参院厚生労働委員会で6月18日、石橋通宏議員が「社会福祉法等の一部を改正する法律案」に対する質疑に立ち、(1)訪問介護報酬のマイナス改定(2)中山間地・離島でのサービス確保を要求(3)基準緩和による過重労働(4)介護従事者の処遇改善と人材確保――等について政府の見解をただしました。
訪問介護報酬マイナス改定の影響を追及
石橋議員は冒頭、今回の改正案について、介護現場の厳しい実態を踏まえれば本来もっと時間をかけて審議すべき重要な法案であると指摘しました。その上で、前回の訪問介護報酬のマイナス改定について「訪問介護事業者の倒産・廃業が過去最多となるなど、現場に深刻な影響を与えている」と問題視しました。
続けて、これまで立憲民主党が繰り返し「現場が続けられなくなる」と指摘してきたにもかかわらず、厚生労働省は「大丈夫」と説明してきたとして、政府の認識をただしました。上野厚生労働大臣は、訪問介護事業所の経営状況は地域特性や事業所規模などによりさまざまであり、2024年度(令和6年度)改定ではそうした特性を十分に考慮しきれなかった面があるとの認識を示しました。石橋議員は、被害を受けた現場に対し、政府として「正直に謝罪すべきだ」と求めました。
中山間地・離島でのサービス確保を要求
中山間地や人口減少地域での介護サービス確保をめぐり、石橋議員は「現行の地域加算などでは離島や過疎地の実情を十分に反映できていない」と指摘しました。島根県雲南市、安来市、奥出雲町などで現場の実態調査が行われ、今回の制度提案につながったことは評価しつつも「制度設計次第では絵に描いた餅に終わる可能性がある」と懸念を示しました。
新たな特定地域制度や包括払いの導入により、事業者の収入や経営が安定し、介護従事者の処遇改善につながるのかをただしたのに対し、上野大臣は、移動時間など地域の実情を踏まえた報酬や事業費を確保し、経営の予見可能性を高めることで、雇用の安定や処遇改善にも資すると答弁しました。
石橋議員は、沖縄県竹富町の黒島など、二次離島・三次離島では、石垣島からフェリーで移動してサービス提供を行っている実態を紹介し「燃料費の高騰や物価高、長時間移動などを制度に反映し、利用者が住み慣れた地域で介護サービスを受け続けられるように」と求めました。
基準緩和による過重労働を懸念
石橋議員は、包括払いへの期待がある一方で、人員配置などの基準緩和が過重労働やサービス低下につながることへの懸念を示し「人手不足が続く中で基準を緩和すれば、現場の負担がさらに増し、担い手の離職を招きかねない」と指摘しました。
上野大臣は、制度導入に当たってはサービスの質の確保と職員負担への配慮が重要だと説明し「自治体によるサービス提供状況の確認や、ケアマネジャーをはじめとする地域関係者の外部の目を入れる仕組みを検討する」と述べました。石橋議員は「現場にさらなる負担をかけ、サービス提供ができなくなる事態は絶対に避けるべきだ」と訴えました。
介護従事者の処遇改善と人材確保を訴え
介護人材の確保については「利用者が増える一方で介護職員数は頭打ちとなり、全産業平均との賃金格差も縮まっていない」と指摘。さらに、このままでは現在働いている人が離職し、若い世代も介護分野に入ってこないとして「介護従事者の処遇を全産業平均に追いつかせる決意を大臣が示すべきだ」と迫りました。
上野大臣は、他職種と遜色のない処遇改善に向け、2026年度(令和8年度)の臨時報酬改定や2027年度(令和9年度)の定例改定で、物価や賃金の上昇を踏まえた対応を進めると述べました。石橋議員は「日夜頑張っていただいている全国の従事者の皆さんに、大臣からの決意メッセージと実効性ある制度対応が必要だ」と強調しました。
最後に、介護福祉士養成校で外国人留学生が増えている現状を踏まえ、外国人介護人材が安心して学び、資格を取得し、日本の介護現場で長く働ける環境整備を求めました。養成校や自治体への支援を含め、国として責任を持って取り組むよう求め、質疑を終えました。