立憲民主党は3日、「低所得である子育て世帯に対する緊急の支援に関する法律案」(「子育て世帯給付金」再支給法案)を衆院に提出しました。この法案は、政府が3月に支給を決定し、ひとり親世帯だけでなく困窮しているふたり親世帯を対象とした「子育て世帯生活支援特別給付金」(子育て世帯給付金)と同じ内容の給付金を9月末までに支給するものです。提出者は、池田真紀、長妻昭、山井和則、川内博史、大西健介、重徳和彦、早稲田夕季、岡本あき子、山川百合子、中谷一馬各衆院議員。

 法案提出後、提出者らは記者団の取材に応じました。
 筆頭提出者の池田議員は、「法案はひとり親家庭に加えて低所得のふたり親家庭への再支給を求めるもの。ただでさえ非常に脆弱(ぜいじゃく)なところに、コロナ禍の影響が出ている。(支援団体の調査によるとひとり親世帯では)主食が買えない、タンパク質であるおかずが買えない世帯が東京都内で3割、東京都外で4割というのが実態。同調査で子どもの体重が減っているという今年のデータがあるが、これから夏休みが始まり給食がなくなる。昨年の夏休みに体重がぐんと減っていたというデータもある。実は同じことが10年も前に『子どもの貧困白書』(2009年9月刊行)で報告されていた。その翌月、10月に政府が初めて子どもの相対的貧困率を発表し、ようやく子どもの貧困をなくそうということのスタートラインに立った。それから10年以上も経っているのに、また同じようなことが起きていることに目を背けることはできない。今こそ、こうした実態のデータや声に早急に対応しないといけない。国会が閉じてしまって、そうした声が退けられてしまうことは何としても避けなければいけない。2,000億円という予算は4兆円の予備費に比べたら、すぐにでもできること。与党に対して実現を求めていきたい」と述べました。

 子ども・子育てプロジェクトチーム(PT)座長の大西議員は、「緊急事態宣言が続いているが、終日酒類の提供ができないことによって飲食関係では、これから閉店や職を失う人が出てくるのではないか。そうした意味、16日が会期末でこのまま閉会してしまった後に貧困状態に陥る子どもが出てくる可能性がある。そういう意味で、この法案は今やらないといけないこと。立憲民主党は5月31日に子ども総合基本法案を提出している。今回の法案は新型コロナ対策での支給だが、ふたり親を含めて非常に経済的に厳しい状態にある家庭はコロナ禍の時だけではなく、その前からギリギリの状態にあったので、子ども総合基本法案では恒久的なふたり親を含む厳しい子育て世帯に対する支給も盛り込んでいるので、今回の法案とセットで訴えていきたい」と述べました。

 同PT事務局長の岡本議員は、「子ども総合基本法案の中でも子どもの貧困に大きく着目している。菅総理は、3月に子育て世帯給付金の支給を決断したにもかかわらず、いまだにふたり親には振り込まれていない。速やかに支給していただき、給食のない夏休みに子どもたちをしっかり支える姿勢を政府としても示してもらいたい。そのための呼び水としてしっかりこの法案を訴えていきたい」と語りました。ふたり親世帯への給付が遅れていることについて、ひとり親は昨年8月の収入認定をもって支給されているが、ふたり親世帯については今年おこなわれた確定申告に基づく6月の認定を待っているからだと説明し、昨年収入が大幅に増えた世帯はほとんどないと考えられることから、ひとり親世帯と同様の認定の仕方をすべきだったのではないかと指摘しました。

 重徳議員は、「私は初当選以来、子どもを産みたい、育てたいと自然に思える、温かい地域社会づくりを『増子化社会』と称して取り組んできた。夢をもって子育てができる環境をつくっていかなければいけない」と述べました。

 早稲田議員は、「緊急事態措置、まん延防止等重点措置が続く中で、弱い立場の方たちへのしわ寄せが想像以上にきている。私たちは1月22日にも『子どもの貧困』給付金法案を提出し、それが呼び水となって、政府が特別給付金を支給することにつながった。ひとり親には支給されているが、ふたり親にはまだ支給されていない。閉会してしまってから子どもたちがどうなるのかと大変案じている。そのためにも、9月にも再支給をしていただけるように法案提出という形をとったので、与党に働きかけていきたい」と述べました。

 山川議員は、「コロナ禍で社会のひずみが弱者に現れるということが可視化された。私は海外の支援活動に携わってきたが、国内でこのような子どもの貧困の事態がある。実はこのような状態が2009年時点で表れていたという話があったが、徐々に拡大している中でコロナ禍で大打撃になったと思う。弱者をどれだけ救えるかということが社会、政治の成熟度を表すと言われている。しっかりと取り組んでいきたい」と述べました。

 中谷議員は、「私自身、母子世帯の貧困家庭で育った当事者。当時の母は、がんばってがんばって働いても母と私と兄弟3人が生活してくだけの資金を稼ぐことはできなかった。当然、小学生だった私は働くことはできなかった。子どもには自分の努力だけでは絶対に乗り越えられない壁がある。それに対して手を差し伸べるのは本来、政治の役割。私は最澄の『一隅を照らす』という言葉を好んで使うが、陽の当たっていないところにしっかりと光を照らすことが政治の原点だと思っている。今の政府に足りないのは、市民生活に対する想像力、社会的弱者に対する共感力。多くの方がコロナ禍で仕事を失い、収入が減り、苦しでいる。こうした現状に対して政治が、私たちが光を当てていかなければ皆さんの生活が豊かになっていくことはなく、救われることはない。政府にしっかり実現してもらいたい」と述べました。

【法案提出にあたって】「『子育て世帯給付金』再支給法案」.pdf
【要綱】子育て世帯給付金再支給法案.pdf
【法案】子育て世帯給付金再支給法案.pdf

子ども貧困対策センター 小河代表理事

 会見には支援団体の方も同席されました。公益財団法人子ども貧困対策センター「あすのば」の小河光治代表理事は「昨年、コロナ禍においてさまざまな給付金が出されたが、立憲民主党を中心として野党の皆さんが最初のボールを投げていただいて、法案を出していただいたことによって政府与党が呼応していただいて、昨年はひとり親への給付金が2度出された。今年3月にはやはり、1月に野党が法案を出していただいたことから政府も動いて、菅総理が3月に特別給付金を支給することを決断された。まさに野党の皆さんからボールを投げていただいて、それが党派を超え、政府を巻き込んで、コロナ禍での子どもへの支援に関して国会議員の皆さんが一つになって対応していただいたことにお礼を申し上げたい。また今回、新しいボールを投げていただいたことに感謝している。本来であれば特別給付金についても4月までに給付して入学・新学期に間に合うようにとお願いしていた。支給が遅れているが、今回ふたり親を含めて支給されるというのは歴史的なことだと思っている。そして給付がプッシュ型になるということも素晴らしいことだ。児童扶養手当の支給が9月にあるが、その時にふたり親世帯にも出していただければ、貧困世帯の子どもたち、お母さん、お父さんたち、家族の命を救うことになるので宜しくお願いしたい」と述べました。

ひとり親支援協会の台理事

 一般社団法人ひとり親支援協会の理事をつとめ、自らもひとり親として3人の子ども育てる台彰彦さんは「もともとシングル親世帯は脆弱。ひとり親世帯は時間的にも経済的にも厳しいが、コロナ禍で仕事を失ったり、支出が増える、収入が下がる状況になっており、脆弱な家庭がさらに危険な状態になっている」と述べました。団体に寄せられている声として、(1)食費を切り詰めて何とか暮らしている(2)生活費が払えない(3)電気代を払えず、夏にクーラーが使えるか心配(4)職業、収入が不安定(5)子どものために休むと非正規の人から首を切らてしまう(6)緊急小口貸付など貸付型の支援は怖い。収入が月15から20万円で、先行きが見えない中で借金はできない――を紹介し、「相談してくれるうちはまだいいけれど、より辛くなると、助けの声も上げられない、連絡がつかないメンバーもいる。このたびの給付金の再支給を切望している」と訴えました。