(筆頭提出者)、白石洋一、奥野総一郎、森山浩行、後藤祐一、藤岡たかお、谷田川元、山井和則、鎌田さゆりの各衆院議員です。
「国土の適切な利用及び管理を確保するための施策の推進に関する法律案」法律案要綱.pdf
「国土の適切な利用及び管理を確保するための施策の推進に関する法律案」法律案.pdf
国土の適切な利用と管理の推進に向け衆院に「不動産取得実態調査法案」を提出
2025年12月1日