参院内閣委員会で7月14日、国旗損壊等処罰法に関する参考人質疑が行われ、参考人として金沢工業大学大学院教授の伊藤俊幸さん、神戸大学大学院法学研究科教授の木下昌彦さん、中央大学法学部教授の橋本基弘さんが意見陳述しました。
立憲民主党からは、杉尾秀哉議員が質問。(1)規制対象の明確化が不可欠だとする見解(2)憲法上の問題点――等について取り上げました。
まず、本法案を「制度の空白を埋めるもの」と一定評価した上で、規制対象の明確化が不可欠だとする見解について問いました。これまでの審議では、立法目的も処罰対象も曖昧で、恣意的な運用につながりかねないという懸念が繰り返し示されてきたからです。
これについて伊藤参考人は「賛否の分かれる問題だからこそ、曖昧なままにせず、国会で線引きを示すことが必要だ」と述べました。杉尾議員は現実の審議の中で、処罰される行為とされない行為の境界を「本当に十分明確にできるのかに強い疑問を持っている。曖昧な法律は、国民の萎縮や現場の混乱を招く」と、懸念を表明しました。
起訴で違憲訴訟の可能性 表現の自由への制約に重大な憲法上の疑義
続いて、木下参考人と橋本参考人には、憲法上の問題点を尋ねました。木下参考人は、法案が成立すれば「起訴事案を通じて違憲訴訟が提起される可能性がある」と指摘しました。とりわけ、表現の自由への強い制約、そして「国民感情」を保護法益とする点には、重大な憲法上の疑義があるとの見解でした。
また、橋本参考人は抽象的な不安や危険性だけで表現を規制してはならないと明確に述べました。予防的立法の名の下に自由を狭めれば、傷つくのは民主主義そのものであり、愛国心の醸成を期待するような発想にも、「強い違和感を覚える」と述べました。そして「法律は人の内心を育てるための道具ではなく、表現を規制することで思想形成に影響を与えようとすれば、それは自由な社会の土台を揺るがす」として、こうした立法は、国旗や国歌への反発を招く逆効果すらあり得ると述べました。
憲法上・運用上に多くの課題 慎重で丁寧な議論を求める
杉尾議員は改めて、参考人から示された多くの課題や懸念を受け止め、この法案には憲法上、運用上も多くの課題が残されていると感じ、表現の自由、民主主義のあり方に関わる問題として、これからも慎重で丁寧な議論を求めていく考えを示しました。