参院本会議で産業競争力強化法案に対する代表質問が行われ、古賀之士議員が登壇しました。予定原稿は以下の通りです。
経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(全文)
立憲民主・無所属 古賀之士
立憲民主・無所属の古賀之士です。尊敬する王貞治さんの誕生日に登壇する機会をいただきありがとうございます。私は会派を代表し、ただいま議題となりました、「経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」について、国民の皆様の深い理解を得られるよう、国民の視点を中心に質問いたします。
本法律案は、異なる3本の法律と4つの要素がまとめられたものです。
1つ目の要素は「国内投資の誘引」、2つ目はトランプ関税に端を発する対米投資の履行、3つ目の要素は産業用地の確保、4つ目は地方のエッセンシャルサービスの維持です。
1つ目の投資の誘引と3つ目の産業用地の関係は分かります。4つ目もギリギリ繋がっているかもしれません。しかし、明らかに2つ目の「対米投資」と最初の「国内投資促進税制」は体系も立法事実も異なります。これも成長投資の一環ということでしょうか?ならば1つの束ねた法案にしなければならない理由を、本法案の体系、成長投資との関連の観点から国民の皆様にわかりやすく赤澤経産大臣にご説明願います。
次にそれぞれの要素についてお尋ねします。
まず国内投資について、昨今の技術革新の速さに鑑み、ある程度公平性や透明性といったものが規模や速度に劣後することは一定理解できます。しかし、ROI投資利益率15%以上という条件は、あまりにも一部の企業に限られてしまうのではないでしょうか?また即時償却や税額控除は黒字の企業にしかメリットがなく、採算ラインで社会に必要な物品を供給しているような地場の中小企業にはメリットは小さいと思われます。こうした中小企業の維持と強化に向けても、中小企業経営力強化法があったとしても、設備投資に対する融資の利子補給や補助金などを検討する考えがあったりしますか?赤澤経産大臣にお尋ねします。
また、やりっぱなしで、「事後の検証なし」は問題です。ROI 15%以上はどうやって追跡していくのでしょうか?網羅的な検証が困難となってしまえば、当然、その後の政策に活かすことができません。これらの減税によってどのような業種がどれだけの投資を実行し、その結果として日本経済にどのような影響が生じるのか? それらを検証し、個々の認定の妥当性、ひいては本法案の妥当性をしっかり検証し、産業政策をブラッシュアップしていくことについて、制度的な担保と赤澤経産大臣の所見を伺います。
日米戦略的投資イニシアティブについてお伺いします。合計5500億ドル、日本円にして締結当時は80兆円、今では円安が進行して87兆円の巨大な投資です。予算要求を読むと内訳はJBICが1に対して民間金融機関が2というようにも読めますが、赤澤大臣は昨年9月、JBICによる出資と融資は外為特会と政府保証付きのドル建ての債券等でまかなうと発言されており、確かにJBICの仕組みからしてもその部分については円売りドル買いのオペレーションは起きないと認識しています。しかし、60兆円近くは民間金融機関による融資になります。外資系の銀行ともコミュニケーションを取っているとしていますが、この内1/3でも円売りによってドルを調達するのであれば20兆円、先日の為替介入で巷間噂されている10兆円の2倍もの円安圧力となります。当然これらの期間は数年にわたってということになりますが、そこで提案含めですが、これらの影響を打ち消すために同額同時に外為特会のドルを売るようなオペレーションなど、円安対策を備えて検討されるか確認のため林財務大臣臨時代理にお伺いします。
NEXIによる保証についてのリスクについて確認いたします。今回の日米戦略的投資イニシアティブにおいてNEXIは区分経理を採用し、今回の件で何らかの影響が起きた際に、NEXIの他の事業に影響を及ばないようにしています。一方、保険は多数の案件を引き受け、試行回数が多ければ多いほど平均値に近づく「大数の法則」により成立しています。区分経理を採用することはリスクを高めることになると国民に説明しておく必要はありませんか?3兆円の交付国債による措置を今回、見込んでいますが、万が一、巨大な保険金支払いが発生することはないのでしょうか?国民の皆様から十分な理解がまだ進んでいないので、あえてお聞きします。NEXIにおいて資金調達が困難になった場合、貿易保険法28条における政府が必要な財政上の措置を講じる、追加的公金、つまり税金を支出することになるのかどうか赤澤経産大臣にご説明願います。
産業用地についてお伺いします。今回は立法事実として、令和5年、2023年に行われた各都道府県と各政令市向けアンケートや分譲可能な産業用地の面積の減少が挙げられています。しかし、その中身を精査すると少し違った見方も出来るように思えます。例えば、アンケートにおいて産業用地を確保できていないとした42府県の分譲可能な産業用地の面積は3000haを切る一方で、全国では1万ha弱の分譲可能な産業用地があります。北海道には4000ha以上あります。立地条件が良く、使い勝手の良い用地がさらに人気になっている。つまり、問題は産業用地の不足ではなく偏在だと思いますが、赤澤経産大臣の認識をお伺いします。
また近年の産業用地の確保のための施策についてもお尋ねします。先のアンケート等をもとに、令和6年度からは「産業用地整備促進伴走支援事業」が始まりました。また昨年には「産業用地マッチング事業」も始まりました。特に伴走支援事業については既に2年経っておりますので、その実績等の結果と検証、そしてそれらが本法案にどの程度活かされているのか赤澤経産大臣にお伺いします。
また合わせて、既存の事業と本法案における措置がどのように一体的に行われていくのか?そして周知されていくのか?赤澤経産大臣、お答え下さい。
また本法案の規制緩和そのものについてお尋ねします。工場立地法においては、その目的として第一条に「工場立地が環境の保全を図りつつ適正に行なわれるようにするため」とあり、「国民経済の健全な発展と国民の福祉の向上に寄与することを目的」として、例えば緑地面積を20%以上にすると定めてあります。
しかし、成立以降、老朽工場の建て替えに困難をきたすことや、地域の実情に即していない等の理由により累次の改正、規制緩和が行われた結果、既に市町村による条例で緑地面積を1%とすることが可能になっています。これ以上の規制緩和は工場立地法の目的自体を空文化してしまう恐れもあると考えられますが、赤澤経産大臣から今回さらなる規制緩和を図る意図を教えて下さい。
これは提案となりますが、例えば地域との調和を図る観点から、工場の立地するエリアと同一エリアにある森林に対して、工場を保有する企業がその保全活動を行ったり、地域雇用の割合が高く、かつ賃上げや職場環境の改善に対して一定以上の取組を図ったりといったことに対して、報酬、つまりインセンティブとして緑地面積の割合を下げていく、といった制度設計を検討できないか、赤澤経産大臣のご所見を伺います。
4つ目の要素となる、エッセンシャルサービスの維持についてお伺いします。まず、赤澤大臣、本法案がエッセンシャルサービスの維持と、地域における人材の定着に寄与する見込みを教えて下さい。もちろん、地域の日常生活を支えるエッセンシャルサービスの維持は喫緊の課題です。特に、その土地で生活する方々にとっては具体的な見込みがなければ、過疎化は進み、移住してくる方や訪問者の可能性が薄まり人口減少にも歯止めがかからないことを一番よくご存じだからです。
そこでお尋ねしたいのは、エッセンシャルサービスを維持する方法についてです。本法案では、金融支援と手続面での規制緩和が目立ちますが、そのメニューは十分に効果が期待できるのか具体的な見通しを伺います。エッセンシャルサービスという、原則、人がいないと成立しない業態については、人口減少、少子化、高齢化が進む日本において、相当な逆風です。融資の条件を良くしたとしても、また効率化したとしてもサービスを提供する事業への資金回収の見込みが立たないおそれがあります。その中で明るい未来が見えてくるための投資回収の予見性について赤澤経産大臣はどのようなご所見をお持ちなのか伺います。
例えばエッセンシャルサービスで大切なガソリンスタンドについてお伺いします。ガソリンスタンドにおいては地下にガソリンを貯蔵するタンクがあり、老朽化して更新するにしても、移転するにしても事業者に対して大きな負担となっています。そこで大胆な事業転換を超えた、構造転換を行えないでしょうか。ガソリンスタンドを太陽光発電所に転換し、そこにグリーンエネルギー充電ステーションを併設するような大胆な事業転換に補助金制度を設ける。またその地域における電気自動車の購入にも補助金を出す。今回の法案のように、エッセンシャルサービスの維持は非常に重要ではありますが、既存のやり方では限界があるからです。より中長期的に考えて提案させていただければ、例えば、人手不足のドライバーさんとヒト型ロボットが共存できる交通特区をあえて地方に設けたり、仮にガソリンスタンドがなくなっても自動運転車が文字通り、自動で充電するシステムに予算をかけたり、農家を手伝うロボット特区を構築したりと、たとえ人口減少や少子高齢化が進んだとしても、地方の交通や産業が維持されるような根本的な対策をお示しいただけないでしょうか?赤澤経産大臣、そして現在地方活性化を司る総務大臣でもあり、財務大臣臨時代理も務めていらっしゃる林大臣から政策の裏付けとなる財政について答弁お願いいたします。
今回の法案については、国民の理解が深まることが第一と考えています。期待とともに、これまで述べたような不安や課題があることも確かです。日本の産業をより前に進めていくために、提案も含め、お聞きしたことに対して前向き、建設的なご答弁を期待して質問を結びます。
ご静聴ありがとうございました。