コロナ禍で浮き彫りになった日本のジェンダー不平等。「ジェンダー平等推進」を掲げる政党として、現状にどう立ち向かうのか。国民運動・広報本部長の蓮舫代表代行に、衆院総選挙に臨む思いや、女性たちへのメッセージなどについて話を聞きました。(9月30日取材)
立憲民主党は衆院選挙に向けた新ポスターで「変えよう。」というキャッチコピーを掲げています。菅総理が退陣し岸田新総理が誕生しましたが、自民党は全く変わらなかった。「変えよう。」は極めてシンプルに国民の皆さんに届く言葉であり、国民の皆さんと一緒に安倍・菅政権と9年続いた自民・公明政治を変えていこうと強く訴えていきます。
ジェンダー平等な社会の実現で男性も生きやすい社会に
今回の選挙では特に、自民党では実現が難しいジェンダー政策について、立憲民主党は本気で取り組んでいくという強い思いを込め、特設のウェブページを作成しました。
女性の生きづらさに寄り添いたい。女性の自死率が急増したことに象徴されるように、コロナ禍では感染拡大による外出自粛要請などの影響でのさまざまな業種が経済的なダメージを受けました。特に非正規雇用の割合が高い女性の暮らしを直撃し、DV被害や育児の悩み、介護疲れなど、日本のジェンダー不平等の実態が明らかになりました。
私たちは、困窮世帯やひとり親家庭の支援、子どもへの感染が広がるなかでの休園・休校で、仕事を休まざるを得ない保護者への休業中の所得の補償など、自助では頑張りきれない人たちに届く政策を求め、政府への提言や要望をおこなっています。
政治が女性の生きづらさを取り除いていくことは、女性だけの問題にとどまりません。例えば、「家計を支えることは男性の役割」という固定的な性別役割分業意識がいまだに存在していますが、経済的負担や家事や子育てをシェアできれば、男性の負荷も軽減される。ジェンダー平等な社会の実現は、男性にとっても生きやすい社会でもあるのだという理解も広げていきたいです。
政治をあきらめている人たちに希望を伝えたい
こうしたジェンダー政策を進めていくためには女性の力が必要です。しかしながら立憲民主党の女性議員の割合も、決して誇れるものではありません。今回の総選挙での女性候補予定者の比率は約2割ですが、現職の男性議員がいるところには新人の女性候補を擁立できない。私たち女性議員たちが「変えたい」と思っていても変えにくい現状に対し、どうやって最大限努力をしていくのかが問われています。
例えば、私や辻元(清美)さんがSNS上での対談等を通じて、私たちが今取り組んでいることを強く発信していくことで、「政治は男の世界のものだ」とか「古い」「ジェンダー平等じゃない」などと感じ、政治を敬遠している人たちに近づいていきたい。政治をあきらめている人たちに希望を伝えていけたらと思っています。
私が通常国会で取り上げた「生理の貧困」問題は、初当選した約17年前には「生理」という言葉を国会で口にすることすら考えられませんでした。政党を問わずこうした問題を取り上げる女性議員が多くなったのは希望です。
口に出して相談することが後進に道を作る
日本には、特に女性の社会進出を阻む多くの壁がある。ただ、私自身は芸能界、その後報道の世界に入り、中国留学、ふたごの子どもの出産、フリーのキャスターとして仕事に復帰、政治の世界に挑戦と、さまざまな経験をしてきましたが、私はそれを壁だと思っていません。それは、その時々に家族や仲間、先輩、時には後輩たちに本音を言って甘えたり、助けてもらってきたからです。そうした恵まれた環境のなかで私はとても救われて今がある。その恩返しは次の世代にしていきたいと強く思っています。
私たち女性の生きづらさは、一人で乗り越えなければいけない、人には相談できないと思っていることにもあります。例えば、自分が所属している社会、企業や団体などで、「こんなこと言ったら、前例がないからおかしいと思われるのではないか」ということがいくつもあると思います。
女性の仲間に強く言いたいのは、そういうものを口に出して相談をしていく文化を作っていってもらいたいということ。それはきっと後進に道を作ることにもなると思います。
#KuToo運動も、女性は職場でかかとの高いヒールやパンプスを履くのが当たり前といった慣習に一人の女性が声を上げたことから始まりました。「立っているだけで辛い」「どうしてスニーカーではいけないのか」というつぶやきがSNS上で共感を呼び、「もっと声を出してみよう」という広がりが生まれました。国会の質問でも取り上げられ、一部の企業では着用義務付け廃止の動きにつながりました。
「あ、言ってもいいんだ」というほっとした感じ。大事なのは、社会のなかでこうあるべきという先入観を女性自らが捨てて声を上げていくこと。私たちは、そうした声を受け止め、政治の場で改革を進め、社会を変えていきます。