野田佳彦代表は12月5日、国会内で定例記者会見を開き(1)大分市佐賀関火災の被災地視察(2)「りっけん政治塾」第3期開講(3)定数削減法案(4)補正予算(5)防衛増税――等について発言しました。

(1)大分市佐賀関火災の被災地視察
 野田代表は、6日に大分市佐賀関の火災被災地を視察する予定であると報告。視察には大分県連代表の吉田忠智参院議員、吉川元衆院議員が同行する予定で、野田代表は「避難所で生活されている皆さまの生の声をお聞かせいただき、現地の声をしっかり受け止めて、国政に反映していきたい」と述べました。

(2)「りっけん政治塾」第3期開講
 りっけん政治塾の第3期を開講することを発表。関西で初めての開催で、兵庫県神戸市を皮切りに、大阪市、京都市と関西で順次講義を行う予定となっており、第1回は野田代表自身が講師を務めます。
 開催の狙いについて野田代表は、これまで立憲民主党の党勢は「東高西低」だったとして「広く政治家を志す人を発掘したり、政治に関心を持っていただける方を増やす」と趣旨を説明しました。

「りっけん政治塾」第3期募集ページはこちら

(3)定数削減法案※
 自民・維新が提出する定数削減法案について、野田代表は「政治改革特別委員会で議論する順番は、昨年からずっと議論して煮詰まってきた政治資金規正法改正について先行すべきだ」と述べた上で、「定数削減については、私は理解している立場で、是とする立場だ」としつつも、自民・維新の議論の進め方を批判しました。

 野田代表は「私が安倍元総理との党首討論で約束した時は、与党と野党第一党で合意した上で他党にも呼びかけて賛同してもらう流れを考えていた」と振り返り、「野党に全く相談もなく与党だけで期限も数も決めて、もし駄目だったら自動削減というのは、あまりにも乱暴すぎる」と強調しました。
 また、中選挙区制への回帰論が浮上していることについて「中選挙区を経験したことのない人たちが先走って中選挙区と言っている」と指摘。「中選挙区は明らかにお金がかかったと思うし、同士の競争があまりにも大きすぎた」「中選挙区制については極めて慎重な立場だ」と述べ、選挙制度改革と一体で定数問題を議論すべきとの考えを示しました。

(4)補正予算
 野田代表は、補正予算をめぐる公明党との協議について「(予算の)組み換え動議を共に出していきましょうというところで、昨日、政調会長間で合意できた」と報告。物価高対策の対象拡大や、金利上昇を踏まえた規模感についてすり合わせを進めていると説明しました。
 公明党との連携の意義について「右に傾きすぎる動きに対してブレーキをかけていく、あるいは中道の立場から政策実現をしていくという意味では、親和性のある党だ」と述べ、「できれば採決の対応も含めて共同で対応できればいい」との考えを示しました。 
 補正予算の賛否判断については「われわれの主張がどれぐらい盛り込まれているかという観点がある」とした上で、「緊急性に欠ける支出があまりにも多いように思う」「その規模の大きさが今のマーケットの情勢につながっている」と指摘。基金の新設・積み増しについても厳しくチェックしていきたいと述べました。

(5)防衛費増税
 政府が2027年度から所得税増税を実施する方向で検討に入ったことについて野田代表は「元々43兆円という支出の部分を決めてしまったところから規模ありきで進んできた」と指摘。「2023年度、24年度それぞれで1000億円以上の予算の使い残しが出た。規模ありきで進めた前提の中での増税は認めるわけにはいかない」と厳しく批判しました。
 特に復興特別所得税の課税期間延長については「復興に充てることを決めた当時の責任者は私だ」とした上で、「それをあえて期間を伸ばしていくようなやり方は一種の流用だ」と批判し、「極めて疑義がある」と述べました。

※定数削減に関する発言の訂正について
 本日の代表会見の中で、2012年の安倍自民党総裁(当時)との党首討論に際し、定数削減の具体的な数として、「45(議席削減)というやり取りは全然出ていません」と代表が発言をいたしました。その点、改めて当時の議事録などを精査致しましたところ、「われわれは、45(議席)削減をする、0増5減を含めて45(議席)減の法案を今日提出いたしました」と発言しておりました。安倍自民党総裁(当時)と、具体的な定数削減の数で合意には至っておりませんが、法案を提出したとの趣旨で発言はしておりました。この点、代表の記憶違いがあったため、訂正いたします。


野田佳彦代表記者会見

2025年12月5日(金)10時30分~11時09分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/NkEdYio3hes


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○大分市の大規模火災 被災地視察の予定について

【代表】
 おはようございます。
 あしたですが、午前中に、火災で大きな被害を受けました大分市の佐賀関を視察させていただく予定となっております。
 昨日、足立市長が鎮火宣言をされましたが、18日の発災以来、延焼した面積が約5万平方メートル、死傷者2名、一部焼損も含めて182棟の住宅が被害を受けるなど、大変大きな被害が出ておりますし、避難所で生活をされている皆様の生の声というものをお聞かせいただいて、県連代表の吉田忠智参議院議員、選挙区の吉川元衆議院議員にもご同行いただいて、現地の声をしっかり受け止めて国政に反映していきたいと考えているところであります。

○「りっけん政治塾」第3期 受講者募集を開始

【代表】
 また、隣にスライドがございますが、「りっけん政治塾」の第3期を始めることとなります。初めて関西で、最初は兵庫県の神戸で、以降、大阪、京都と、西で順次講義を行っていく予定でありまして、第1回の講義は私が担当することとなっています。
 これは、これまでどちらかというと立憲民主党の党勢は東高西低でございましたので、西の地区で広く政治家を志す人を発掘したり、あるいは広く関心を持っていただこうという、こういう趣旨の下で開催をさせていただくということでございます。


■質疑

○「りっけん政治塾」第3期について

【NHK】
 冒頭の「りっけん政治塾」のことをまず伺いたい。関西の地区というと、今回、維新が連立入りして、またちょっと地盤というか情勢も変わっているかと思うが、その辺の狙いとか、そういうところはあるか。

【代表】
 維新がどうのというか、全体的に我が党は、先ほど言ったように、党勢、党の勢いでいうと東のほうが強くて西側がちょっと若干まだ弱いというところがありますので、参議院選挙の総括でもそういう議論がありましたので、せっかくですから、「りっけん政治塾」、3期目に入りますが、西を中心で開講していこうという趣旨であります。

○議員定数削減めぐる議論について(1)

【NHK】
 国会絡みのことで伺いたい。きょうにも自民・維新が定数削減の法案を出すと報道されている。改めてになるが、他党の中からは強引な進め方だという法案の中身にもなっているが、この法案の中身についての受け止めと、委員会の審議を見ていると与党側の提案というのは結構議論を急いでいるなという感じがするが、そこを含めて受け止めをお願いしたい。

【代表】
 まず、政治改革特別委員会で議論する順番は、昨年からずっと議論して、そして議論が煮詰まってきた、政治資金規正法改正についてが先行すべきであると思います。会期が残り2週間を切ってしまった中で、重たいテーマが重なりますが、まずやるべきことはこれまでの議論が煮詰まってきたものから結論を出すというのが順番だと思いますし、「そんなことより」と軽視しないで、ここまで来た以上は、私どもはやはり公明・国民が出している案を軸に結論を出すべきだと思いますが、まずそのことが先決だと思います。
 その上で、定数削減の話は、私は定数削減については理解をしている立場で、是とする立場です。党内においてもそういう議論を政治改革推進本部でしておりますが、ただ、やり方が余りにもこれは乱暴過ぎると思っております。選挙制度協議会の中で議論をするということについては与党もその考え方を踏まえることにはなりましたが、1年以内であるとか、1割程度とか、期間であるとか削減数まで与党だけで枠組みを決めるというやり方が望ましいと私は思っていません。
 私と安倍元総理との間で党首討論で約束したときというのは、与党と野党第1党で合意をした上で他党にも呼びかけて賛同してもらおうという流れを考えていましたよね。(今回は)野党に全く相談もなく、与党だけで期限も決めて、数も決めて、もし駄目だったら自動削減でしょう。もう二重三重に乱暴過ぎると思っていますので、これについては強く異を唱えていきたいと思っています。

○補正予算審議に向けて(1)

【NHK】
 最後になるが、補正予算の審議をめぐり公明党との協議も続いている。協議がどのぐらいの進捗になっているか、お伝えできる範囲で伺いたいのと、公明党との連携の狙いについて改めてお願いしたい。

【代表】
 組替え動議を共に出していきましょうというところで、きのう政調会長間で合意できましたので、その協議を継続していきたいと思います。
 我々両方の主張として、例えば給付は、子どもについての給付については政府ものみ込んでいこうということになっていますが、物価高で困っているのはお子さんを持っていらっしゃる世帯だけではありません。お子さんのいない世帯も困っていらっしゃるし、低所得者だけではなく中所得者もこの物価高は苦しい思いをしていますので、そうした人たちも対象にしたことがもっとできるのかどうかというところのすり合わせとか、あるいは、やはり金利が1.93ぐらいまで、だんだんだんだん高くなっていますので、今の規模感の問題を含めてなど、すり合わせをした中で組替えを一緒にできればいいなというふうに思います。

○議員定数削減めぐる議論について(2)

【共同通信】
 先ほどの定数削減の話題に戻るが、削減は賛成の方向ということだが、審議入りさせるべきかどうかという点で、与党の議席が盤石ではないという状況の中で国会運営は野党が鍵を握ると思うが、審議入りをさせるべきかどうか。国会運営についてはどうか。

【代表】
 あくまで政治と金の問題が政治資金規正法(改正)で結論を出せるような環境になれば、もちろん審議入りというのは、限られた期間ではありますが、可能性はなくはないと思いますが、まずそこで結論を出せるかどうかが最初の大きな、我々にとっては乗り越えなければいけないハードルだと思っています。

○補正予算審議に向けて(2)

【時事通信】
 先ほどの公明党との質問の関連だが、公明党とこうして補正予算に向けて政策協議を行い歩調を合わせることの意義を改めて教えていただきたい。その賛否をそろえる必要性があるかどうかも含めて教えていただきたい。

【代表】
 やはりお互いに中道ということを強く意識して、中道を軸とする政治勢力の結集を考えていますので、基盤としては一緒だと思います。右に傾き過ぎる動きに対してブレーキをかけていく、あるいは中道の立場から政策実現をしていくという意味では、親和性のある党だと思っていますので、親和性のある党と組替えで一緒に行動を取って、できれば採決の対応も含めて、共同で対応できればいいのではないか。そうすると、その他の問題でも政策的に相談をしながら物事を進めていくという関係性がより強まっていくだろうと思います。

○企業・団体献金規制強化法案について

【朝日新聞】
 まず、政治改革特別委員会の関係で伺いたい。献金の問題が煮詰まっていて、そちらに先に結論を出すべきだというお話だと思う。ただ、現状として、公明・国民の案についてはまだ過半数に達する見込みが立っていない状況で、自民が出している公開強化法案も現状では過半数に達するかどうか微妙な情勢だが、今国会で仮に過半数に達しないとしても結論を出す、つまり採決をすべきだとお考えなのか。可決、過半数の見込みがなければ、次の国会に持ち越すことも検討すべきなのか。その辺りはいかがか。

【代表】
 できるだけ多くの野党の力を結集するということが大前提だと思いますし、維新も、与党になりましたが、企業・団体献金の廃止については一番強く主張されてきたことなので、せめてそれに向けて一歩二歩実現させましょうということは、やはり粘り強く説得をして、今国会中に結論が出るように努力をしたいと思います。

○「防衛財源確保に所得増税」政府方針について

【朝日新聞】
 別件で、防衛費増額の関係で伺いたい。財源として想定している所得税の増税だが、政府が2027年度から実施する方向で検討に入った。民主党政権のときに決めた復興特別所得税の課税期間がこれに伴って延長されることになると思うが、このことについて代表として受け止めがあればお願いしたい。

【代表】
 元々43兆という支出の部分を決めてしまったところから規模ありきで進んできたと思いますし、2023年度、2024年度、それぞれが1000億円以上予算の使い残しが出たということでありますので、規模ありきで進めた、その前提の中で増税というのはやはりおかしいと私どもは思っていますので、「はい、そうですか」と増税については認めるわけにはいかないということであります。
 特に、その所得税については復興に充てるということを決めた当時の責任者は私でありますが、それをあえて期間を延ばしていくようなやり方というのは一種の流用だと思っていますので、その意味からも極めて疑義があると思っています。

○議員定数削減めぐる議論について(3)

【毎日新聞】
 定数削減について伺いたい。自民・維新案が提出される見込みだが、これから何で定数削減をするのかということも自民・維新にも問われていくことになると思う。改めて、野田代表も定数削減そのものについては賛同すると示されているが、定数を削減することが一体国民に対してどういう意味があるのか、そこについてはどのようにお考えか。

【代表】
 私の場合は、当時の安倍総裁と約束したときの規模感からすると、お約束したあのときは国民に痛みを伴う改革をお願いする以上は我々も身を切る覚悟を示さなければいけないという趣旨で約束をした、その宿題がまだ残っていると。一票の格差是正の観点からの若干の縮減がありましたが、むしろ参議院で増やしたりしたので、トータルで見ると宿題は残っているという意味で、私はまだそれはやらなければいけないと思っています。
 ただ、あのときは社会保障のための増税が前提になっていましたが、今は各党が減税を言っているときなので、随分と環境が変わってきていると思うのですね。加えて、いわゆる新興勢力が随分増えてきて多党化しているので、やはり広くそういう皆さんの声も聞きながら物事を進めるというのが基本だと思いますので、時代環境が変わってきた中でどう考えるかということだと思います。
 逆に言うと、与党だけで、えいやで1年以内だとか1割減とか勝手に決めていくというやり方については、やはり違和感を感じるということです。

【毎日新聞】
 当時の考えからすると、今の形の定数削減というのは、あまり国民のためにはならないとお考えか。

【代表】
 それも含めて選挙制度協議会の中で議論すべきであって、ちょうどいわゆる新しい選挙制度も含めて考えるということですので、その中で定数の問題も位置づけて議論すべきだという考え方です。

○臨時国会終盤の対応について(1)

【毎日新聞】
 もう一点。会期末も近づいてきたので、内閣不信任案についてお聞きしたい。通常国会では、トランプ関税であったり、いろいろなものがあり、国難を意識されて提出を見送った経緯があったと思う。一方で、今は政権の形も変わり、いろいろ対峙の仕方も変わっていると思うが、改めて、内閣不信任案について現段階でどのようにお考えか。

【代表】
 まだ補正予算の審議にも入っていないので、そこでどういう答弁が出てきたりとかを見ないでその話をするのは、まだ日が高いのではないかと思います。

○補正予算審議に向けて(3)

【読売新聞】
 補正予算の関係で伺いたい。先ほど来、公明党とのお話も出ているが、党としては昨日のNCで代表・政調会長一任という形になったかと思う。今後、国会審議はあるが、国会審議を経てどういった点を重視してこの賛否の判断をしていくか教えていただきたい。

【代表】
 一つは、やはり我々の主張がどれぐらい盛り込まれているかという観点があります。これは結構規模が大きい分、我々の考え方もかなり入っていることは事実なんですね。
 子どもに対する給付、これは公明党も言っていらっしゃいましたが、これは入っています。ただ、子どもだけではなく、先ほど申し上げたとおり幅広く物価高で苦しい思いをされている方々がいらっしゃるので、そういう皆さんに何ができるかという観点、これが大事だと思います。
 それから、医療機関に対する支援なども重なりますし、介護職員の待遇改善なども重なりますが、ただ、逆に言うと緊要性に欠ける支出が余りにも多いように思いますので、その規模の大きさが今のマーケットの警鐘につながっていると思います。その膨らまし過ぎている部分についてもチェックをしていくということが大事だろうと思いますし、特に基金が相当程度また新たに増勢されたり積み増されたりすると思っていますので、それらは厳しくチェックしていきたいと思います。

【読売新聞】
 公明党との調整を、連携を模索されていると思うが、国会の日程がかなりタイトな中で、どのように結論を出していきたいか。公明党とのやり取りにおいては、結論をどのような時期に出していきたいか。

【代表】
 組替えの中身をしっかりとお互いに腹合わせをした中で出して、一緒に提出するところまで持っていってというのは、限られた時間ですので、予算委員会も参議院を含めると再来週の初めぐらいまででしょうから、お尻が決まっていると思いますし、会期末は17日ですから、それに間に合うようにやっていきたいと思います。

【読売新聞】
 最後に。公明党とは調整をされているということで、国会審議でどういった点をただすかも含めて調整されているか。

【代表】
 質問の仕方などはそれは各党違いますが、あくまで組替えのところで今作業しているところであります。先ほどご指摘のとおり、NC(次の内閣)では政調会長と私に対応は一任されています。

○議員定数削減めぐる議論について(4)

【日本テレビ】
 定数削減の件に関連して伺いたい。日本維新の会と参政党が党首会談を行い、維新の会からは定数削減の法案への賛成についての協力が呼びかけられ、参政党としても協力に対しては前向きな姿勢を示している。そうすることで参議院のほうでも与党として過半数、賛成が過半数を取る見込みが上がってきたかと思うが、こういった与党側の動きに対しての受け止めと、立憲民主党として今回の法案の賛否についてどのようにお考えか伺いたい。

【代表】
 先ほどから申し上げているように、政治と金の問題が最初であって、定数削減の話がどこまで議論できるか、これはまだわかりませんので、賛否云々という以前の問題だと思いますが、やり方としては極めて奇異に感じているということは先ほど来申し上げてまいりました。
 中身についても、他党への呼びかけが、新しい選挙制度の議論が中選挙区というのが随分出てきましたね。私は何かBSの発言で中選挙区連記制を認めているかのような誤解を受けたようなところがあったかもしれませんが、新しい選挙制度の例示の中で中選挙区連記制を言っただけであって、私は中選挙区制については極めて慎重な立場であります。中選挙区を経験したことのない人たちが、今、先走って「中選挙区」「中選挙区」と言っていますが、私は中選挙区は明らかにお金がかかったと思いますし、雑事の競争が余りにも大き過ぎたと思っています。選挙制度の総括は、この30年の歩みで決して政権交代可能な状況をつくり出したとも言えない部分がありますので、それはよく総括しなければいけませんが、新しい選挙制度は中選挙区制だけではないと思いますので、そういうことは幅広に議論しながら、定数の問題を位置づけてどうするのか(議論すべき)だろうと思います。
 今出ている25・20というのは小選挙区比例代表並立制の枠組みの中での削減案ではないですか。1年議論して駄目だったら一挙にそっちに持っていってしまうというのは、これは余りにも乱暴な、民主主義の根幹に関わる話をこんな乱暴にやることではないと思っていますので、呼びかけをいろいろされている中で中選挙区制が浮上していることについても私は奇異に感じているということは申し上げさせていただきたいと思います。
 だから、なおさら、まだ賛否がどうのという以前の問題だと思っています。

○存立危機事態について(1)

【日本経済新聞】
 存立危機事態に関連して伺いたい。御党の岡田克也議員が予算委員会で、我が国の存立が脅かされるとか国民の生命が根底から覆される明白な危険といった存立危機事態の運用が曖昧だと指摘された。高市総理の台湾有事をめぐる答弁で日中関係が悪化したように、実際に政権が替わると基準が変わってしまうという部分もあり、岡田さんは厳格な運用となるように明確な基準を示すように主張された。立憲民主党としては、この運用の基準を厳格になるようにといった方向で示す必要性についてどう考えるか伺いたい。

【代表】
 今回、存立危機事態についての議論でこういういろいろな影響が出ていますので、曖昧に拡大解釈するというやり方は望ましいとはやはり思いませんので、その意味では、岡田さんが中心となっている外交・安全保障の調査会がありますから、その調査会の中で丁寧な議論をしてほしいと思っています。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(1)

【日本経済新聞】
 別件で、もう一点伺いたい。候補者の選定に関して、早期解散も想定して、福岡県などでは国民民主党と候補者のすみ分けも進んでいると思う。公明党も野党になった状況で、国民民主党と公明党との候補者調整や、すみ分けをする必要性や重要性のお考えを伺いたい。

【代表】
 参議院の1人区でも同じように各党と誠意ある対話をやりましたが、やはり小選挙区で自民党に勝つには、それはやはり野党間の調整をしっかりやらないと、限りなく一騎打ちの構図に持ち込むことが初めて勝負になる環境整備だと思いますので、国民民主党とも、公明党とも、その他の野党とも、やはり誠意ある対話をして調整をしていきたいと思います。

○経済情勢について

【「アークタイムズ」】
 定数削減の議論がいろいろ今も質問が出ていたが、長期金利は先ほど1.94まで上がり、高市総裁になったときに1.65ぐらいだったので、もう0.3ポイントだ。円安は147円が157円まで行き、日銀の利上げの観測が出ても155円ぐらいまでしか戻ってきていない。物価も上がり続け、10月は3.0%まで上がり、生鮮食品を除く食料品で7.2%も上がっている。定数削減はほとんど国民の関心とは言えないと私は思うが、今の議論、国会がなすべきは、まさに今イギリスのトラスショックのようなことが起こり始めていて、家計も火の車という中で、この定数削減の議論をするのが正しいのか。今一番議論すべきは何なのか。私はアベノミクスからの脱却が非常に必要だと思うが、その点をどう思うかお聞きしたい。

【代表】
 一言で言うと、驚異です。おっしゃるとおりだと思いますね。「そんなことより」というのはもうあえて繰り返し使いませんが、何よりも、何事よりも、物価高対策ではないでしょうか。
 物価高対策、やろうとしていることがアベノミクスの踏襲なので、金融緩和は引き続き続けてほしいという思いが強いでしょう。これは日銀の独立性に関わることだと思いますけれども。加えて、積極財政でしょう。無責任な積極財政。これは人手不足等々、供給力のところに今問題があるのに、需要を吹かせていけば、よりインフレは進むと思いますよね。
 まさに逆行するやり方について、今、マーケットが警鐘を鳴らしていて、金利が18年ぶりでしょう、この高さ。株ばかり皆言うけれども、この金利と債券安、同じですが、そして円安。円安をこれまで助長しようとしてきたのがアベノミクスだけれども、円安は明らかにこれは国民生活にとっては弊害だと今思いますので、そういうことをしっかりと議論する国会にしなければいけないと思います。それもまたご指摘のとおりだと思います。

○日中関係について

【「アークタイムズ」】
 もう一点。対中政策だが、この前の「日曜討論」で自民党の小林鷹之政調会長が、今、外務省が適切に反論している、党としてバックアップしていくという言い方をして、政治家が前に出ないという姿勢が明確になり、それに対して公明党の岡本政調会長は今こそ議員外交だと言っている。自民党も麻生氏がまた勇ましいことを言ったりしているが、問題がないというようなことを言っているが、何ら国会議員同士でルートがないように見えるが、この膠着状態をどうすべきだと考えるか。特に中国は今、アメリカやフランス、かつての連合国を想起させることを、ファシズムや軍国主義と戦うんだということを言って回っている状況だが、それに対して日本外交はほとんど何も見えない状況で、内にこもっていると思うが、ここをどう打開すべきだと思うか。加えて、この前の党首討論のときに事実上の撤回だと受け止めたと野田さんはおっしゃったが、高市氏や政権は撤回していないという姿勢だ。これは何ら前に進んでいないと思う。野田さんが対中関係を大事にしようと考えて、ある意味で慎重に言っているのはわかるが、この状況下ではやはり野党からもうちょっと押していかないと変わらないと思うが、事実上の撤回と言うだけでいいのか。その点もお聞きしたい。

【代表】
 今おっしゃったように、ちょっと外交が、むしろ中国の外交攻勢にたじろいだまま止まってしまっていると思います。政府間でしっかり説明をしていくということ、対話をしていくこと、重層的にやっていくということはこれは必要ですが、当然政党・議員外交も絡ませていかなければいけないだろうと思います。
 これまで日中間の橋架で汗をかいてきた政治家も、先輩たちも含めてたくさんいらっしゃいますので、そういう人たちを改めて総動員するぐらいの体制整備をしなければいけないだろうと。公明党さんも、そういう意味では中国(との議員外交)を頑張ってこられた政党であると思うし、自民党の中でも日中議連で頑張ってこられた方、先輩たちもいらっしゃいますよね。例えば今だったら森山さん辺りとか、議員外交をやってきた人たちがもっと前に出てこなければいけないのではないか。火に油みたいな発言をする人たちばかりではなく、きちっと冷却をさせていく、クールダウンさせていくような、汗をかく人たちがもっと必要だと思うし、それは当然野党としてもそういうことは努めていかなければいけないだろうと思っています。
 それから、事実上の撤回だと私は受け止めたという言い方をさせていただきましたが、なかなか政府の立場ではそれは言わないかもしれませんが、繰り返し従来の、一歩踏み込まない公式的な見解というのを、あらゆる場面で言うしかないと思って、妙案はあまりもうないと思っていますので、それを丁寧に繰り返すしかないだろうと思います。

○存立危機事態について(2)

【産経新聞】
 立憲民主党の安全保障観について伺いたい。11月19日の党の外交・安全保障総合調査会で岡田克也会長が、年内にも存立危機事態に関する党の見解を決めていきたい、要はスタンスを決めたいというような発言があったが、あと残すところ1か月もない状況で、今の代表の認識として、どういったところでスタンスを決めるのか。あるいは先延ばしにするのか。その辺りの今の認識を教えていただきたい。

【代表】
 スケジュール感は年内をめどにそういうことをやっていこうということで、まだ年内は日があるので、ご努力されていると思いますので、その方針で行ってほしいと思っています。

【産経新聞】
 スタンスについて、岡田さんの予算委員会の発言では、集団的自衛権の限定行使または個別的自衛権の拡大というところで二つ選択肢があるようなことを言っていたが、そういった観点で、代表としては、要はどちらのほうがふさわしいとお考えか。

【代表】
 あくまでそれは調査会の議論に委ねたいと思います。先ほどの共同さんのご質問もあって、存立危機事態が拡大解釈される可能性があるので、それをきちっと定義づけていくという作業と、今おっしゃったような個別的自衛権なのか集団的自衛権の限定的な行使なのかなどの整理も含めて、調査会で幅広く議論をして結論を出していただきたいと思っています。

○議員定数削減めぐる議論について(5)

【東京新聞】
 45減に関しては、野田さん自体は、そういう意味では民主党のときに提案していた部分も含めて反対ではないという理解でよろしいか。

【代表】
 45でいいかどうかというのは、これはまた当時と違いますからね。
 これはそうだ、この間の党首討論で時間切れになった後に、高市総理が45と発言しましたよね。あのとき安倍さんとの約束で45と約束をしたけれども、小選挙区で5ぐらい減らしただけで、まだ40残っている、みたいな。あれは全然間違っていまして、(安倍総裁との)党首討論で45というやり取りは全然出ていません。だから、45という数字がもうあの時点で相当高市さんの頭の中に入っていたということは、維新とすり合わせをしていたのかなというふうに思いますね。
 今、45ありきでは決して我々はないので、選挙制度をどうするかという観点の中で、定数はどれぐらいが妥当なのか、減らすとしたらどれぐらいが妥当なのかという議論をやっていくべきだろうと思っています。
※(事務局)上記発言に関し、改めて当時の議事録などを精査致しましたところ、2012年の安倍自民党総裁(当時)との党首討論に際し、「我々は、45(議席)削減をする、0増5減を含めて45(議席)減の法案を今日提出いたしました。」と発言しておりました。具体的な定数削減の数で合意には至っておりませんが、法案を提出したとの趣旨で発言はしておりました。その旨訂正致します。

【東京新聞】
 きのう小林政調会長が会見の場で、民主党がまず45と当時言っていたということを言っていたので、そこをてこに立憲もこの数に乗れるだろうということをアピールしたいのかなと思ったが、現時点で45でいいということは全くないと。

【代表】
 かつてそう主張したことは、これは間違いなく事実だと思います。今、妥当な数がどうなのかということは、これはまた改めて政治改革推進本部で議論を進めていきたいと思っています。

【東京新聞】
 いろいろ報道で見ると、世界で見ると日本の国会議員の総数は世界で8位だが、100万人当たりの議員数で比べるとイギリスやフランスよりも少なく、先進国の中でも少ないということを考えると、いきなり45という数、世論調査では確かに減らしていくことの支持はすごく高いが、ただ、多様性を担保するという意味では本来ものすごく慎重に考えなければいけないところだと思うが、それはそうだというふうに思っていらっしゃるか。

【代表】
 ええ。あとは比例とのバランスの問題を含めて、本当は参議院とのバランスも含めた議論が大事だとは思うのですけれどもね。

【東京新聞】
 これは国民民主も公明党も言っているが、選挙制度改革と一体として考えるべきではないかと。今、中選挙区制というのは、ご自身が体感してきたことから含めて反対なんだと。

【代表】
 私は、あそこに戻すというのは幾ら何でもと、中選挙区の有識者としてはね。経験者としては。
 経験していない人ばかりが今言っていますが、経験者としては、あれではいけないということで今の制度に入ってきたわけですので、今の制度が万全ではなかったことも事実ですから、それは検証しなければいけないのですが、だからといって、その前の中(選挙区)に戻すことがいいとは決して思わないですね。

【東京新聞】
 ただ、非常に保守的な政党がたくさん出てきて、二大政党制というのがなかなか日本では立ち行かなくなる。その想定の下で小選挙区制を導入したと思うが、なかなかそうならない現状を、では、どういう選挙制度だったらいいのかというところは、野田代表自体はどういうふうに考えるか、具体的に。

【代表】
 やはり小選挙区と比例代表のバランスをどう取るかで、今は並立制ですが、併用制というのもあるし、そういうことなども含めて丁寧な議論をしていったほうがいいのではないかと私は思います。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(2)

【東京新聞】
 最後に一点。公明党と予算のことを含めた共闘体制というのはわかるが、やはり選挙での共闘というのは、今後はかなり具体的に考えていきたいというお気持ちはあるか。

【代表】
 公明党さんは、自民党には推薦を出さないとおっしゃっています。他党についても推薦は出さないとおっしゃっているので、あくまで人物本位で自主投票とおっしゃっています。だけど、中道という同じ基本的な立ち位置でありますので、それのお眼鏡にかなう人物は我が党にはいっぱいいると思いますので、個別の選挙区についてはよく相談をしていきたいと思います。

○臨時国会終盤の対応について(2)

【共同通信】
 先ほど質問が出た不信任決議案の提出の是非だが、補正予算審議が始まっていないのでまだ早いということだったが、総合的にどういう論点をポイントとして考えていくのか。例えば政権の政治改革への姿勢とか、国民経済にも影響が出ている日中関係を始めとした外交問題など、そこも総合して検討していくということなのか。

【代表】
 あくまで総合して、です。

○柏崎刈羽原発について

【フリーランス】
 再稼働が確実視されている柏崎刈羽原発の避難性の実効性のなさ、乏しさについて、国会で追及あるいは実効性担保の法案を出すお考えはないか。泉田裕彦元知事は、原発事故時に食料・水を届ける人や住民避難用のバスの運転手が確保されていないのに、花角知事は国に丸投げしていると。足りない場合は自衛隊員がやってくれるだろうということを言っているが、自衛隊員が確保できるかどうかについて小泉進次郎防衛大臣に確認すらしていないと。ちなみに、泉田さんは、独ソ戦と同じ対応が自衛隊員に必要ではないかと。本人はもちろん家族を含めて面倒を見るという条件で、チェルノブイリ事故では対応されたが、日本にはそういう制度がないと。だから、自衛隊員が良心で現地に行って危険な作業をしてほしいという、こういう状態になっているが、これを改める必要はないとお考えではないか。

【代表】
 泉田さんが何を言っているかはわかりませんが、新潟県連の見解というのは、しっかりとした実効性のある避難計画があるかどうかというと、十分ではまだないという認識。それから、地元の合意ということも我々は重視していますが、十分な説明がなされていないというような見解ですので、その県連の判断を踏まえて対応していきたいと思っています。

【フリーランス】
 自衛隊の原発事故時に危険なところに行く決死隊法案みたいなものが必要ではないかということを泉田さんは言っているが。

【代表】
 それはわかりません。その泉田さんのご見解についてはよくわかりません。

【フリーランス】
 泉田さんの見解抜きで、危険な原発事故時に原発周辺に行くバスの運転手や食料・水を届ける人が確保されていないと。花角知事は小泉進次郎防衛大臣にそのことすら確認していないと。このことはおかしいのではないかと代表に聞いているが。

【代表】
 いろいろな「おかしい」と思う声は、そう思った人が国会でただしていけばいいだろうと思います。

【フリーランス】
 立民として国会で追及、あるいは自衛隊員の危険なところに行く場合の法案を出すお考えはないか。

【代表】
 立民としてというのは、今、個別の部門で検討はしていません。

○政治資金収支報告書の不記載について

【フリーランス】
 伊藤俊輔さんもだいぶ悩んでいるが、5人が不記載ということが都連で出た。それで十分な説明をしていないが、野田さんがかつて萩生田さんや平沢さんに言ったように十分な説明をしていないということで、これはほかの、真面目な伊藤俊輔さんとかに非常に迷惑がかかっているので、十分な説明をさせてやってください。人間、間違いはありますからね。

【代表】
 はい。

【フリーランス】
 全部会見をして、私は十分に聞きますから。よろしくお願いします。

【代表】
 私もケアレスミスを何回かやったことがありますので、その都度ちゃんと説明しなければいけないと思います。おっしゃるとおりだと思います。

(以上)