参院決算委員会で5月11日、令和6年度(2024年度)決算について質疑が行われ、「立憲民主・社民」会派から森ゆうこ、羽田次郎、古賀千景各議員が高市総理はじめ関係閣僚をただしました。
森ゆうこ議員
森議員は、(1)イラン情勢悪化に伴うオイルショック・ナフサショック(2)高市総理陣営による中傷動画投稿報道(3)水俣病患者救済の遅れ(4)スルガ銀行問題の放置――等について、高市総理に迫りました。
オイルショック・ナフサショック
オイルショック・ナフサショックをめぐっては、現場で石油・ナフサ供給が不安定化しているにもかかわらず、政府が「代替調達のめどが立っている」と繰り返していることを問題視。国内備蓄を切り崩しながら綱渡りを続けているのが実態ではないかとして、消費抑制策への転換を強く要請しました。また、ガソリン補助金についても、会計検査院が再委託率の不透明さを指摘するなど不適切な運用が露呈しているなか、補助金を続けて消費を促し続けている諸外国の例はないと批判。「石油備蓄がなくなってからでは遅い。今こそ国民に節約・抑制への協力をお願いする政策に転換すべきだ」と迫りました。これに対し、高市総理は「現時点でさらに踏み込んだ節約をお願いする段階にはない」と拒否。森議員は「危機感を共有できず残念だが、備蓄石油がなくなったら終わり。消費の抑制協力を」と重ねて訴えました。
高市総理陣営による中傷動画投稿報道
週刊誌が報じた、自民党総裁選挙や衆院選挙における高市総理陣営の公設第一秘書による、対立候補らへの誹謗中傷動画拡散疑惑についても追及しました。高市総理は「秘書に電話で確認したが、そのような行為は一切していないと報告を受けている」「週刊誌を信じるか秘書を信じるかといえば秘書を信じる」などと主張。しかし、森議員が「(報道は)事実無根、捏造だということでよいか」と問うと、明言を避けました。森議員は「もし事実であれば、民主主義の根幹である選挙の公正性、権力の正当性が問われる事態だ」と述べ、あらためて確認するよう迫りました。
水俣病患者救済の遅れ
また、公式確認から70年が経過してもなお各地で裁判が続く水俣病問題について、森議員は「認定基準の見直しこそが解決への道」として、政府にあらためて政治的決断を求めました。
スルガ銀行問題の放置
2018年の業務改善命令から8年近くが経過するスルガ銀行問題では、預金通帳やレントロール(家賃収入見込み書類)の改ざんという組織的不正により、被害者に過大な融資を押しつけた実態を指摘。民事調停を経てもなお根本解決には至らず、物件売却後も平均5千万円の借金が残る過酷なケースを挙げ、「銀行法における主務大臣は内閣総理大臣である。免許権限を持つ総理として、被害者救済へもう一歩踏み込んだ対応を約束すべきだ」と迫りました。
羽田次郎議員
羽田議員は(1)NPT再検討会議への対応(2)日米地位協定と普天間飛行場の返還・移設(3)介護現場の担い手不足と介護事業者の倒産――等について質問しました。
NPT再検討会議
NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議について、日本は唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現に向けて積極的な役割を果たすべきだと主張。5年に一度の重要な会議である以上、茂木外務大臣自らが出席し、日本の強い意思を国際社会に示すべきではないかと述べました。茂木外相が「今回は外務副大臣を派遣しており、今後の対応は会議の状況を見ながら適切に判断する」との考えを示したのに対し、羽田議員は日本の本気度を行動で示す必要があると迫りました。
日米地位協定と普天間飛行場の返還・移設
次に日米地位協定について、日米同盟の重要性はもちろんのことだが、基地周辺の住民負担や主権上の課題にしっかり向き合うことの重要性を訴えました。普天間飛行場の返還と辺野古移設については、返還合意から長い年月が経つ中で工事の長期化や事業費の増大が続いている現状を指摘。政府は、普天間飛行場の危険性除去と日米同盟の抑止力維持の観点から、辺野古移設が唯一の解決策であると説明しています。しかし一方で、防衛省が示した総事業費は当初より大きく膨らんでおり、今後の見通しもなお不透明である点について、沖縄に過重な負担が集中している現実を重く受け止め、責任ある説明と対応を行うべきだと強く求めました。
介護現場の担い手不足と介護事業者の倒産
介護現場の課題について介護従事者の人材不足が深刻化し、特に訪問介護事業者の倒産が相次いでいることについて質問しました。これについて厚生労働大臣は、処遇改善加算などを通じて対応していく考えを示しましたが、現場では人手不足に加え、記録や調整などの業務負担も重くのしかかっている現状を指摘し、その上で、介護職の処遇改善を着実に進めるとともに、現場の実情に合った制度の見直しの必要性を訴えました。
古賀千景議員
古賀議員は、(1)不登校児童生徒の現状とICT教育による支援徹底(2)教職員の働き方改革および処遇改善(3)幼稚園教諭の給与および待機児童問題――等について質問しました。
不登校児童生徒の現状とICT教育による支援徹底
古賀議員は、小中学校における不登校児童生徒数が令和6年度(2024年度)に35万3970人と過去最多となっているなか、出席扱いとなる自宅でのICTでの学習活動の利用者が1万3261人で、利用率が3.7%となっていることを問題視。不登校問題に対する政府の現状認識とICT教育制度による不登校児童生徒への支援が必要ではないかと問いました。高市総理は、不登校問題には子供の学校生活の意欲の低下や生活リズムの不調が原因にあり、保護者の不登校離職が発生しているなど極めて憂慮すべき状況であるとの認識を示し、「ICTを活用した学習活動を出席扱いとする制度の浸透を徹底するため、リーフレットを新たに作成し、SNS等でも周知に取り組む」と述べました。
教職員の働き方改革および処遇改善
教職員の魅力向上にあたって、教職員の働き方改革を推進し、教職員が子どと向き合う時間を更に確保することが重要と指摘した上で、定年延長後の教職員の給与が7割水準となっていることについて、処遇改善が必要ではないかと問いました。高市総理は、中学校35人学級の実現に向けた教職員定数の改善等指導体制の充実を図るとともに、定年延長後の教職員の給与水準は、人事院の検討を踏まえて、教職員の人材確保に資するよう適切に対応すると答弁しました。
幼稚園教諭の給与および待機児童問題
大津市の待機児童は、令和7年(2025年)7月1日現在で132人と日本で一番多くなっていると指摘。大津市では幼稚園教諭の賃金が、保育士と同等の賃金水準まで下がる行政職給料表が適用となる条例改正案が審議中となっていることについて、保育士の離職が加速し、待機児童問題が深刻化するとして、政府の見解を問いました。高市総理は、大津市では幼稚園と保育園間の人材配置を柔軟にすることを目的として、給与体系を一本化する条例改正案を市議会において審議中であることから「政府がその是非をお答えすべきでない」と述べ、政府の見解の明言を避けました。