参院内閣委員会で7月16日、議員立法「国旗の損壊等の処罰に関する法律案」(自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党が共同提出)の審議が行われ、立憲民主・無所属から杉尾秀哉、小島とも子両議員が質問に立ちました。

杉尾秀哉議員

法案提出者の「愛国心発言」撤回の意思を確認

 杉尾議員は、国旗損壊等処罰法案をめぐり、共同提出者である日本維新の会の阿部圭史議員が、法案成立により国旗を大切にする気持ちや愛国心が醸成されると発言したことに言及。発言を撤回する意思があるかどうかを繰り返し確認しましたが、阿部議員は「私自身の政治信条に関する答弁をした」と述べるものの、質問には答えませんでした。杉尾議員は、法案が国旗への敬意や愛国心の醸成を刑罰によって促すものになりかねず、個人の内心や表現の自由に重大な影響を及ぼすと批判しました。

処罰対象の要件が不明確 

 また、参考人質疑で憲法学者から、罪刑法定主義や言論・表現の自由に反する違憲立法だとの指摘があったことを重視すべきだと主張しました。また、処罰対象の要件が「著しく不快」など不明確であることから、恣意的な運用や政治的言論への萎縮効果を招く恐れがあると指摘しました。

 杉尾議員は、国旗損壊行為は国家や政府への強い批判行為にもなり得るとして、政府批判を禁止する法律につながる危険性を指摘し「憲法違反の疑いのある法律は絶対に作ってはならない」と訴えました。

小島とも子議員

諸外国との「アンバランス」を理由とする立法に疑義

 小島議員は、わが国刑法の外国国旗損壊罪の保護法益は「外交の円滑・安全」という国家法益であり、国民感情の保護ではないと指摘し、諸外国の国旗損壊罪についても、各国の歴史的成り立ちに基づく憲法や国家の威信が保護対象であると力説。その上で、「成り立ちが異なるものを同一に並べて、外国にも自国の国旗損壊罪が存在をしているから、日本も国旗損壊罪を制定する必要があるとは言えない」と主張しました。これに対し法案提出者の自民党の高木議員は、日本の国旗損壊罪は、外国との「アンバランス」解消を目的とした法案であるとして、質問に対する明確な答弁を避けました。

表現の自由に対する侵害の恐れを訴え

 小島議員は、この法案が国民感情の保護を理由としながらも、表現の自由を侵害する可能性があると訴えました。これに対し高木議員は、本法は憲法上の必要かつ合理的な規制であり、「思想及び良心の自由や表現の自由を不当に侵害することのないよう万全を期す」と答弁しました。

私人逮捕・誤認逮捕の懸念を表明

 小島議員は、法案の構成要件にある「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」について、「主観的であり、個人の内心の感情に左右される」として、一般市民による私人逮捕や誤認逮捕が起こり得ると懸念を表明しました。これに対し高木議員は「これを見た者が現実に不快感や嫌悪感を覚えたか否かではなくて、一般通常人を基準として、客観的事情を総合的に勘案して判断される」との認識を示しました。

3年後の見直し規定での「規制拡大」への懸念

 法案附則にある「3年後の見直し規定」について、規制拡大の可能性があると指摘した上で、「政治的表現、芸術的表現の萎縮、誤認逮捕や私人逮捕によるトラブルなど規制が過剰であった場合の検証は全く書かれていない」と訴えました。高木議員は「現時点において何か確定的に見直しの方向性が定まっているものではない」と答弁しました。