参院本会議で高市早苗総理の施政方針演説をはじめとする政府4演説に対する代表質問が行われ、田名部匡代幹事長が登壇しました。予定原稿は以下の通りです。
令和 8 年 2 月 25 日
代表質問(政府四演説)
立憲民主・無所属
参議院議員 田名部匡代
立憲民主・無所属の田名部匡代です。会派を代表して、高市総理大臣の施政方針演説に対し、総理に質問をさせていただきます。
高市総理、ご就任おめでとうございます。総理には国民のために、丁寧に誠実に議論に向き合っていただくことを期待します。
本来の質問に入る前に一点確認させていただきます。
昨年、当時の石破総理は、10 万円の商品券を 15 名に渡したが、その後、総理は謝罪、商品券は返還されました。高市総理は今回は「商品券じゃない」から良いのでしょうか?
自民党衆議院議員全員に、当選お祝いのカタログギフト。総額いくらになりますか?一万円でも 300万、報道されている 3 万円なら 1 千万円近くになりませんか?昨日総理ご自身の SNS で事実関係についてはお認めになりご説明されていますが、総額、その原資と目的についてもご説明願います。
石破前総理の時は政治と金の問題や物価高で国民生活が苦しく、受け取った議員も「問題がある」「適切ではない」「政治と金問題の審議の最中でタイミングとしていかがなものか」などと話されていました。あの時も今もその問題や状況は続いていることだけ申し上げておきます。
【解散について】
さて、衆議院は在職約 1 年 3 カ月という戦後三番目の短さで解散され、解散から投開票までは戦後最短のわずか 16 日、しかも厳冬期の選挙。投票時間の繰り上げや交通障害、外出や移動困難など、特定地域の投票機会が制約される事態が生じたことは、民主主義の公平性の観点から問題はなかったのでしょうか。
青森県では災害救助法が適用され、青森市では積雪が一時 180 センチに達し、陸上自衛隊の災害派遣が行われました。現時点で青森県だけでも死者 8 名、重軽傷者を含めると 200 名を超える被害となっています。雪国にとって 1 月・2 月が豪雪期であることは予見可能だったはずです。政府として事前の影響評価や備えを十分検討されたのでしょうか。また、豪雪という物理的障害が投票機会を実質的に制約した可能性について、どのように認識されているか伺います。
昨年、わが党は立法府の権限と国民の参政権を適切に保障するためのルールを定めることを目的とした議員立法を提出しました。解散権は、内閣の権能であると同時に、国民の参政権にも直結します。その行使に当たっては、透明性と説明責任を制度としてどう担保するのか冷静な議論が必要ではないでしょうか。
法案の内容は、解散理由と予定日の事前通告、国会での審議と情報公開、選挙準備状況の確認制度を設けるものです。2024 年の解散総選挙でも、投票所入場券の遅配や洋上投票の準備不足など、参政権保障に関わる課題が生じました。現行憲法の下で可能な立法的整理を含め、民主主義の基盤に関わる問題として、建設的な議論を開始するお考えはありませんか。総理の見解を伺います。
【インターネット選挙をめぐる問題】
また現在、ネット上での虚偽情報や悪質な誹謗中傷が拡散し、候補者・有権者双方に深刻な影響を与えています。さらに選挙におけるインターネット広告は急速に拡大していますが、選挙の公平性を確保する観点から、ネット広告についても数量規制や透明性確保の制度改正など実態に即した新たなルールの整備が急務と考えます。与野党の選挙運動に関する協議会で必要な法整備に関する議論が行われていま す。表現の自由を尊重しつつ、検討を加速すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
【憲法】
施政方針演説で総理は「どのような国を作り上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法だ」とおっしゃいました。しかし、憲法は国の在り方や理想を示すものである以前に、国家権力を縛り、国民の権利を保障する最高法規です。立憲主義の核心は権力の制限にあります。総理は立憲主義の原理をどのように理解しておられるのか、改めて伺います。
【震災復興】
東日本大震災から 15 年。残されている課題を前進させるため、私たちはこれからも被災地の声を聞き、寄り添い、力を尽くして参ります。
総理は第三期復興・創生期間において、除去土壌の再利用と福島県外での最終処分の道筋を「具体化する」と述べられました。福島県外での最終処分は法律により 2045 年までと定められており、残り 19 年です。用地選定、合意形成、施設整備、搬入までの標準的期間を政府は何年と見積もっていて、その工程を逆算した場合、いつまでに候補地を決定する必要があるのか、2045 年に間に合うと約束できるか、お答えください。
【最終処分場問題】
最終処分の問題は青森県にもあります。六ヶ所村では高レベル放射性廃棄物の搬入開始から 30 年が過ぎました。事業者が県や村と結んだ協定では管理期間の目安を 30~50 年としていますが、最終処分地はいまだ決まっていません。いつ工程を示すのですか。いま示さなければ管理期間内に完結しない可能性が高いのではありませんか、間に合うとお考えか、それとも管理期間の実質的延長が前提なのか明確にお答えください。また国が今後どう責任ある行動をするのか伺います。
【実質賃金の低下と円安対策】
わが国では実質賃金の低迷が長期化し、国際比較でも、日本は実質賃金や一人当たり GDP で伸び悩 み、豊かさから取り残されています。総理は「令和 6 年度の実質賃金の伸びはプラス」と述べられましたが、厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、令和 6 年度も実質賃金はマイナスのままです。わざわざ自分に都合の良い数字を持ち出して、厳しい現実を直視しない姿勢は、物価高に苦しむ国民に対して不誠実ではありませんか。
アベノミクス以降、賃金と成長の好循環は実現していません。政府は、実質賃金低下と円安が長期化している要因をどのように分析しているのか。また、物価高が長期化する中、家計負担の軽減に向けた中長期的な物価高対策をどのように進めていくのか、円安の是正に向けてどのような政策を講じていくのか、明確にお示しください。
【130 万のガケについて】
いわゆる「130 万円のガケ」について伺います。年収が 130 万円をわずかに超えると社会保険料負担が発生し、手取りが減るケースが生じ働き控えを招く要因との指摘があります。
政府も対策は講じていますが、実態に十分対応できているとは言えません。労働者の実態に即した抜本的な制度設計が必要です。立憲民主党は、扶養から外れて保険料を納めても手取りが緩やかに増えるよう給付金を支給する制度を提案しています。働いた分だけ手取りが増える仕組みの実現が必要ではないでしょうか。総理の見解を伺います。
【責任ある積極財政】
「責任ある積極財政」と食料品消費税減税について伺います。
立憲民主党が給付付き税額控除の提案した昨年から給付付き税額控除の実務者協議が進み、その後、高市総理が提案され国民会議が設置されました。そこに急に食料品消費税も追加の議題となりました。
総理は責任ある積極財政を掲げていますが、であるならば食料品消費税減税について財源の説明は不可欠です。政府の財源確保の基本方針をお示しください。また今回の選挙で与党は大多数となり、総理にとっては食料品消費税減税という悲願達成の環境は整っています。まずは与党として取りまとめ、国会に提案するおつもりはないのでしょうか。合わせて、総理のお考えになる「責任ある」とは財政規律なのか、成長責任なのか、将来世代負担への説明責任なのか、何を持って責任あると判断されるのか、具体的な評価指標を伺います。
【租税特別措置について】
次に、租税特別措置は「公平・中立・簡素」の租税原則の例外にもかかわらず、現在約 370 項目、減収額は約 9 兆円規模にのぼるとされています。今後 整理されるとのことですが、その前提として重要なのは透明性の確保です。「隠れ補助金」とも言われる租特は、補助金と異なり適用企業名が公表されておらず、誰にどれだけの恩恵が及んでいるのか国民から見えないことが大きな問題です。立憲民主党 は、政治とカネの問題を正す観点からも企業名の公表を主張してきました。
昨年末の税制改正大綱では企業名公表について、検討し、令和 9 年度改正で結論を得るとされていますが、公表を前提に具体策を検討するのか、公表自体も含めて再検討するという意味なのか伺います。そもそも補助金は公開されるのに、租特は公開されない合理的理由についても合わせて答弁願います。また、租税の政策効果を検証するためには税務データの活用が不可欠ですが、所管省庁等との共有は限定的です。情報保護に配慮しつつ、検証の実効性を高めるため税務データのさらなる共有を進めるべきと考えますが、総理の見解を伺います。
【防衛装備移転三原則について】
防衛装備移転三原則の運用指針見直しについて伺います。これまで政府は、殺傷能力を有する完成装備品の輸出については極めて慎重な立場を取ってきました。転換はわが国の安全保障政策の根幹に関わる問題です。見直すとすれば、まずはどの装備品を、どの地域に、どのような基準で移転するのか。防衛産業基盤の強化が目的であるなら、具体的な需要想定や数量規模を示して頂きたいと思います。また、紛争当事国への流入をどのように防ぐのか、抽象論ではない、明確な戦略と歯止めについての考え方を伺います。兵器輸出は抑止力強化につながるとの説明もあります。しかし、武器の移転は紛争の拡大や地域の軍拡競争を招くリスクも伴います。政府はそのリスク評価をどのように行っているのか。総理に答弁を求めます。
【日米関係について】
総理は 3 月に訪米を予定されています。総理にはトランプ大統領との信頼関係構築を期待しますが、いかに同盟国であっても、力による現状変更や保護主義的通商政策に対し、日本が主体的姿勢を示すことは極めて重要です。訪米に臨む基本姿勢と、法の支配に基づく国際秩序の維持に総理はどう貢献するおつもりか伺います。
トランプ政権による相互関税は違法とアメリカの連邦最高裁が判決を下したことを受け、トランプ大統領は通商法 122 条に基づき追加関税を 15%引き上げを表明しました。総理の受け止めと日本企業への影響について伺います。また、日米間で相互関税とセットで合意された 5500 億ドルの対米投資は予定通り実行していくのでしょうか。日本が投資から得られるのは超過利益の 1 割しかない点や投資案件の選定のあり方など、再交渉の余地が生じたのではないでしょうか。政府の方針を伺います。
【日中関係について】
日中関係について伺います。昨年 12 月以降、フランスのマクロン大統領、イギリスのスターマー首相が訪中し、習主席と首脳会談を行い、今週にはドイツのメルツ首相も訪中しています。また、トランプ大統領も 3 月に訪中する予定です。中国は高市総理の発言をきっかけに、経済的な圧力を強めていま す。経済安全保障上、サプライチェーンにおける極端な依存を低下させるとしても、隣国である中国とは安定的に「戦略的互恵関係」を発展させることが我が国の戦略上も重要です。総理、「対話はオープン」だとして、待ちの姿勢で現状を打開できるでしょうか。総理は日中関係をどのように改善していくべきとお考えなのかお聞かせください。
【レアアースについて】
レアアースについて、民間試算では、中国からの供給が停止した場合、1 年で約 2.6 兆円の経済損失が生じる可能性を指摘しています。これは資源問題ではなく、経済安全保障そのものです。
政府は、供給が止まった場合の経済や国民生活への影響をどのように分析しているのか、現時点の評価をお示しください。
また、総理は選挙期間中、南鳥島周辺の深海資源に触れ「今の世代も次の世代もレアアースに困らない」と発言されました。レアアースは 2010 年、当時の民主党政権下で安定調達に向けた約 1000 億円の調査費が盛り込まれたのが始まりで、私も大変期待しています。他方、高市総理の「今の世代も次の世代も困らない発言」の根拠を問われた佐藤官房副長官は、「自民党総裁としての発言に政府としてのコメントは差し控える」と述べています。総理が述べられた「困らない」との見解は、自民党総裁としての政治的メッセージなのか、内閣総理大臣としての政府の公式認識なのか、明確にお示しください。国家の経済安全保障に関わる戦略物資について、党の立場と政府の立場が峻別されないまま発信されることは、国内産業や国際社会に誤解を与えかねません。内閣としての統一見解、ならびに商業化に向けての現実的な全体像、いつごろまでの実現を見通しているのか伺います。
【気候変動対策について】
世界的課題である気候変動対策について伺います。
政府は「2030 年度に温室効果ガス 46%削減、さらに 50%の高みに挑戦する目標を 2021 年に掲げていました。一方、今回総理から環境大臣への指示書では、前回記載のあった「2050 年カーボンニュートラル及び 2030 年度の温室効果ガス削減目標を実現し、」の記述が削除されました。なぜ削除したのかの理由と、目標を維持されるのであれば具体的・現実的なロードマップをどのように描いているのか、お答えください。
米国はパリ協定から離脱し、国際機関からの離脱の可能性も報道されており、国際枠組みに影響が出ることが懸念されています。仮に国際的な気候変動対策の枠組みが揺らぐ場合、日本の目標達成戦略にどのような影響が出るのか、日本の目標自体を見直す可能性もあるのか、お答えください。立憲民主党 は、日本の高い技術力と地域の資源を生かした省エネ再エネの活用と産業支援により、さらに野心的な温室効果ガス削減目標の策定を目指すべきと考えますが、政府の御見解を伺います。
【高額療養費制度の見直し】
高額療養費制度について、石破前総理は、「患者が不安を抱えたまま、見直しを実施すべきではない」と、制度改正を一旦凍結しました。その決断後も私のところには多くの当事者やご家族からの声が届いています。多くは生活や仕事への不安、そして治療は続けられるだろうかという不安の声です。
現在、所得に応じた月額上限の引き上げ方針が示され、将来にわたる負担増への不安が広がっていま す。家計も苦しい中で当事者やご家族にとっては深刻な問題です。生涯にガンに罹患する確率が 2 人に1 人と言われる時代、決して他人事ではありません。高額療養費制度は、病気になったときの最後の砦です。そこで伺います。
月額上限引き上げが患者の治療継続に与える影響を、政府はどのようなデータに基づいて評価しているのか。負担増の不安に対し引き上げ方針を見直し、引き上げ額を十分に抑制すべきと考えますがいかがですか。命に関わる制度である以上「財政上やむを得ない」という話は到底納得できません。総理には心から寄り添って十分な検討をしていただきたいのです。誰もが安心して治療に専念できるよう、希望を持っていただける答弁を求めます。
【地域医療の現状について】
地域医療について伺います。政府が令和 8 年度の診療報酬改定において 30 年ぶり 3%超の引き上げ方針を示されたことは評価いたします。しかし、物価やエネルギー価格の高騰、医療材料費の上昇、人材確保の難しさなど、医療現場は経営・人材・需要構造の三重苦に直面しています。救急、周産期、災害医療、へき地医療など採算の取りにくい医療を担う自治体病院ほど慢性的赤字構造にあり、努力だけでは維持できない危機が進行しています。地域で唯一の医療機関が失われることは、地域社会そのものの崩壊につながります。
そこで伺います。構造的に赤字を抱える自治体病院・地域中小医療機関を、国の責任でどのように安定的に維持していくのかお示しください。
【政治資金問題について】
政治と金問題について伺います。唐突に「議員定数削減」の話が出ていますが、繰り返される政治と金の問題を棚上げし、争点をすり替えたところで問題はなかったことにはなりません。
私たちは「企業・団体献金を受け取る対象を党本部と都道府県連の政党支部に絞り、受け取る上限額を引き下げる」という規制強化法案を提案しています。また政治資金をチェックする第三者機関の設置についても与野党で精力的に議論を進めてきました。信頼回復に向け実現への決意を伺います。
【農業・食料安全保障】
農業問題について伺います。昨年、コメの価格高騰を受け備蓄米の放出が行われました。ただし法的根拠は十分に明確とは言えません。このため立憲民主党は、備蓄米の放出だけでなく、米価の急激な変動に対応できるよう食糧法改正案を提出しました。消費者と生産者双方の不安を解消し、制度の透明性と安定性を高めるためにも重要な法案だと考えますが政府の見解を伺います。あわせて、いざという時の備えである備蓄について、現行 100 万トンの水準が適切なのか、民間在庫も含めた見直しの考え方について伺います。
立憲民主党では消費者・国民へ食料を安定供給するため、農地を維持することへの支援、「食農直接支払い制度」や、米価が生産コストを割り込んだ場合の制度を具体的に提案しています。また中山間地域では、食料生産だけでなく防災・環境・地域社会の基盤が失われかねないことから、中山間農業を「守るべき社会基盤」と位置づけた支援の強化、さらに新規就農対策の拡充も具体策を示し、確実な食料自給率向上と食料安全保障の実現を目指しています。
総理は総裁選で、食料自給率 100%を目指すべきとの考えを示されました。現在農水省では 2030 年度の食料自給率目標がカロリーベース 45%のまま、総理の目指す 100%目標に向けた工程はまだ示されていません。また全ての田畑フル活用というのも、旗を掲げただけでは絵に描いた餅です。食料自給率 100%の達成目標は、どういうものを生産し、どのような施策で実現するのか。全ての農地を誰がどう活用することをイメージされているのか、お考えをお聞かせください。
【少子化問題】
30 年以上前から予測されていた少子化問題。この間、賃金停滞や非正規雇用の拡大、子育てや教育費の負担の重さ、働き方改革の遅れなど、構造的な要因への対応は遅れ、対策も全く不十分。かつて自民党は、子ども手当を「将来世代へのツケ回し」と厳しく批判し、高校無償化についても「税金の無駄遣い」「バラマキ政策」と繰り返し否定してきました。そして今、少子化はかつてない速度で進み、子育て・教育支援の必要性は与野党の共通認識となっています。
当時の批判は結果として対策を遅らせたのではないでしょうか。過去の議論をどのように総括し、今後どのような抜本対策を講じるのか、総理の見解を伺います。
働いて、働いて、働いて、それでも先が見えない不安を抱えている人たちがいます。一人ひとりの暮らしが安心でなければ国は強くなれません。私たちは国民生活の土台を強くし、誰もが何度でも挑戦し続けられる社会を目指します。
そして、押しても押しても動かない壁に阻まれ前に進めない人がいるならば、壁を打ち破り、希望を持って未来へ踏み出せる社会を目指します。
小さな声にも立ち止まり、弱い立場の人を切り捨てない。その先にこそ、世界に誇れる国としての成長があると信じています。
立憲民主党は真の強さと共に、優しく、あたたかな社会を実感し、世の中が穏やかな笑顔で溢れるよう、平和であるよう、今後も力を尽くすことをお約束し、質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。