立憲民主党
東日本大震災復興本部

 我が国の観測史上最大規模の地震がもたらした、未曾有の複合災害「東日本大震災」から間もなく10年を迎えます。
 立憲民主党には、当時の政権・与党に在籍していた議員も多く、これまで誰も経験したことがない未曾有の複合災害に直面するなかで、被災者救護・被災地支援、原発事故に不眠不休で対応する政府及び関係者とともに取り組みました。
 そして、甚大な被害を受けた被災地の復興を国が最後まで責任をもってすすめるため、復興特別所得税を創設するなど復興財源の確保に道筋をつけ、復興道路・復興支援道路や津波被災集落の高台への集団移転などのインフラ整備に加え、被災自治体の財政を支える復興特別交付税や被災事業者を直接支援するグループ補助金、被災地への設備投資を促す企業立地補助金を創設するなど、これまでの災害復旧の枠をはるかに超えた前例のない施策を展開し、今日に至る復興の土台を構築しました。
 この間、地震・津波被災地域を中心に、公共インフラや住まいの再建等のハード面は大きな前進がありました。しかし、今もなお、被災により精神的ストレスを抱え、安定した生活を取り戻せない方々もおられ、心のケア等の被災者支援の重要性は益々高まってきています。
 原子力災害被災地域においては、帰還困難区域を除き避難指示が解除され、復興・再生への道を歩み始めた一方、東京電力福島第一原子力発電所周辺の復興は緒に就いたばかりであり、帰還困難区域全域の避難指示解除や同原発の廃炉にはまだまだ長い年月を要し、復興は道半ばであります。
 環境と生命の安全に最大限配慮した復興を目指す立憲民主党は、被災地・被災者に寄り添い、一日も早い復興・再生を実現するとともに、震災により、かけがえのない命と暮らしが奪われたことを、忘れてはならない教訓として、近年多発する大規模災害に活かしていくことに全力を尽くします。
 本年2月13日、東日本大震災から10年を前に、福島県沖を震源として、マグニチュード7.3、最大震度6強という余震が発生しました。この地震の被災者の方々が一日も早く元の生活に戻れるよう復旧に全力を尽くし、今後10年は続くとされる余震に備え、更なる防災・減災対策に取り組んでまいります。
 立憲民主党は、「人」を中心とした故郷の復興・再生を目指し、「復興に与野党なし」の立場で、被災地や被災者の一人一人に寄り添い、復興の最終的責任を負う覚悟で取り組んでいくことを誓います。

Ⅰ 原子力災害被災地域の復興に向けた提言

1.原子力災害被災地域の復興  ~課題解決モデル地域へ~

 避難地域の復興については、避難指示が解除された地域の医療・介護・福祉、子育て、教育、交通、買い物等の生活環境整備や、産業・生業の再生、新産業の創出、心のケアや地域コミュニティの再生等を更に進めていくこと。
 帰還促進や移住の促進を継続して支援するとともに、先例にとらわれない発想のもと、地域の再生・活性化に向けたあらゆる施策を講じ、人口減少や高齢化・過疎化など、地方が抱える社会課題を先進的に解決するモデル地域となるよう取り組むこと。

2.帰還困難区域の復興・再生 ~拠点区域外について一刻も早く予算措置を~

 帰還困難区域における特定復興再生拠点区域の整備は、除染や家屋解体等で発生した廃棄物の処理を国が責任を持って確実に対応すること。さらに、生活環境の整備、産業・生業の再生に向けて十分な予算を確保し取り組むこと。
 特定復興再生拠点区域外については、各自治体の意見を尊重しながら、丁寧に協議を重ね、必要な除染・家屋解体などを含む避難指示解除のための具体的方針と必要となる事業費用及び財源を早急に示すとともに、遅くとも令和4年度予算から具体的に予算措置を講じ、出来るところから着手し、将来的に帰還困難区域全ての避難指示を解除すること。

3.原子力発電所の廃炉について ~安全最優先の廃炉~

 東京電力福島第一原子力発電所による原子力緊急事態宣言は、いまだに解除されていない。廃炉は、福島の復興の大前提であり、安全を最優先に慎重に廃炉作業を進めていかなければならないが、燃料プールからの燃料取り出しや燃料デブリの取り出し等、廃炉工程の遅れが生じている。政府と東京電力は、廃炉作業の現状や今後の見通しを可能な限り情報発信するとともに、必要に応じて廃炉工程を見直すこと。
 また、廃炉作業については、地元企業の人材や技術を積極的に活用するとともに、作業員が安心して働くことができるよう、労働環境の整備全般について東京電力に不断の改善努力を求め、国も一体となって取り組むこと。
 さらに、廃炉が決定されている東京電力福島第二原子力発電所については、安全かつ確実に廃炉作業を進めること。

4.ALPS処理水の処分方法について ~慎重かつ十分な国民的議論を経て決定を~

 ALPS処理水の取り扱いについては、慎重かつ十分な国民的議論を経てから決定すること。当面は地上保管を継続し、海洋放出、大気放出以外の処分方法、例えばトリチウムの分離や放射能濃度の低減など技術開発による根本的な解決策や、福島のみに負担を強いることのない処分方法などの検討を具体的に進め、国民に対し透明性を確保した説明を行うこと。
 また、いかなる処分方法が決定されたとしても、併せて具体的且つ実効性のある風評被害対策を示すこと。

5.中間貯蔵施設事業について ~県外最終処分への取り組み~

 中間貯蔵施設については、引き続き地権者に寄り添った対応を行うとともに、大量の除去土壌等の輸送が継続することから、輸送の安全性を確保し実施すること。
 県外最終処分が確実に実施されるよう、国民全体の理解を得ながら最終処分の予定地選定を含め目に見える形で責任を持って取り組みを進めること。

6.福島県外避難者への支援継続について

 避難、居住、帰還といった選択を、被災者が自らの意思によって行うことができるよう、国が責任を持って支援しなければならないと定める「子ども・被災者支援法」の下、福島県外避難者に対して、その生活実態を踏まえ支援を拡充し継続すること。

7.原発事故等による避難者の実態把握の調査について

 国や県、市町村による避難者数の集計手法が統一されていないことにより、適切な支援を困難にしていると考えられることから、国主導で、県や市町村と連携して適切な調査を行い、十分な実態把握をし、避難先の自治体に住民票を移した避難者についても支援をつなげていくこと。

8.風評払拭対策について ~リスクコミュニケーション強化~

 震災から10年を経てなお風評被害が続いていることを踏まえ、これまでの風評払拭のための取り組みを総点検し、リスクコミュニケーション対策を抜本強化すること。特に、学校における放射線教育の重要性を踏まえた取り組みを図ること。

9.水産業の支援

 福島県の漁業の試験操業が3月末に終了するが、年間水揚げ量は震災前の2割にも回復していないことから、風評対策や漁獲量増加に向けた取り組みを強化すること。水揚げ量の増加や流通の促進につながる水産業施設整備を支援すること。

10.営農再開に向けた支援

 原子力被災12市町村では、営農再開面積が3割にとどまることから、引き続き、農業者へきめ細かい支援を行いつつ、担い手不足解消等のための取り組みを進めること。

11.森林・林業の再生 ~森林再生事業の継続~

 森林及び林業・木材産業の再生に向けて、「ふくしま森林再生事業」を引き続き継続するとともに、対象地域を県内全域に拡大すること。
 里山再生モデル事業の検証を踏まえながら、除染や森林整備など里山の再生に国が責任をもって取り組むこと。
 野生きのこや山菜については、新たな検査技術の開発などに取り組み、基準値を下回るものについては出荷が可能となるよう更なる検討・研究を進めること。

12.ADR和解仲介案の尊重

 東京電力は東日本大震災の被害者が早期に生活再建を実現するために「3つの誓い」を立て、原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解仲介案の尊重を掲げているにも関わらず、中間指針との乖離を理由に和解仲介案を拒否する件数が多いことから、「3つの誓い」を厳守するよう、東京電力に指導監督すること。

Ⅱ 地震・津波被災地域の復興に向けた提言

13.被災跡地と公共施設の有効活用 ~2法案の成立を~

 公有地と民有地がモザイク状に分布する被災跡地を復興事業に有効活用するため、行政機関が民有地を簡易迅速に利用できるようにする「復興特区法改正案」の成立を、また、相続人が確定していない被災跡地を円滑に処分できるようにするため、不在者財産管理人に関する民法の特例等を定める「土地処分円滑化法案」の成立を図ること。
 あわせて、改築・新装された文化施設やスポーツ施設について、維持修繕を確実に実施できるようにするため、東京五輪・パラリンピック関連行事をはじめ、国は多様な収益機会を提供すること。

14.復旧・復興に要する人的支援の継続

 心のケアの相談件数が高止まりであり、特に災害公営住宅入居者の孤立・孤独死防止のための見守り・心のケア・生活支援の実施や交流の場の確保が求められていることから、人的支援及び民間支援団体への支援を継続すること。
 また、災害公営住宅において、家賃負担上昇による退去者の増加や、若い世代の収入超過による退去が発生しており、コミュニティの担い手不足につながるなど、阻害要因にもなっていることから、一人暮らしの高齢者や障がい者、高齢世帯などの見守りを行う入居者や、自治会の担い手が収入超過により退去することのないよう、家賃の上昇を緩和するなど、実情に合わせて柔軟に対応すること。

15.被災した地域公共交通への支援

 地域の生活交通を担うバス事業者及び離島航路事業者は、今後も利用者の減少などに伴う欠損額の増加が見込まれることから、引き続き支援の継続及び十分な予算措置を講じること。また、住民バスに対する補助が大幅に減少し、市町における財政負担が増大していることから、「被災地特例」が終了した路線バスと合わせた一体的な路線の見直しを見据え、十分な財政支援を講じること。

16.中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業・事業復興型雇用確保事業の延長

 復旧に必要な土地造成の遅れに伴い、2021年度においてもグループ補助金の募集と財政措置を講じること。また、造成の遅延による事業所再建計画の変更などは柔軟に対応するとともに、事業復興型雇用確保事業の実施期間を延長すること。

17.福島県以外の指定廃棄物の処理について

 福島県以外の指定廃棄物の処理については、地元の理解を得つつ、国が責任を持って適正に処理するよう取り組みを進めること。

Ⅲ 被災地全体の復興に向けた提言

18.復興庁の本来機能の発揮

 復興大臣がリーダーシップを執ることにより、被災自治体からの要望をワンストップで受け、「復興の司令塔」として復興事業を統括するとした設立趣旨に適う本来機能を発揮すべき。
 月日の経過とともに多様化する被災地・被災者のニーズに応えるために、今まで以上に地域に寄り添いきめ細かい復興支援を行うこと。また、我が国を地方分散型社会に移行する上で有為な人材を育成するため、テレワークも活用して出先機関に人員をシフトすること。
 本庁の司令塔機能を強化するために、各省から出向で人材を受け入れる場合は、出向元が関わる復興事業の制度を熟知し、被災地と被災者に寄り添った制度の運用と見直しへの意欲があるかを確認すること。

19.中国・韓国などにおける農林水産物等の輸入規制への対応

 東京電力福島第一原子力発電所事故により、いまだに米国・中国・台湾・韓国など、諸外国による農林水産物等の輸入規制が行われている。我が国の農林水産物等の安全性の信頼回復を図るとともに、一刻も早く規制が撤廃されるよう、積極的に働きかけること。また、輸入規制によって大きな被害を受けている農林水産物については、規制撤廃に向けた取り組みを推進するとともに、国内外における消費拡大を図るため国が積極的に支援すること。

20.震災遺構の整備と長期的保存、語り部など伝承活動への支援

 震災の記憶の風化を防ぎ、教訓を後世に伝えるため、震災文化財をそのまま残すなど、維持・保存にも従来とは異なる手法・技術も求められることから、長期にわたる財政的支援を講じること。また、教訓を活かした内容とするため、語り部など伝承活動や教訓を活かした防災教育活動など、ソフト事業の継続に対する人件費等をはじめとした財政支援も強化すること。特に、風評被害についての実態等についても記録を残し払拭に努めること。
 あわせて、我が国が世界の震災・津波対策の向上に貢献するよう、東日本大震災地震津波防災ミュージアム等を、最大の被災県である宮城県に整備すること。

21.復興・被災者支援に取り組むNPO等への支援強化

 ~NPOは復興の力強いパートナー~
 地域課題の解決に取り組む企業やNPO等のマンパワーを強化するため、被災者以外の人材を雇用した場合でも「事業復興型雇用確保事業」により人件費等を補助すること。
 NPO等は、きめ細かいニーズ把握や伴奏型の支援に「絆力」を活かした復興・被災者支援の実績があることから、移住人口や関係人口の増加、地域内の人のつながりの強化につながる取り組みに対し財政的な支援を拡充するとともに、事業運用の柔軟化を図ること。また、被災10年が経過する中で、寄附や助成等が減少し、さらにCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行により経済状況が悪化していることから、各種補助事業についても継続すること。

22.自治体職員等への支援の継続

 今もなお復興業務を進めるためのマンパワーが不足していることから、復興の担い手である自治体職員等への心のケア等の支援を継続し、自治体ごとのニーズに対応した全国からの応援職員の派遣をはじめ人材確保のための取り組みを拡充すること。

23.災害援護貸付の償還困難者への支援

 債務者からの要請に基づいて債務免除や償還期限の延期を行った市町村に対し、財政負担の軽減に資するよう、災害弔慰金法、地方自治法、債権管理法の規定を見直すこと。

24.災害関連死について

 災害関連死は、被災県ごとに申請件数に対する認定率が異なるため、統一的な取扱いができるようその基準を作成し公表することを定める災害弔慰金法改正案の成立を図ること。

25 感染症対策について ~エッセンシャルワーカーや学生への支援充実~

 COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大が復興途上にある被災地の復旧・復興に影響を及ぼしている現状を踏まえ、その状況把握に努め、各産業に対する支援策の拡充を検討するとともに、支援策から取り残される人が一人も出ないよう、被災者に寄り添った対応をすること。
 また、COVID-19の収束が見通せないことから、復興途上の被災地において生活を支えるエッセンシャルワーカーへの支援を充実させること。
 さらに、経済的に困窮した学生が修学を断念することがないよう、万全を期すこと。

26.2021年2月13日の余震被災への支援について

 2021年2月13日に発生した福島県沖地震の被災者が、一日も早く元の生活に戻れるよう復旧に全力を上げるとともに、心のケア対策にも万全を期すこと。
 また、今後10年程度余震が続く恐れがあることから、更なる防災・減災対策のため、政府は、自治体によるハザードマップや避難行動要支援者の個別計画等の作成等について財政措置を含めて支援を行うこと。

27.2021年2月13日の余震への復興特別会計等の活用について

 2月13日の余震や今後起こり得る余震についての復旧については、東日本大震災の余震であることを踏まえ、東日本大震災で講じられた復旧・復興事業のスキームや復興特別会計を活用できるようにすること。また、被災事業者の復旧や事業再建に向けて、柔軟かつ万全の支援策を講じること。

28.株式会社東日本大震災事業者再生支援機構の新たな活用

 東日本大震災後に借入を重ね、さらにCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大や余震により苦境に陥っている被災者に対しては、二重ローン対策を行ってきた株式会社東日本大震災事業者再生支援機構がこれまで培ってきたノウハウを活かしつつ、既存の支援先か否かを問わず、被災者の債権買取りや出資を行えるよう、制度を改善すること。

29.東日本大震災からの復興施策の検証と防災教育の徹底

 震災から10年を迎えるに当たり、これまでの復興施策を被災者の意見を踏まえ、第三者委員会で検証し、支援のノウハウや災害関連死等の課題を取りまとめ、今後起こり得る大規模災害に活かせるよう、関係者に周知し、次世代へ継承すること。
 震災の教訓を踏まえ、教職員を含めた学校における防災教育を徹底すること。また、全国的に毎年のように台風や豪雨などに見舞われていることから、ハード及びソフトの両面において、防災について改めて再点検を実施すること。

30.被災県に対する教職員定数の中・長期的な加配措置、就学支援

 時間の経過とともに、児童生徒を取り巻く家庭環境や生活環境の問題が多様化・複雑化している。学校現場の実情に応じた教育復興加配教職員の定数措置の継続、及び政令加配定数を基礎定数化すること。
 また、避難生活の長期化等により保護者の生活基盤が回復せず、就学が困難になった児童生徒の教育を受ける機会を十分に確保するため、「被災児童生徒就学支援等事業」の就学援助事業、奨学金事業及び私立学校の授業料等減免事業について、中長期的に必要な予算を確保すること。

Ⅳ 被災地の創造的復興に向けた提言

31.地域の活力と持続可能性の向上に向けた移住・定住等の促進

 被災地の復興を支える移住者を増やすため、被災自治体への移住者(帰還者を含む)の推移を把握し、事業の継続的改善に活用すること。さらに移住したいと思われるような魅力ある地域となるよう、国は関係自治体の取り組みに対し財政支援を含めバックアップすること。
 漁獲高の激減と魚種の変化により、漁業の継承や新規参入が困難になっているため、継承者や新規参入者の初期投資を補助すること。
 地域内での住宅再建を後押しするため、住宅の再建等の際の支援金の上限と国庫補助率の引上げを行う「被災者生活再建支援法改正案」の成立を図ること。

32.ふくしまを大震災及びCOVID-19からの「グリーンリカバリー」の牽引役へ

 ~ 「ふくしま水素モデル」 と「ふくしま地産地消モデル」 ~
 一日も早い原発ゼロ社会の実現を目指し、福島県を再生可能エネルギーや新エネルギー社会を切り拓く先駆けの地とするため、福島県発の技術開発や社会モデルの構築に向け強力に支援を行うこと。
 水素社会の実現に向け、福島県において関連技術の開発や普及に向けた環境整備の実証に取り組み、世界をリードする「ふくしま水素モデル」を構築すること。
 エネルギーの地産地消によって地域社会の再生と防災化を図る新たな「ふくしま地産地消モデル」を目指し、先例にとらわれない大胆な取り組みを展開すること。
 そのために必要な送電網整備については、財政措置を含めた強力な支援を行うこと。
 さらに、福島県が掲げる2040年頃を目途に、県内の一次エネルギー供給の100%相当以上を再生可能エネルギーで生み出すとした目標について、大幅な「前倒し」が可能となるよう県と協議し、国はそれを強力に後押しすること。

33.国際教育研究拠点の整備 ~トップの人選は政府を挙げて~

 2021年度に策定する基本構想については、本拠点の実現に向け、具体的な機能や関係者の役割分担等を明らかにすること。また、検討に当たっては、地元の意見を十分に踏まえること。
 新法人設置の検討については、トップの人選が重要なポイントとなることから、その招聘にあっては政府を挙げて取り組むこと。あわせて、世界レベルの研究拠点を目指しつつ、その得られた研究成果を、雇用を含めた地域経済へ波及させること。
 新拠点の立地地域の選定については、既存組織との連携、生活環境、交通アクセス等の整備状況を重視し、参加する大学・企業等の意向も踏まえながら、地元自治体の意見を尊重すること。

34. 国際リニアコライダー等の誘致

 「新しい東北」に資する国際リニアコライダー等の国際研究開発プロジェクトが被災地に誘致されるよう、関係機関と連携、協力すること。

 2020年の法改正により、復興庁は10年間延長されることとなりました。被災地における復興支援はこれからも続きますが、風評と風化という「2つの風」との闘いが本格化しています。放射線に対する正しい情報を発信することにより風評被害を防ぎ、震災で得られた教訓やノウハウを風化させることなく次世代へ継承していかなければなりません。
 立憲民主党は、被災地に避難された方々が戻ってくるだけでなく、若者等が希望を持って移住したいと思う魅力的な地域へ転換するような復興を目指しています。震災によるマイナスをゼロに戻すだけでなく、プラスに展開していかなければならないと考えています。そのためには、被災地、被災者のご意見を伺いながら、思い切った移住・定住促進策や再生エネルギーを軸とした新たなエネルギー先進地の構築、研究開発の司令塔となる国際教育研究拠点の整備などを成功させなければなりません。
 「子ども・被災者支援法」の理念を踏まえ、県外避難者を含めた被災者の最後の一人に至るまで支援を継続し、若者たちが未来に希望を持ち、被災地が時代を先取りする創造的復興を果たすまで、立憲民主党は全力を尽くしてまいります。


東日本大震災復興に対する34項目の提言.pdf


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