本庄知史政務調査会長は12月3日、国会内で記者会見を行い、(1)18兆円規模の補正予算案の評価と問題点(2)政府が検討する旧姓使用拡大法案と選択的夫婦別姓制度のあり方、(3)公明党との政策距離や補正予算への対応を含む野党間連携――等について発言しました。

(1) 18兆円補正は「6割以上が借金」 基金・防衛費・予備費を問題視

 本庄政調会長は、閣議決定された18兆円規模の補正予算案について、第1の柱である物価高対策・生活支援は「概ね評価できる」としつつ、「中低所得者への現金給付など即効性のある物価高対策が欠けている」「医療・介護支援の規模はもう少し厚くあるべきだ」と指摘しました。

 一方、第2の柱の危機管理・成長投資、第3の柱の防衛・外交関係費、さらには予備費について「年度末まで残り数カ月という段階で、補正で計上すべきか疑問だ」と述べ、夏の概算要求にはなかった基金が新たに複数計上されていることや、防衛費の装備品購入・基地整備など「数カ月では執行しにくい経費」が多い点を問題視しました。予備費は残高約2,900億円があるなかで7千億円を積み増すなど、残り3カ月で再び1兆円に戻す合理性はないと指摘。補正18兆円のうち約12兆円が新規国債であり、「6割以上が借金の補正予算が『責任ある積極財政』と言えるのか、厳しくただしていく」と述べました。

(2) 旧姓使用拡大だけでは「選択肢は減る」 選択的夫婦別姓の実現を強調

 政府が、夫婦同姓を維持したまま旧姓の通称使用を拡大する法案を来年通常国会に提出する方向と報じられていることについて、本庄政調会長は「旧姓使用の拡大自体を否定するものではない」とした上で、「選択的夫婦別姓が導入されても旧姓を通称として使うことは可能であり、選択肢を広げる方向で議論すべきだ」と述べました。その一方で、別姓を認めないまま通称使用のみを広げる考え方について「選択肢を減らすことになる」と懸念を表明。「結婚しても、それぞれが不変の氏を選べる社会を目指している」とし、経団連や連合、全国知事会などからも選択的夫婦別姓を求める声が上がっていることに触れ、「国会が(社会の議論に)取り残されている」と指摘しました。その上で、「一人ひとりの人生の選択肢を増やす方向で、選択的夫婦別姓の実現に向けて他党とも連携していく」と強調しました。

(3) 公明党との政策距離は「近い」 補正予算対応や政治改革での連携も視野に

 公明党が「中道改革」を掲げて政策の5本柱を打ち出したことをめぐり、本庄政調会長は、立憲民主党政調として行った政策の精査の結果、「距離がある分野はほとんどなく、全体として政策の方向性はかなり近い」と報告しました。選択的夫婦別姓や非核三原則の堅持、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加などは「完全に一致している」とし、「基本的考え方が一致していれば、細部はすり合わせ可能だ」と述べました。

 補正予算への対応については、「野党は可能な限り歩調を合わせるべきで、現時点で最も考え方が近いのは公明党だ」として、公明党の岡本政調会長との意見交換を紹介しました。本庄政調会長は、補正予算の問題点について「多くの部分で公明党と認識を共有している」としつつ、「ピンポイントの修正だけでは足りず、全体像が見える対応が望ましい」と述べました。その上で、補正予算の国会提出から採決まで日程に余裕がないことにも触れ、「事務的・物理的な制約も踏まえつつ、公明党を含む他の野党と連携の可能性を探りたい」と語りました。