立憲民主党東日本大震災復興本部は12月15日、党福島復興・再生部門と合同で福島第一原子力発電所の視察、大熊、双葉の両町長から要請書の手交と意見交換、党福島県議団との意見交換を行いました。鎌田さゆり(党福島復興・再生部門長)は、福島を風化させない、福島の再生なくして日本の再生はないと、あらためて強い決意を表明しました。視察には、小熊慎司、金子恵美、松下玲子、齋藤裕喜、山登志浩各衆院議員が参加しました。
■福島第一原子力発電所視察
東京電力福島第一原子力発電所の視察では、発電所の担当者より、廃炉に向けた作業「燃料デブリの取り出しに向けた現状」「多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の放出状況」「原子炉建屋の作業」などについて説明を受けました。参加議員からは、「廃炉に向けたスケジュール」「今後の人材確保に向けて」「ALPS処理水についてのさらなる情報公開」などの意見が出されました。
その後、多核種除去設備(ALPS)、ALPS処理水等の貯蔵タンク、1~4号機原子炉建屋の外観、凍土遮水壁の凍結プラントなどを視察しました。
■大熊町・吉田敦町長と意見交換
吉田町長からは「拠点区域外の避難指示解除に向けた取り組みの実施」「復興のスタートに立つ町への重点的サポート」「廃炉を担う東京電力への監督・指導」「中間貯蔵施設の安全管理及び最終処分場等の確保」などが示されました。吉田町長は「町の復興はこれからが正念場。厳しい状況だが復興は国の責務。ぜひお力添えをお願いしたい」と要望がありました。
■双葉町・伊澤史朗町長と意見交換
伊澤町長からは「震災前の3%しか帰還していない」「農地の復興状況は1%」「住宅の整備について」「町域の85%が帰還困難区域」等、町が直面する厳しい状況が示されたのち、「住宅の整備が喫緊の課題」「農業再開について」「帰還困難区域の避難指示解除に向けて」「復興産業拠点への企業誘致状況」「双葉駅周辺での生活環境整備」など、復興に向けての取り組みについての要望、説明がなされました。
■党福島県議団と意見交換
意見交換では、「原子力災害は異質の災害であり、通常の災害とは一線を画した対応をお願いしたい」とした上で、「30年後に県外処分であるという前提は覆さないでもらいたい」「廃炉のロードマップが遅れているが、決めたらしっかりと完遂してほしい」「県議選での双葉郡選挙区の定数問題で、避難解消まで特別の扱いを」という要望が出されました。
■視察後の記者団からの取材
日程終了後に、福島県庁内で記者団からの取材に答えました。その中で鎌田部門長は「今回視察させていただいたが、これまでどれだけ大変な道のりを歩んできたのかということを、あらためて認識した」とした上で、「絶対に風化させてはならない、福島の復興・再生の話だということを胸に深く刻ませていただいた。福島は原子力災害を抱えている自治体だということを忘れずに、立法機関で(復興・再生に向け)取り組まなくてはならない」と強い決意を表明しました。
来年度から第3期復興・創生期間に入るが、野党第一党としてどこに重点を置くかとの質問に「福島は、これから原子力災害からの復興が始まるとの認識を持ち、元の福島の姿に戻していくのはこれからだということを、取り組みの中で示していきたい」と答えた一方で、「本来であればこの臨時国会は非常に重要だった。(来年度から)第3期が始まる前に、課題を明確にするべき(国会)だったが、大臣所信を聞くだけで委員会は開かれず、地元の方の言葉を国会に伝える役目を得ることができなかったことは非常に残念だった」と答えました。