立憲民主党は12月12日、国会内で沖縄県宜野湾市で活動する保護者団体「 #コドソラ(子どもの空を守る)」からの要請に加え、「有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会(ちゅら水会)」から、キャンプ桑江浄水貯水池および米軍嘉手納基地周辺のPFAS汚染対策を求める陳情・要請を受け、意見交換を行いました。 #コドソラからの国会訪問による要請は今回で7回目(8年連続)となります。
この日の意見交換には、#コドソラより与那城千恵美代表、宮城智子さん、KEN子さんが来訪しました。与那城代表からは「これまで毎年自費で子どもを置いて上京し、今回で8回目になるが、現状は何も変わっていない」との厳しい現状認識が示され、「沖縄の子どもたちにも、他地域の子どもたちと同じように、安心して学び、遊び、夜は静かに眠れる日常を取り戻してほしい。私がもう国会に来なくてよい状況にしてほしい」と訴えがありました。
あわせて与那城代表からは、この問題は基地問題であると同時に「学校環境の問題」でもあるとし、「学校環境基準を所管する文部科学省が、防衛省や外務省任せにせず責任を果たすべきこと」「学校上空に設置されている監視カメラを活用して飛行状況を確認し、防衛省が米側に厳しく対応すること」「3年も基準づくりが進まない土壌のPFAS基準について環境省が早急に対応すべきこと」など、具体的な要請が述べられました。
ちゅら水会からは、新垣千秋さん(北谷町議)、照屋正史さん、呉屋初子さんが参加し、PFAS汚染の現状と課題について説明しました。北谷浄水場のPFAS汚染が明らかになってから9年が経過しても基地内立入調査が実現していないこと、嘉手納基地周辺の水質調査を行いながら汚染源特定の調査は7年間行っていないと防衛省が認めたことなどが報告され、「原因は分からないと言いながら調べようとしていない実態は大きな問題だ」と指摘しました。
また、基地内の浄水施設であるキャンプ桑江(キャンプ・レスター)浄水場からPFASが検出され、EPA基準値を超えたことを理由に、米軍から北谷浄水場の水の供給を求められた経緯について、「基地内から汚染が出ているのであれば、基地が原因であることを事実上認めたに等しい。これをきっかけに基地内立入調査と汚染の浄化を、米軍の責任で行わせるべきだ」と強く訴えました。
立憲民主党側からは、沖縄協議会より、近藤昭一衆院議員(座長)、石橋通宏参院議員(事務局長)、川内博史衆院議員、有田芳生衆院議員、屋良朝博衆院議員(いずれも幹事)が参加しました。
近藤座長は「長年にわたり危険で不安な状況に置かれている沖縄の現実を、改めて重く受け止めなければならない。普天間の問題もPFAS汚染も、子どもたちと住民の命と健康に直結する極めて重要な課題だ」と述べ、「皆さんに何度も足を運んでいただいていることに申し訳ない思いだが、沖縄協議会として政府の姿勢を厳しく質し、問題解決に向けて取り組んでいく」と決意を述べました。
石橋事務局長は、国連の場でも声を上げてきた市民の取り組みに敬意を表したうえで「北谷浄水場の浄水機能の維持・強化は本来、国が責任を持って予算措置すべきにもかかわらず、なぜ予算をつけないのか説明は全く納得できない。普天間第二小学校や緑ヶ丘保育園で続く爆音・危険な環境も含め、一刻の猶予も許されない課題として引き続き追及していく」と述べ、地位協定の見直しに向けた具体的な提言作業を進めていることも報告しました。
川内議員からは、要請書に記された子どもの直筆メッセージ「なんで空から落ちてくるの」に触れ、「沖縄の子どもたちが、こんな言葉を発しなくても済むようにすること、自由に安心して走り回り、きれいな水を飲めるようにすることは、政治の極めて重大な責任だ。皆さんと力を合わせて全力で取り組む」との決意が示されました。
有田議員は、これまでの8回の来訪に触れ「5項目の要望が一つも改善されていない現実をどう変えていくのかが問われている」と指摘し、参院予算委員会でPFASと基地問題を取り上げても全国紙が一行も報じなかった一方、沖縄タイムスが1面トップで報じた経緯を紹介しました。その上で「世論の力を強め、小さな記事であっても継続して問題提起を続けることで現実を変えていきたい。来年は『もう来なくてよい』と言える状況を何としてもつくりたい」と述べました。
屋良議員からは「国会内で基地問題の審議の場を確保すること自体が難しくなり、沖縄の問題が『沖縄だけの問題』として扱われがちになっている」と現状への危機感が示されました。その上で、嘉手納基地内の施設が汚染源であることを防衛省が事実上認める答弁を引き出したことを紹介し、「言葉だけでなく行動に移し、来年こそ要請に来なくてよい状況をつくるために全力を尽くしたい」と述べました。
出席した議員からは、普天間基地に起因する危険な環境と、県民の水を脅かすPFAS汚染の双方に対し、立憲民主党として一層の取り組みを進める必要性が共有されました。 立憲民主党は今後も、沖縄協議会を中心に、普天間基地周辺の子どもたちが安心して学べる環境の実現と県民の暮らしと健康を守るPFAS汚染対策の強化を政府に対して強く求め、安心して生活できる沖縄の実現に取り組んでまいります。