2026年2月26日、参院本会議で高市早苗総理の施政方針演説をはじめとする政府4演説に対する代表質問が行われ、斎藤嘉隆国会対策委員長が登壇しました。予定原稿は以下の通りです。
立憲民主・無所属の斎藤嘉隆です。会派を代表して、政府四演説に対して質問いたします。
高市総理、第105代内閣総理大臣へのご就任、おめでとうございます。
本日は、この本会議をご覧いただいている多くの国民の皆様に、私たちが重視している生活者本位の政策などについて、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。総理におかれましても、真摯かつ丁寧にご答弁いただきますようお願いいたします。
【カタログギフト配布問題について】
冒頭、一昨日報道された高市総理による自民党議員315人への一人三万円のカタログギフト配布問題について伺います。政治資金規正法は「何人も公職の候補者の政治活動に対して寄付をしてはならない」としています。総理はSNSや答弁の中で「政治活動に役立つもの」とギフトの目的を明示されていますが、法に抵触する可能性が高いのではないでしょうか。少なくとも脱法的であると考えます。ご自身が支部長を務める総支部からの支出だから問題ないと言われますが、ギフトの名義は総理個人です。同支部が上限を超える寄付を企業から受けていたことについて「高市早苗個人に対する献金ではない」と弁明していたことと矛盾しませんか。総理の答弁を求めます。
すべての衆議院議員に届けたとのことであれば、この議場にみえる閣僚の皆さんも受け取っているのですか。にわかには信じられません。規正法22条の2は寄付を受領する行為も違法としています。返還された方がよいのではないでしょうか。返還を求める意思はありませんか。総理に伺います。物価高に国民は苦しんでいます。国民の感情を逆なでするような行為は厳に慎んでいただきたい。強く要請しておきます。
【総理の政治姿勢について】
私たち参議院は、永く先人の知恵と議論の積み上げにより、熟議、良識の府として機能してきたと自負をしています。与野党すべての参議院議員は同様の認識であると思います。
先般の総選挙により、衆議院では与党が圧倒的多数を占めるにいたりましたが、その後、政権幹部から出る「参議院はもはや不要」との発言や、新年度予算案の年度内強行成立論など、とても看過しうるものではありません。
すでに衆院選大勝のおごりが表出しているのではないでしょうか。私は長く、国会対策の仕事に関わってきていますが、現政権は、野党の申し入れや思いを軽んじる傾向が強いと思います。
いわゆる不記載議員の政権要職への登用を多くの野党がこぞって反対した時も、SNS上で事実でない発信を行う政務三役や、核保有論を述べる官邸幹部の更迭を求めた時も、すべて完全無視、野党の声などどこ吹く風でした。総理には行政府と立法府との関係性をよく考慮いただいたうえで、謙虚な姿勢で国会と向き合っていただきたいと思います。総理の政治姿勢も含め、ご所見をお願いいたします。
【予算案の充実審議に対する考えと暫定予算編成の現状について】
その上で、お聞きします。
総理は、党に対して、新年度予算案の年度内成立を検討するよう指示をされたと報道されています。施政方針演説でも、年度末までに成立が必要な、いわゆる日切れ法案や税制改正法案等の早期成立と予算案の迅速審議にふれられています。
国民生活を支えるために必要な法案の成立には丁寧な審議を前提に、参院野党もご協力申し上げたいと思います。
とりわけ、高校無償化や給食費の負担軽減、自動車や軽自動車取得時の環境性能割廃止、軽油引取税の暫定税率廃止など税制改正を含む法案の年度内の審議は必要不可欠だと考えます。
しかし、年度内に予算そのものを成立させるのであれば、従来の予算審議時間を大幅に短縮することとなります。憲法83条で定める財政民主主義の理念、つまり国民の代表が税の使途を監視・規律するために審議し、決定するという民主国家の根幹的原理を損なうことになるのではないでしょうか。まさに国会軽視、国民軽視に他なりません。この指摘にどのように応えられますか、総理の答弁を求めます。
そもそも、予算年度内成立が事実上困難な状況になった原因をつくられたのは総理ご自身ではないですか。このような事態にしてしまった以上、この後、私たちが急ぐべきは、国民生活への影響を最小限にとどめるための暫定予算の審議です。義務的経費に限らず、四月当初からスタートする諸施策の当面の執行を担保するものとしなければなりません。暫定予算の編成と国会への提示を急ぐべきと考えますが、財務大臣に対してその編成等を指示されたのかも含め、総理のご所見を伺います。
【憲法改正について】
高市総理は施政方針演説で、憲法とは「どのような国を創り上げたいのか、その理想の姿を物語るもの」と述べられました。誰の目指す国家像なのか、誰が理想とする姿なのか、そもそも憲法とは、そのような役割を求められているものなのか、強い違和感を覚えます。
私たち、立憲民主党は、未来志向の憲法論議を進めていきます。ただし、あくまでも憲法とは、ときの権力から私たちを守り、私たちが自分らしく自由に生きるための盾であるという、立憲主義を深化させるための論議です。
立憲主義の観点から、たとえ自民党総裁であっても憲法擁護義務を負う総理大臣としては憲法改正に対する思いの表出はより抑制的であるべきではないでしょうか。総理としてのお考えをお聞きします。
【日本企業・団体に対する中国の輸出禁止措置に対する対応について】
24日、中国は日本の20企業・団体に対する軍民両用品の輸出禁止を即日実施すると発表しました。輸出管理リストにはレアアースから化学製品まで多くの物品が含まれているとされています。言語道断です。
政府は「許容できず、遺憾」とし、中国側に強く抗議したとのことですが、日本経済や防衛産業にどの程度の負の影響が生じるのか把握した上で、早期の措置撤回を求めていかなければなりません。影響をどう見込むのか、また、日中関係が冷え込む中、具体的にどのように中国とのやりとりをすすめていくのか、総理の考えをお聞きします。
【食料品の消費減税実施に向けたプロセス等について】
総理は会見のなかで、2年間の飲食料品にかかる消費税ゼロ税率について「私自身の悲願である」と述べられました。
しかし、総理は総選挙公示日以降、演説でこの件に言及することはありませんでした。ネット番組でも「食料品の消費税ゼロの検討を加速する」と自民党が掲げる方針を改めて述べるにとどめています。正直に申し上げて、総理ご自身の熱量がどうであるのか、よくわからないのです。
そもそも、自民党には、役員や閣僚も含め、消費減税に否定的な議員が多いと報道されています。まず党内をまとめ、与党としての具体的プランを示していただく必要があります。本日国民会議の初会合と聞いています。給付付き税額控除も国民会議の実施も元はといえば私たち立憲民主党が提起していたことです。しかし私たちは国民会議への参加を要請されていません。一体どうなっているんですか。
自民党内、与党内での検討、国民会議のあり方、減税の時期など、実施に向けたプロセスについて、総理の現段階でのお考えを国民の皆様にわかりやすく説明をお願いいたします。
【円安対策について】
円安対策について伺います。総理は1月31日の演説において「円安がアメリカの関税のバッファーになった。外為特会の含み益が膨張しており、ほくほく」と発言されました。
この「円安ほくほく発言」以降、ドル円レートは大きく円安にふれました。この発言について財務大臣は問題なしとしているようですが、本当にそのような認識でよいのでしょうか。発言の問題点は主に3点あると考えています。
ひとつは総理が為替レートに影響を与えるような発言を軽々に行ったという点です。次に、円安によって日本企業の国内投資増などの動きが劇的に起きるという価値観を未だ強く有しているように見えるという点です。
最後に、外為特会が保有する外貨準備は、通貨防衛が必要な際に活用される原資であることから、外貨でいくら保有しているかが重要であって、円換算でみる含み益に大きな意味はない、こうした認識が薄いという点もあえて挙げさせていただきます。
財務大臣、この3つの視点について、政府としての認識をお聞かせください。
また、物価高騰の要因のひとつに過度な円安があることは明らかです。円安是正のための適切な金融政策の必要性についてどのような認識をお持ちか、総理にお伺いします。
【物価高騰対策について】
2025年の家計調査によると、消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」が28.6%と1981年以来の高水準となりました。収入が少ないほど飲食に充てる割合が大きくなり、家計に余裕がない状態を示しています。エンゲル係数の分母となる消費支出自体は実質で増加しているにもかかわらず、係数が高い水準となっている要因は、食料品物価の高騰に他なりません。
物価高から国民の生活を守ることは政治の責務です。そのためにも先程来申し上げている消費減税、円安是正、そして、物価高騰を上回る賃上げの実現を目指さなければなりません。
高市内閣は、切迫する国民生活を支えるために、どのような具体的支援をいつまでにするのでしょうか。ガソリン暫定税率廃止・電気・ガス料金支援の延長や、子育て応援手当以外に、国民が「実感」できる具体的な物価高騰対策と、そのための工程はどのようなものであるのか、総理にお伺いいたします。
【賃上げ・労働規制について】
次に労働政策についてお聞きします。
日本の労働者の実質賃金は1996年をピークに下降傾向が続き、昨年は12ヶ月連続して実質賃金が下落。物価高騰を上回る賃上げは実現していません。
労働者は実質賃金の下落が続く中、生活の維持のため、長時間労働や休日・深夜労働、さらには副業や兼業によるダブル・トリプルワークなどの過重労働を余儀なくされています。年間総実労働時間は高止まりし、過労死や精神疾患も減少するどころか、むしろ増加傾向にあります。
こうした状況であるにもかかわらず、総理は、労働時間規制緩和や、裁量労働制の見直しなど、労働者保護政策の緩和を目指す方針を示しています。生活のために残業時間の増を望む労働者がいるのも事実です。しかし、本来は無理な残業をしなくても生活できる労働条件改善を図ることこそが必要なのではないでしょうか。
裁量労働制は、健康確保措置の実効性、実労働時間の正確な把握など多くの課題が解決されない限り、導入されるべきではありません。経済成長のスイッチを押して押して押しまくった挙げ句、労働者が犠牲になるような労働政策はとるべきではありません。健全な経済成長のためには、働く人を大切にする法制度の強化こそ必要だと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
【安全保障政策について】
高市総理は昨年末に成立した補正予算で、2025年度中に防衛費GDP比2%水準を前倒しで措置し、施政方針演説では本年中の安保三文書改定を前倒しで改訂を行うと明言されました。
どのように国会で詳細な説明や議論を行うのか。また防衛費増額の財源に社会保障削減や増税で対応することも考えているのか。補正予算での1兆円以上の計上など国民負担増を伴う「異次元の大軍拡」ではないか。総理、こうした国民の率直な問いに対する答弁をお願いいたします。
【非核三原則について】
総理は2024年のご著書『国力研究』で、非核三原則を「邪魔になる」と表現し、国家安全保障戦略など安保関連3文書からの「堅持」の文言削除を求めています。
唯一の被爆国である我が国の国際的立場や被爆された方の思いを鑑みれば、非核三原則を改めることはあり得ません。しかし、連立与党を組む日本維新の会の衆議院選挙候補者はほぼ全員が「核共有を検討すべき」とし、吉村代表も議論の促進を述べられています。総理は就任以降、非核三原則の堅持を明言されていません。政府の従来見解は承知しています。総理の思いとして、非核三原則堅持の方針を明確にしてください。答弁を求めます。
【選択的夫婦別姓について】
総理は、旧姓の通称使用の拡大を主張されていますが、国連は「通称使用は法的解決にならない」と指摘し、経団連も実務上の弊害を指摘しています。また、戸籍姓と通称姓のダブルネームによる複雑さを放置するだけでなく、マネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪や不正利用に悪用される懸念も拭えません。通称使用拡大がもたらす弊害や懸念をすべて解決できるとお考えか、選択的夫婦別姓の導入に踏み出すべきではないか、総理の見解を伺います。
【教育費負担の軽減について】
私はかつて地元愛知の公立学校で教員をしていました。教え子たちの中には、高い能力や志がありながらも、家庭の経済力によって、ふさわしい教育機会を得ることができない者が多くいました。そんな子どもの姿に接する度に、この国の政治はなんと若者や子どもたちに冷たいのかと、忸怩たる思いを持ち続けてきました。
高等学校の無償化、給付型奨学金の導入、大学ごとの授業料減免の拡充など負担軽減策は少しずつ充実してきましたが、教育費負担そのものが年々増加していて、教育格差是正にはほど遠い状況です。
総理、負担軽減策のひとつである高等学校無償化の所得制限撤廃について、自治体や保護者の不安を払拭するためにも、予定通り新年度から実施する方針をこの場で明言ください。私たちも関係法の年度内成立に努力したいと思います。
私立高校の無償化を進めるだけでは、公立高校の衰退に拍車がかかるとの指摘もあり、すでに全国の高校入試出願などにその影響が出ています。公立高校への支援、特に私立と比較し、遅れている施設整備や小中学校も含めた教職員の処遇改善などを具体的に進めていただきたい。文部科学大臣の答弁を求めます。
現在、学費の高騰、物価の高騰により、多くの若者、または勤労世代は、奨学金の返済に苦しんでいます。
奨学金返済額の一定割合を所得控除する「奨学金返済減税」は、現役世代を応援する非常に優れた仕組みだと思いますが、実現に向けての検討を進めていただけませんか。総理の前向きな答弁をお願いいたします。
【教育の充実について】
教職員不足は常態化し、日本の強みである公教育の土台が崩れつつあります。教育課題も多様化、日々の指導や保護者対応なども困難さを増し、教職員の長時間労働が続くなか、毎年7000人もの休職者が生じています。政府が目指す姿と教育を支える現場の実態は大きく乖離しています。
教育の重要性はいつの政府も強調されますが、圧倒的に人不足、予算も十分に配分されているとは言えない状況が続いています。
今こそ、教育に予算と人を重点的に配分し、日本の土台を改めて強固なものにすべきです。総理の教育観と併せ、その意気込みをお聞かせください。
【家賃補助について】
都市部を中心に賃貸住宅の家賃が高騰しています。マンション家賃も高騰し、東京23区では所得の3割を超え、他都市も上昇傾向です。
私たち立憲民主党は、低所得世帯および学生を対象に家賃を補助する公的な住宅手当の創設や、空き家を借り上げる「みなし公営住宅」の整備を提案しています。生活者を守るため、家賃補助や安価な住宅の提供に更に力を入れるべきではないですか。総理のご所見をお聞きします。
【企業・団体献金の規制について】
総理は演説の中で、日本維新の会との「連立政権合意書」の内容をひとつひとつ実現していく、必ず果たすと述べられました。
企業・団体献金の禁止または厳格規制について、日本維新の会は「献金元・受け手双方の議論」「高市総裁任期中に結論」と強く求め、合意書に協議体設置が記載されています。しかし、完全禁止はハードルが高いのか、「第三者委員会の検討を加える」程度の曖昧な表現に留まっています。政治資金改革は避けて通れないテーマです。総理の決意をお伺いします。
【医療費・介護自己負担引き上げについて】
政府は高齢者の医療・介護の自己負担引き上げを検討していると報道されています。しかし、自民党公約には具体的な言及はありませんでした。連立を組む日本維新の会は医療費の年4兆円削減を掲げ、高齢者にも現役世代と同じ医療費3割負担を求めていますが、こうした方向性も合意、確認しているのでしょうか。総理の答弁を求めます。
私は「子どもたちの未来をあたためる」を政治信条に活動を進めてきました。
教育格差の是正、財政の持続可能性確保、豊かな自然環境の保護、そして二度と若者を戦場に送らない、平和な社会の構築こそが、子どもたちや若者にとってのあたたかな未来そのものです。
与党の皆さんとは立場や方策は違えども、目指す社会の姿は同様であると信じています。最後にそんな思いを申し上げ、質問を終わります。
ご静聴ありがとうございました。