立憲民主党は9月17日、連続講座「りっけん塾」第5回講座を、立憲民主党本部とオンラインで開催しました。

 「りっけん塾」第1期の最終回となる今回は、イチニ株式会社代表取締役・選挙ドットコム代表の高畑卓さんを講師に迎え、「SNSが政治を動かす時代~市民は何ができるか」をテーマに講演いただきました。

 冒頭、辻元清美・つながる本部長代行は、「SNSによるデマや誹謗中傷が選挙に影響を及ぼし、国会で一部規制をしても、法改正より速い速度でどんどん過激化している。どう対処したらいいのか、じっくりお話を聞きたい」とあいさつしました。

「平時」からネット上の地盤をつくる

 高畑さんはまず、若い世代はテレビよりもネットを利用する一方、年配の世代はテレビとネットの両方を利用していると説明。テレビでもYouTubeが一つのチャンネルになっており、選挙期間中にはYouTubeに選挙関連の動画があふれるため、YouTubeの影響力は大きいと指摘しました。

 その中で、政党や候補者自身による発信は16%程度にとどまり、圧倒的に多いのが第三者による発信、とりわけ「切り抜き動画」だといいます。

 だからこそ高畑さんが強調したのが、選挙前だけではなく、普段から「ネット地盤」をつくっておくことです。

 日頃から議会活動や政策、地域での取り組みなどを発信し、検索した人がその議員や候補者を知ることができる情報を積み重ねておく。その重要性を、高畑さんは、

「普段から薪をくべていけば、火がついた時に薪が一個しかないのと百個あるのとでは、燃え方が違う」

と説明しました。

 そして、この「ネット地盤」は議員や政党だけでなく、市民や支援者と一緒につくっていくことが重要だと語りました。

議員の魅力を、どう第三者に伝えてもらうか

 政治に関する動画では、議員や候補者本人による発信だけでなく、第三者による発信が大きな力を持っていると高畑さんは指摘しました。

 本人が動画を投稿するだけでは広がらなくても、誰かが「いいね」やコメントをしたり、動画を切り抜いて紹介したりすることで、より多くの人に届くきっかけになります。高畑さんは、こうした活動を「デジタルなボランティア活動」と表現しました。

 第三者による選挙関連動画の中には、純粋に候補者を応援している人だけでなく、広告収入などを得ている人もおり、ひと月で500万円に達するケースもあると紹介。政治情報をめぐるネット空間では、議員や政党自身の発信だけでなく、第三者が取り上げ、加工し、広げる力が大きくなっています。

 だからこそ重要なのが、「この人を応援したい」「この人のことをもっと知ってほしい」と思ってもらえる発信を、議員自身がどう工夫するかということです。高畑さんは、動画を発信するだけでなく、ライブ配信などを通じて視聴者とコミュニケーションを取ることにも言及しました。

 議員とネット上で交流した人が、その議員を応援するようになり、動画を切り抜いたり、自分のアカウントから発信したりする。そうした一人ひとりの行動が、発信の力をさらに広げていきます。

 そして市民に対して、

「例えば自分が応援する政治家。この人はいいぞ、と思って積極的に発信していただきたいと思いますし、『いいね』をしたり、コメントをしたり、こういった、いわゆるネット地盤の一人として支えてあげていただきたい」

と呼びかけました。

 ネット上の支援は、地域を越えて広げることもできます。北海道にいても沖縄にいても応援できるというネットの特性を生かし、全国で応援し合うことも重要だと話しました。

デマは「放置しない」、情報は「自分で確かめる」

 一方、ネット上ではデマや誤情報が拡散するリスクもあります。

 高畑さんは候補者や政党に対して、「デマやネガティブな情報を放置しないこと」が重要だと強調。「みんな放置しすぎなんです」と指摘し、必要に応じてプラットフォームの通報・申告窓口などを利用することが大切だと説明しました。

 市民に対しては、アルゴリズムによって、自分が普段見ている情報に似た情報ばかりが表示される「フィルターバブル」にも注意を促しました。

「皆さんが見てる情報画面がイコール、世の中全てではない」

 情報をうのみにせず、一次情報にあたり、自分自身で確かめること。そして、ネットだけで情報を完結させるのではなく、実際に人と会い、話を聞くことも大切だと話しました。

一人ひとりの「応援」が政治を動かす

高畑さんによる「市民ができる4つのこと」

 高畑さんは、2023年の統一地方選挙について、1,539選挙のうち、1票差で当落が分かれた選挙が13、10票差だった選挙が160あったと紹介しました。

 一人ひとりの応援が、選挙の結果を左右することもある――。だからこそ、応援する議員の活動を自分の言葉で紹介し、ネット上の「第三者」として支えることが、よりよいネット空間をつくることにつながります。

 高畑さんは最後に、

「魅力的な政治家の方が、一面的にしか見られてないことも多い。市民一人ひとりが、いろんな面、いろんな角度から魅力を引き出してあげることにチャレンジしてほしいなと思います」

と呼びかけました。

 司会は、山内佳菜子・つながる本部事務局長が務めました。