参院予算委員会で12月12日、令和7年度(2025年度)補正予算について審議入り。立憲民主党から森本真治、鬼木誠、高木真理、柴愼一各議員が質疑に立ちました。

■森本真治議員

 森本議員は、(1)生活の安全保障・物価高への対応(2) カキの大量へい死問題 (3)政治改革の取り組み――等について質問。補正予算の最大の焦点は物価高対策だと強調したうえで、立憲民主党は春の段階から物価上昇への早期対応を求めてきたにもかかわらず、自民党が政局対応に追われた結果、対策が大幅に遅れたと指摘。また、来年の税制改正に向けた議論では、政府がEV課税を検討しているとの報道を受け「成長戦略の一丁目一番地のEV自動車の普及の足かせになりかねない」とただしました。片山財務大臣は「日本の自動車産業が強くあってもらわなければ(森本議員の)ご地元の広島にとっても日本国にとっても困るので、おかしなことにならないよう気を付ける」と答えました。

 瀬戸内海で深刻化するカキ大量へい死問題をめぐっては、地域経済全体に及ぶ影響を訴え、農林水産省が公表した緊急対策パッケージの着実な実行と、中長期的な再生支援を求めました。

 また森本議員は、自身の地元・広島選挙区で6年前に起こった、自民党議員による大規模買収事件にも触れ、自民党の政党支部が今も多額の企業・団体献金が受け取っていることに「なぜこのように多くのお金が必要なのかが理解できない。なぜ自民党はこうした多くのお金が政治活動に必要なのか」と追及し、政治資金の入口規制を含む抜本改革の必要性を訴えました。

■鬼木誠議員

 鬼木議員は、(1)官公需における価格転嫁の課題(2)地方創生と「地方の伸びしろ」(3)公共インフラの老朽化対策・地方団体の人員不足(4)広域連携の考え方(5)東京電力福島第1原発の廃炉作業の状況と今後の課題――等について質問しました。

 鬼木議員はまず、官公需における価格転嫁の遅れに触れ、政府や自治体が率先して適正な価格転嫁を進める必要があると強調。中小企業庁の調査結果に基づき、官公庁の価格転嫁率が微減していることに、政府の姿勢と実態とのギャップを批判しました。これに対し、林総務大臣は、自治体の6割が価格転嫁に対応しているとし、今後も首長への働きかけを強化すると答えました。

 また鬼木議員は、発注者側が価格転嫁の障壁になっているとし、自治体が躊躇せず価格転嫁を実施できるよう必要な措置を取るよう要請。高市総理は、資材や労務単価を注視し、必要な財源を確保していくと応じました。

 さらに「地方の伸びしろ」という高市総理の表現に対して鬼木議員は、地方が本来の力を発揮できない状況を作り出したのは国の政策であると指摘。公共インフラの老朽化と地方団体の人員不足に関しても深刻な問題があることを提起し、特に全国の約4分の1の自治体で土木技師が不足している現実に「非常時どころか日常業務も遂行できない自治体が増えている」と警鐘を鳴らしました。

■高木真理議員

 高木議員はまず、高市総理が掲げる「責任ある積極財政」について、「複数年度でプライマリーバランスを見る」という高市政権の方針が、将来的な緊縮財政や次期政権が「尻拭いをすることにつながらないか」と懸念を示しました。 子育て支援に関しては、「給食のない夏休みに痩せてしまう子どもがいる」という深刻な実態を紹介し、ひとり親家庭への現金給付など緊急支援の必要性を訴えました。また、小学校給食の無償化について、政府が「来年4月実施」を目指す一方で、都道府県が半額を負担することになるなどの費用負担を巡り全国知事会から「もらい事故」と反発が出ているとし、「進めるなら国の責任と国費で行うべき」と強く迫りました。 このほか、全産業平均に見劣りする保育士給与の引き上げに向けたロードマップ策定や、国際保健分野(グローバルファンド)への拠出金がドル建てで半減した問題を取り上げ、「世界に咲き誇る日本外交」との整合性をただしました。

■柴愼一議員

 柴議員は、政治の信頼回復と閣僚の政治姿勢について厳しく追及しました。片山さつき財務大臣が就任直前に開催した政治資金パーティー(セミナー)について「国民の疑惑を招く大規模なパーティーは自粛する」とした大臣規範への抵触を指摘。片山大臣が「1000人以下であり大規模ではない」と弁明したのに対し、高市総理は「規模の基準が曖昧で、私自身も困った経験がある」と述べ、基準の明確化を検討する考えを示しました。また、自民党支部への企業・団体献金を巡り、総理らが「政党支部と議員個人は別主体」と答弁したことに対し、柴議員は「実態として支部の任務は支部長(議員)の当選であり、別主体という理屈は国民に腹落ちしない」と反論。企業・団体献金の全面禁止に向けた法改正の必要性を訴えました。