参院内閣委員会で5月14日、国家情報会議設置法案の審議が行われ、鬼木誠、杉尾秀哉両議員が質問に立ちました。

鬼木誠議員

 鬼木議員は、(1)立法事実(2)インテリジェンス部門の体制強化(3)個人情報の取得――などについて質問しました。

 冒頭、内閣情報調査室(内調)が発足から70年以上経つなか国際情勢の変化などに応じて機能強化を図ってきた経緯に触れ、「なぜ今、局への格上げが必要なのかについて、国民の納得性が高まっていない」と指摘。現行制度の中でも総合調整や企画立案機能の強化は可能ではないかと提起しました。

 政府側の「制度的な限界を超えている」という答弁に対し、鬼木議員は「情報の質や迅速性の問題は、省庁側のインテリジェンス機能の課題ではないか」として、組織改編だけでなく、政治家や各省庁の情報部門の意識改革こそ必要だと強調。政府側も、政策部門による適切な情報要求や、情報部門との連携強化の重要性を認めました。

 鬼木議員はまた、違法な捜査や監視による個人情報・プライバシーの侵害事案の反省を踏まえ、国民の間に広がる個人情報やプライバシー侵害への懸念を払拭するには、附帯決議ではなく法文に個人情報保護や政治的中立性を明記すべきだと主張。これに対し木原官房長官は、「本法案は新たな調査権限や捜査権限を付与するものではない」と反論し、個人情報保護法など既存法令の範囲内で運用されると説明しました。

 鬼木議員は、政府が明文化しないことの理由として、「情報活動の『萎縮』を招きかねない」と説明していることを問題視。警察において「公共の安全と秩序の維持」を拡大解釈されたことで組織や個人に対する冤罪事件を生んできた過去の経緯もあり、同様のことが行われるのではないかという国民の不安や懸念に応えるためには法文に書き込む必要があると重ねて訴えました。

杉尾秀哉議員

 杉尾議員は、(1)日本におけるスパイ活動の実態(2)人権の尊重と情報の政治利用――等について取り上げ、政府の見解をただしました。

 杉尾議員は冒頭、「日本はいわゆる『スパイ天国』なのか」と提起。法案の必要性についての議論の際に必ずこの「スパイ天国」が出てくるが、実態として日本のインテリジェンス機関は相応の能力を持っているとの認識を示し、いわゆる国民監視にウエイトが置かれるのではないかと問題視しました。

 これまで内閣情報調査室や公安警察などで違法・不適切な情報収集が問題となってきた経緯を挙げ、「行ってはならないという前提だけでは不十分だ。なぜ今後一切やらないと断言できるのか。法案のどこに歯止めがあるのか」と追及。政府側は「憲法や個人情報保護法、国家公務員法などの規定が歯止めになる」と答弁しましたが、法案自体に明確な制限規定がないことへの懸念は払拭されず、裁量規定を入れるべきだと重ねて主張しました。

 また、高市総理が「政府批判デモでも、危険が生じうる可能性があれば関心を寄せることはある」と答弁している点を取り上げ、「普通の市民がデモや集会に参加しただけで調査対象になりうるのではないか」と指摘。政権に都合の悪い官僚に対しプライバシーや人権を侵害する調査が行われ、情報リークが行われてきた過去の例にも触れ、情報機関の政治利用への強い危機感を示しました。

 杉尾議員は、「国家情報局が『総理の目と耳』として権限を強めれば、市民監視や政治利用につながりかねない」と警鐘を鳴らし、国会への定期報告や第三者的監督など、民主的統制の強化を求めました。