参院沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会で7月24日、国家社会機能継続性確保施策及び副首都等の整備に係る施策の推進に関する法律案など3案に関する一括質疑が行われました。立憲民主党・無所属の鬼木誠議員は、制度設計の不備や財政面の不透明さなどを指摘し、法案の取り下げを求めました。
まず鬼木議員は、特別区を設置した場合、包括する道府県が「都」に名称変更することが副首都指定の前提となるのかを質問。提案者は、特別区を包括する道府県に名称変更の義務はなく、特別区の設置も副首都指定の必須条件ではないと答弁しました。鬼木議員は、これまでも指摘してきた付則7条が必要ないことを確認し、今回の改正の必要性そのものが不明確だと述べました。
また、現行の大都市法について、大阪都構想をめぐる過去2回の住民投票を踏まえ、運動資金の報告・公開制度がないことや、住民投票に関する情報提供の中立性、特別区設置後の財政的影響の可視化などに課題があると指摘。「本当に改正すべきところは放置し、自分たちに都合のいいように改正しようとしている」と批判し、法全体を検証した上で改善すべきだと求めましたが、提案者は今回の法案とは関係しないとして明確な回答を避けました。
さらに、大阪都構想の住民投票と統一自治体選挙が同日に実施された場合、公職選挙法による政治活動の制限によって、公平かつ自由な住民投票運動が制約される問題を追及。同日実施を前提とするのであれば、国民投票法と同様、選挙期間中も政治活動を制限しない規定を設けるべきだと求めました。提案者は「一定の規制が課されることを踏まえ、公平公正な住民投票が行われるよう努めなければならない」と繰り返すのみで、鬼木議員は「公平公正で自由な住民投票を担保する意図がないと言わざるを得ない」と再考を求めました。
副首都の指定手続きについては、政府が基本方針や政令を示す前に道府県が指定を申し出る制度設計を「本末転倒」と批判。「どんなものを目指すのか、何をやりたいのかを知らされないまま手を挙げるのは乱暴だ」と述べ、基本方針や政令の考え方・イメージを早期に示し、それに基づいて申し出ができるようにすべきだと要求しました。提案者も、指定要件にかかる政令制定後、速やかに基本的な考え方を示せるよう政府に働きかけると答弁しました。
財政面では、インフラ整備など巨額の費用が見込まれるにもかかわらず、財政規模や財源、費用対効果が示されていないと指摘。提案者は、災害対策本部設置に着目した過去の事例から「数十億から数百億円程度」との幅を示しましたが、鬼木議員は「ものすごい幅だ。あまり参考にならない」と批判し、他の地方公共団体の財政に影響を及ぼさないことを明確にすべきだと迫りました。提案者は、他自治体への財政的影響は避けなければならないとの認識を示しました。
加えて、副首都指定の申し出に関係市町村の同意を求めていない点も問題視。提案者は、道府県議会の議決によって市町村の意向を一定程度くみ取ることができるとしながら、関係市町村の同意や意向は指定要件の審査や指定の可否を左右しないと明言しました。鬼木議員は、県内の市町村が反対していても指定が可能となる制度だと指摘。副首都への機能や財源の集中によって自治体間格差や一極集中が進む可能性があるにもかかわらず、市町村の意向を考慮しないことは「大きな欠陥だ」と批判しました。
鬼木議員は最後に、南海トラフ地震への想定や他省庁との連携、既存法との整合性にも課題があると指摘。「いつ大災害が起こるか分からないからこそ、生煮えの法案ではだめだ」と述べ、大災害時の首都機能・統治機能のバックアップに特化した制度を政府が責任を持って検討すべきだと強調し、法案の取り下げを強く求めました。