古い政治を変えるためには、多様な性別や世代の当事者が政治の世界に入り、さまざまな声をより政策に反映させることが重要です。各政党は、政治参加の機会増大、多様な人材の発掘、登用を図るため候補者の公募などを行っていますが、自民党が行う候補者公募では現職の議員の子どもなどが応募して、公募の形もとりながらも、最初からその人が選ばれることがほぼ決まっているかのようなヤラセ公募も散見されます。
 公募に十分な時間をかけない意図から、選挙の直前になって引退を表明するやり方には党内からも批判が出るほどです。

 ここ25年間(1999年~2024年)で自民党所属の総理大臣は9人、そのうち親も国会議員だった世襲議員は7人にのぼります。世襲議員は、地盤(選挙区)、看板(知名度)、鞄(政治資金)を引き継いでいることが多く、世襲でない人よりも恵まれた環境で当選し続けていることがほとんどです。

 日本国憲法は第22条で「職業選択の自由」を定めているので、政治家の子どもでも、誰でも政治家を目指すことができます。しかし、親が政治家であることが選挙で有利になるようでは、国会は政治家の子どもだらけになってしまい、親が政治家でない、ごく普通の家庭に生まれ育ち、ごく普通に働いてきた人が政治家になる道はますます狭まります。

 立憲民主党はこの状況を少しでも解消するために、せめて政治資金には一定の規制をかけて、選挙に立候補したい人ができるだけ平等に挑戦できるよう、「政治資金世襲制限法案」(正式名称「政治資金規正法の一部を改正する法律案」)を国会に提出しています。この法案は(1)国会議員が引退したり、亡くなったりした場合に、国会議員関係政治団体の代表者を3親等以内の親族に引き継ぐこと(2)国会議員関係政治団体が親族やその人の国会議員関係政治団体に寄附すること――の2つを禁止するものです。

 政治活動にかかるお金は、無税で相続できます。立憲民主党の法案が成立すれば、政治資金を子どもに相続させたり、他の国会議員関係政治団体に寄付したりして、税金を納めずに政治資金を受け渡すことはできなくなり、世襲制限の第一歩となります。

 立憲民主党は多様な人材が政治の世界に参入できるよう、政治家になるためのチャンス、ハードルをすべての人に対して平等にすることを目指します。