衆院予算委員会が12月9日に開かれ、2025年度補正予算の基本的質疑を行いました。立憲民主党からは本庄知史政務調査会長、藤岡たかお、山岡達丸、岡田華子各議員が質疑に立ちました。
■本庄知史政務調査会長
1. 補正予算総論
本庄政調会長は冒頭、立憲民主党が11月21日に発表した経済対策について説明し、政府案への評価を示しました。物価高対策については子ども1人当たり2万円の給付や医療機関への国からの直接支援など立憲民主党案を一部取り入れたことに一定の評価をしたものの、「中低所得者への家計支援が不十分」と指摘。第2、第3の柱である投資や基金、防衛費については「補正予算の要件である緊急性、年度内執行を満たしていない」と批判しました。
財源面では、18兆3000億円のうち11兆7000億円が国債発行となることを問題視。「財源の6割以上が借金で、責任あると言えるのか」と質問しました。高市総理は「補正後の国債発行額は昨年度を下回っており、財政の持続可能性に配慮している」と反論しましたが、本庄政調会長は「昨年度の決算ベースでは5兆円余っており、水増しされた数字を下回ったからといって十分配慮したとは言えない」と反論しました。
2. 危機管理投資・成長投資による強い経済の実現
本庄政調会長は基金の問題について厳しく追及しました。今回の補正予算では41基金に計2兆5000億円が計上され、うち12基金は夏の概算要求がなく、3基金は新設だということに触れ、「中長期的な政策推進のための基金が緊急性を求められる補正予算で措置されるのは矛盾している」と指摘しました。
特に宇宙基金については、2023年の閣議決定で10年間の計画が示されていたにもかかわらず、毎年補正予算で計上されていることを問題視。「計画的に当初予算で計上すべきではないか」とただしましたが、高市総理は「国際情勢の変化に対応する必要があった」と説明しました。本庄政調会長は石破前総理の「補正に頼ることなく本予算できちんと積み上げていく」との答弁を引用し、「1年たって何も変わっていない」と批判しました。
3. 生活の安全保障・物価高への対応
中低所得者への即効性のある家計支援が不十分だと本庄政調会長は指摘しました。政府案では重点支援地方交付金が中心で、4人家族で約3万円の支援となる。これに対し立憲民主党が提案する「物価高・食卓緊急支援金」は4人家族で12万円としていることを説明。
本庄政調会長は「物価高が直撃している中低所得者への支援が非常に不十分だ」と強調しました。高市総理が給付金について「夏の参院選挙で理解が得られなかった」と述べていることに対し、「自民党が負けた理由は政治とカネの問題が最大の原因だったのではないか。われわれは一律ではなく、メリハリをつけた給付金を提案している」と再考を求めました。
高市総理は、子育て世帯への支援や重点支援地方交付金の活用、今後の給付付き税額控除の制度設計などを挙げ、「必要な支援を行う」と答弁しました。
4. 財政健全化目標と市場の信認
財政健全化目標の達成可能性を追及しました。高市総理が「成長率の範囲内に政府債務残高の伸びを抑える」としていることに対し、本庄政調会長は「成長率は政府が直接コントロールできない。どうやって目標を達成するのか」と具体的な説明を求めました。
また、高市内閣発足後、長期金利が1.66%から1.95%に上昇し、円安も進行していることを指摘。「マーケットが高市財政を責任あると評価していない表れではないか」と問いましたが、高市総理は「金利や為替はさまざまな要因で決まり、財政政策のみの影響を一概に言えない」と述べるにとどめました。
プライマリーバランス黒字化の目標年度については、高市総理は「2025年度から26年度を通じて可能な限り早期に目指す」としながらも、「必要に応じて目標年度の再確認を行う」と明言を避けました。
■藤岡たかお議員
藤岡たかお議員は⑴補正予算に計上されているクリーンエネルギー自動車導入促進補助金⑵長期金利の動向、金融政策、補正予算と円安・物価高など⑶補正予算に計上されているグローバルサウス未来志向型共創等事業補助金⑷補正予算で措置された基金、補正予算⑸訪日外国人観光客の消費税減免の見直し――などについて質問しました。
■山岡達丸議員
山岡達丸議員は⑴昨今の物価高騰に対する認識⑵食料品消費税ゼロ%⑶立憲民主党の経済対策(11月14日発表)と、補正予算における政府の物価高騰生活支援施策⑷立憲民主党の経済対策(11月14日発表)と、補正予算における政府の医療、介護施設等に対する施策⑸立憲民主党の経済対策(11月14日発表)と、補正予算における政府の賃上げ(特に事業者の社会保険料負担軽減)等に関する政策⑹よりよい租税特別措置のあり方ーーなどについて質問しました。
■岡田華子議員
岡田華子議員は、重点支援地方交付金に関して⑴食料品物価高騰に対する特別加算(0.4兆円)⑵事務コスト、スケジュール⑶支援メニューの自治体の裁量⑷自治体の負担⑸お米券⑹政府の農業政策ーー等について質問しました。