参院厚生労働委員会で5月28日、政府提出の「健康保険法等の一部を改正する法律案」および立憲民主党と公明党が共同提出した修正案の質疑、総理入り質疑が行われ、小西洋之議員、山内佳菜子議員、石橋通宏議員がそれぞれ質問に立ちました。
質疑終局後には、郡山りょう議員が政府原案に反対、修正案に賛成の立場から討論に立ちました。採決の結果、政府原案が賛成多数で可決しました。
小西洋之議員
小西議員は、健康保険法改正案第63条2項6号の「一部保険外療養」の条文解釈について、全ての療養分野が対象になり得るとした前回の答弁から、厚労省内でどのように法理を整理したかをただしました。 これに対し、間(はざま)保険局長は、連立政権合意の背景やOTC類似薬を巡る議論の経緯、法令解釈の原則を踏まえ、当該規定の趣旨は「薬剤のみを対象としたものと解釈している」と修正答弁を行いました。小西議員は、国民皆保険制度の崩壊を防ぐための確定解釈が得られたとの認識を示しました。
山内佳菜子議員
山内議員は、高額療養費制度の見直しを巡る修正案に関し、家計や教育費に与える影響を把握するための実態調査の実施時期や手法について発議者に問いました。
発議者である小西議員は、令和9年(2027年)の改革までに実態を十分把握できるよう、直接の聞き取りも含めて公布後速やかに調査を行うべきだとの考えを述べました。また、過去の見直しが凍結された経緯を踏まえ、山内議員は議論のプロセスで「患者の声を聴くこと」の重要性を指摘しました。これに対し、同じく発議者の公明党の秋野議員は、医療保険部会の下に当事者が参加する専門委員会を設けることや、算定資料をあらかじめ提示して意見を聴く措置を法律上の義務とする旨を説明しました。最後に山内議員は、委員会での指摘を反映した修正案の意義を今後の施策に生かすよう、上野厚生労働大臣に求めました。
石橋通宏議員
石橋議員は、高額療養費制度の改正案の審議において、限度額引き上げが重い病気の患者や家族に大きな負担を強いるものであり、憲法が保障する生存権や個人の尊厳に関わる重大な問題だと指摘。その上で、こうした重要な制度改正を進める以上、政権、とりわけ総理には高い信頼性が求められるとして、総理に向けられているSNS・AIを用いた選挙妨害疑惑について説明責任を果たすよう求めました。
これに対し総理は、自身も事務所も他候補を中傷する動画の制作や拡散に関与した事実はなく、秘書にも確認したがそのような事実は認められなかったと答弁しました。石橋議員は、疑惑が十分に払拭されないままでは、患者負担を増やす高額療養費制度の見直しを進める正当性そのものが問われるとして、法案はいったん立ち止まって見直すべきだと主張し質問を終えました。
郡山りょう議員
郡山議員は、健康保険法等改正案に反対、立憲民主党などが提出した修正案に賛成の立場から討論を行いました。
郡山議員は、政府案について「高額療養制度やOTC類似薬の保険給付見直しなど、性格の異なる項目を一括りにして改正するものであり、丁寧な審議を妨げたと言わざるを得ない」と批判。特に、高額療養費制度については「経済的負担から必要な治療を断念せざるを得ない方がいる中で、2段階の負担増を断行しようとしている」と指摘。「当事者の声を十分に反映せずに自己負担を増やすことは大きく間違っている」として、制度を切り離して再検討する必要性を訴えました。
また、OTC類似薬の一部保険外療養についても、「対象範囲がなし崩し的に広がることや、必要な受診が抑制されることへの懸念が拭えない」と指摘。制度の持続可能性に向けては、「所得把握の充実と応能負担の原則の徹底が不可欠だ」と主張しました。
その上で、「医療保険制度、そして社会保障制度全体の枠組みについて、与野党を超えて議論を深めなければならない」と強調。立憲民主党は、「今後も国民の命と暮らしを守り抜くため、全力で取り組む」と表明しました。