立憲民主党は31日、「子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的な推進に関する法律案(子ども総合基本法案)」を衆院に提出しました。法案提出者は、大西健介子ども・子育てプロジェクトチーム(PT)座長、岡本あき子同PT事務局長、今井雅人内閣部会長、山井和則、寺田学、後藤祐一、池田真紀各衆院議員。

 法案提出後、大西同PT座長らは記者団の取材に応じました。大西議員は法案の意義について「子ども省をつくるだけでなく、子ども・子育てに係る予算をしっかり増やして、何をするか、どういう理念に依って立つかということを総合パッケージとして示した。われわれが政策、法案を選挙に向けて出すことによって、議論をリードし、各党が競い合うことによってわが国の子ども・子育て政策が前進させられる意義がある」と述べました。
 また、法案のポイントとして(1)ハコ(省庁の設置)より中身を重視し、子ども子育て予算を大幅に増やす(2)チルドレン・ファースト:「児童の権利に関する条約」の理念にのっとり、すべての子どもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、社会全体で子どもの育ちを支援する社会を実現することを法の目的や基本理念に明記(3)子どもから若者までの切れ目のない支援:未就学児から初等・中学教育を対象とし、子どもが成人した後の関連施策を含む(4)児童手当の拡充(高校生までの支給、特例給付の一部廃止分の復活ですべての児童を対象に支給)、児童扶養手当の拡充(ふたり親を含む低所得子育て世帯への支給)(5)子どもの貧困への対応:子どもの貧困率を10年で半減することを目標に取り組む(6)上記施策を総合的に推進するために子ども省を設置――を挙げました。

 山井議員は「児童手当の高校生への支給については、現時点では1人あたり1万円を軸に検討している。ふたり親家庭への児童扶養手当の新設、ひとり親家庭向けの給付の増額を検討している」と述べました。

 後藤議員は「子どもに関する役所をどうするかについては、与党でも『こども庁』という話があるようだが、ぜひ競い合って現実にしたい。その時に間違っても未就学児だけなんということがないようにしないといけない。われわれは少なくとも18歳までを対象としつつ、さらにその上の若者の雇用、出産といったことも含めているところに注目してもらいたい」と述べました。

 池田議員は「この立憲民主党の案は『すべての子ども』ということで、子どもを分断しないという大切なメッセージが入っている。子どもの立場での『子育ち』、子ども目線からの立ち位置が明確になっている。ノルウェーの『子どもオンブッド』等を参考にした子どもの権利擁護の仕組みをつくっていくことも含まれている。子ども期を置き去りにされた子どもたちが、子ども期を取り戻せるようにしたい」と述べました。

65N_re_rsz.jpg
NPOキッズドア 渡辺由美子さん

 法案策定にあたって、子育て困窮世帯の当事者や支援団体など多くの方からいただいたご要望、ご意見を伺いました。そうした方たちのうち、記者会見に同席したNPOキッズドア理事長の渡辺由美子さんは「立憲民主党にはふたり親の困窮世帯に1人5万円を出していただくということで声を上げていただいて、実現したことは素晴らしい。本日また、児童手当の高校までの延長、ふたり親への児童扶養手当の拡大などを入れていただき、すごく心強い。私たちにとって児童手当の高校までの延長は悲願だった。いわゆる貧困層の家庭では、お金が一番かかる時期である高校生の時に児童手当がなくなるのだろうと思っている。今まで月1万円いただいていたものがなくなるということで本当に苦しんでいらっしゃる。私たちに届いた声でも、大学入試センター試験の受験料が払えず試験をあきらめたという子どもがいる。そういう子どもたちのために、重要なのは児童手当が月1万円出て、安定した生活ができること。今まで、ふたり親の困窮世帯には公的な支援がなかったのが実情。とくにふたり親で子どもの多い家庭ではコロナ禍で厳しく、子どもに食べさせられるのがもやし豆腐くらいということを聞く。これは子どもへの税の再分配が少なすぎるのが原因なので、この機会に児童手当の高校までの延長と児童扶養手当をふたり親の困窮世帯にも出すということをやっていただきたい」と述べました。

qOv_re_rsz.jpg
一般社団法人ひとり親支援協会 台彰彦さん

 一般社団法ひとり親支援協会理事の台彰彦さんは「もともとひとり親家庭はぜい弱だが、コロナ禍でさらに過酷な状況になっている。収入が不安定になっている。収入が減っているのに出費がいろいろとかさんでしまい、生活が不安定になる。相談を受ける中には、経済の苦しみから心身のバランスを崩してしまったり、助けをもとめられず孤立してしまい、必要な手当、社会保障につながれずにどんどん状態が悪くなっていまい、その煽りを受けるのは子どもだ。日本は少子高齢化がほかの国に比べても進んでおり、このような状況では改善どころか、もっとひどくなってしまうのではないか。そうした中で、今回の児童手当・児童扶養手当の拡充や増額はありがたい。新しい物、奇抜な物をやるより、既存のものを拡大する方が迅速に対応できると思う。スピーディな対応が求められているので、法案が実現することを望んでいる」と述べました。

zMQ_re_rsz.jpg
小森雅子さん

 ひとり親支援に係っている小森雅子さんは、「昨年2月から自粛要請、一斉休校が始まり、ひとり親家庭は困窮を極め、その状況が1年以上たってもまったく改善されていないどころか、より苦しい状況になっているという感触を得ている。普段からギリギリの生活で貯金や買い置きがないなか、さらに困窮し、子どもには1日2食食べさせられても親は2日に1回という話も聞いている」「普段はアルバイトをして家計を支えている高校生のお子さんはたくさんいるが、飲食のアルバイトが多いので今は仕事がないので児童手当の高校生までの延長は助かる。また、今の制度だと別居中で離婚が成立していない世帯に対する支援が少ないことが問題なので、そうした困窮されている世帯にも支援が届くようにしてほしい」と述べました。

0531子ども総合基本法案のポイント.pdf
0531【概要】子ども施策総合推進法案.pdf
0531【法律案】子ども施策総合推進法案.pdf

Tap_re_rsz.jpg