立憲民主党は7月23日、連続講座「りっけん塾」第3回講座をオンライン(Zoom)で開催しました。
 今回は、慶應義塾大学経済学部教授の井手英策氏を講師に迎え、「ベーシックサービス ~政治はポピュリズムを超えられるか~」をテーマに講演いただきました。
 全国から約300人が参加した今回の講座では、ポピュリズムが広がる現代政治の課題や、日本社会が直面する格差・分断の背景、さらには誰もが安心して暮らせる社会を実現するための「ベーシックサービス」の考え方について、豊富なデータや海外事例を交えながら講演が行われました。その後は参加者との活発な質疑応答が行われ、政治や財政、社会保障のあり方について理解を深めました。

■「これからの社会のあり方を考える機会に」

 開会にあたり、山内佳菜子参院議員(つながる本部事務局長)は、第3回りっけん塾に多くの参加申し込みがあったことに感謝を述べるとともに、「りっけん塾」は党の理念や政策について幅広く学び、議論を深める場として開催していることを紹介しました。
 続いて、辻元清美参議院議員(つながる本部長代行)は、「国会ではさまざまな政策課題が議論されているが、私たちが目指す社会の姿を考えるうえで、本日のテーマは大変重要だ」とあいさつし、井手氏の講演を通じて、参加者一人ひとりが社会保障や財政のあり方について考えを深める機会となることへの期待を述べました。

(左)山内佳菜子 つながる本部事務局長 (右)辻元清美 つながる本部長代行

■「日本はいま、ポピュリズムが極めて深刻なレベルに達している」

 講演の冒頭、井手氏は、現在の日本政治について「減税や給付など目先の政策が注目される一方で、社会の将来像を示す議論が十分に行われていない」と問題意識を示しました。
 そして、日本社会は「ポピュリズムが生まれつつある」のではなく、すでにその影響が深く浸透した段階にあると指摘しました。

 「私たちはポピュリズムが始まる社会にいるのではなく、ポピュリズムが極めて深刻なレベルにまで達してしまった社会に生きている」
 井手氏は、政治が短期的な人気取りに偏り、誰かを批判したり敵をつくったりすることで支持を集める手法が長年続いてきた結果、政治に対する信頼だけでなく、人と人との信頼まで失われてきたと分析しました。

井手英策 慶應義塾大学教授

■「犯人探しの政治」が社会の分断を深めた

 井手氏は、日本政治では長年にわたり、「無駄をなくす」「既得権を壊す」といった言葉が繰り返され、その過程で「誰が悪いのか」という犯人探しが政治の中心になってきたと指摘しました。
 その結果、人々は政治に希望を見いだせなくなり、社会全体の連帯感も弱まっていったと説明しました。
 さらに近年では、その矛先が外国人へ向けられる場面も増えていると述べ、「誰かを悪者にして支持を集める政治」を続ける限り、社会の分断はさらに深まるとの危機感を示しました。

 「より強いポピュリズムでポピュリズムに対抗しても、社会は良くならない。必要なのは、対立をあおる政治ではなく、人々を結び付ける政治だ」

■「弱者を助ける」から「弱者を生まない」社会へ

 こうした現状を踏まえ、井手氏は、自ら提唱する「ベーシックサービス」の考え方を紹介しました。
 教育、医療、介護など、人が安心して暮らすために必要なサービスを誰もが利用できるようにすることで、生活に不安を抱える人を減らし、「弱者を助ける社会」から「弱者を生まない社会」へ転換していくことが重要だと説明しました。

 「自己責任の社会を続けていくのか、自分の幸せと他者の幸せが調和する社会を目指すのか、この選択肢を示していくのが政治の役割だと思う」

 井手氏は、教育や医療、介護などへの投資は、一人ひとりの安心につながるだけでなく、社会全体の活力や経済の安定にも寄与すると述べました。

■「分断」ではなく、支え合う社会へ

 講演の中で井手氏は、社会保障や税制をめぐる議論についても触れ、誰かを選別して支援するのではなく、すべての人が安心して暮らせる仕組みづくりの必要性を訴えました。
 現在の日本では、子育て世代、高齢者、現役世代、若者など、それぞれが異なる不安を抱えています。井手氏は、特定の世代や立場だけを対象にする政策ではなく、社会全体の安心を高める視点が重要だと指摘しました。
 また、政治が果たす役割についても言及し、「社会のあり方を変えるためには、制度をつくる政治の力が不可欠」と強調。「生活保障を行えば経済成長と格差の是正が実現する。結局は政治家の覚悟の問題だ」と述べました。

■政治が向き合うべき「生活のリアル」

 講演後の質疑では、参加者から現在の社会保障制度や格差、政治家を見極める方法などについて多くの質問が寄せられました。
 井手氏は、「人間にとっての希望は人間しかない。点を定めて一人ひとりが信念を貫く社会にしていきたい」と語りました。

 物価高、賃金の伸び悩み、将来への不安など、国民が日々感じている課題に対し、政治がどのような答えを示せるのかが問われています。
 立憲民主党は今回の講座で得られた知見を今後の政策議論につなげ、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けた取り組みを進めていきます。