立憲民主党は29日、つながる本部(本部長:枝野幸男代表)と子ども・子育てプロジェクトチーム(座長:大西健介衆院議員)共催で「子どものためのほうりつ」意見交換会を開催しました。この意見交換会は、チルドレン・ファーストの考えのもと、「子どものために何をするのかこそ大事」という視点に立ち、今年の5月に立憲民主党が提出した「子ども総合基本法案」の内容をより深め、真に子どものための政策として一段とより良いものにしていくことを目的に、日ごろから子どもたちに関わる活動をされている関係団体の皆さんから提言を聞くものです。司会は、岡本あき子衆院議員と石川大我参院議員が務めました。
開会にあたりあいさつをした枝野代表は、「なぜか突然菅総理が『こども庁』と言い出した。もちろん器をつくることも大切かもしれないが、それ以上に中身。子どもたちのために本当に役に立つ意味のある法律を私たちはつくっていきたいということで、基本法案を準備しました。現場と接している皆さんの声を直接聞かせていただき、声を踏まえて良いものにし、この秋以降、政権与党として実現したい」と述べました。
民主党政権時代に子ども政策を中心になって作っていた小宮山洋子元厚生労働大臣もあいさつしました。小宮山元大臣は、「ハコだけ作っても駄目ですけれども、やはりまとめて所管する省庁がないと、日本の子どもの予算というのはご承知のようにOECD諸国の中で最下位に近い。それをバラバラで小刻みにやっていたら何も届くような政策は作れないということで、私たちはノルウェーの子ども家族省(現在は、子ども平等省)をモデルにして、子ども政策と男女共同参画の施策を合わせて所管する省庁を作る必要があると考えていました。ただ、それにはものすごくたくさんの法律が関係をしてきて、全部で63本の法律を改正しなければいけませんし、省庁の抵抗も強かったですし、また東日本大震災が、政権を持っている間にあり結局実現には至らなかった。ですから、私は子どもの基本法等と合わせて、所管するところをまとめる子ども家庭省、最初は庁からスタートしてもいいですが、作る必要があると思っています」と子ども家庭省設置の意義を説明しました。
子ども・子育てプロジェクトチームの大西座長は、主に子ども総合基本法案の内容を説明しました。子ども総合基本法案の概要は――
(1)ハコ(省庁の設置)より中身を重視し、子ども子育て予算を大幅に増やす
(2)チルドレン・ファースト:「児童の権利に関する条約」の理念にのっとり、すべての子どもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、社会全体で子どもの育ちを支援する社会を実現することを法の目的や基本理念に明記
(3)子どもから若者までの切れ目のない支援:未就学児から初等・中学教育を対象とし、子どもが成人した後の関連施策を含む
(4)児童手当の拡充(高校生までの支給、特例給付の一部廃止分の復活ですべての児童を対象に支給)、児童扶養手当の拡充(ふたり親を含む低所得子育て世帯への支給)
(5)子どもの貧困への対応:子どもの貧困率を10年で半減することを目標に取り組む
(6)上記施策を総合的に推進するために子ども省を設置
――です。
大西座長は、「この法律はあくまでパッケージとして、われわれの考え方を示させていただきましたが、当然これが100点満点のものでもありませんし、ブラッシュアップをしていくべきものだと考えております」と述べました。
意見交換会では、以下の団体、専門家らが添付の資料に沿って意見を述べました。
1.日本大学 末冨芳教授
1-1末冨教授資料 立憲民主党子ども子育てPT.pdf
1-2末冨教授資料 子供の貧困対策.pdf
2.公益財団法人あすのば
2-1公益財団法人あすのば資料.pdf
2-2公益財団法人あすのば資料 論座 -小河光治210415.pdf
3.NPO法人キッズドア
3-1NPO法人キッズドア資料.pdf
3-2NPO法人キッズドア資料 2021年夏アンケート.pdf
3-3NPO法人キッズドア資料 大学受験を目指す高校生への支援の要望書.pdf
4.教育協力NGOネットワーク(JNNE)
4 教育協力NGOネットワーク(JNNE)資料.pdf
5.認定NPO法人フローレンス
5 認定NPO法人フローレンス資料.pdf
6.日本教職員組合
6 日本教職員組合(日教組)資料.pdf
7.日本高等学校教職員組合
7-1日本高等学校教職員組合(日高教)資料.pdf
7-2日本高等学校教職員組合(日高教)資料 【別紙①】119_定期大会議案書(関係項目抜粋).pdf
7-3日本高等学校教職員組合(日高教)資料 【別紙②】2022(令和4年度)高校・中等教育学校及び特別支援学校教育予算の増額・充実に関する要望書.pdf
8.多様な学び保障法を実現する会
8 多様な学び 実現する会資料 .pdf
9.広げよう!子どもの権利条約キャンペーン、認定NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights)
9 認定NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights)資料.pdf
10.公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
10 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン資料.pdf
また、zoomでの参加者やYouTubeの視聴者からさまざまな意見が寄せられました。中には車椅子で学校に通っている中学3年生の「子ども」当事者からの意見もあり、「たくさんの経験をして、仲間を作ることで今の私があって夢に向かうことができています。今一番感じることは障害のない人とインクルーシブな環境で育つことがとても大切なことだと感じています」とインクルーシブ教育の重要性に触れながら、「雨が降ったり、親が体調を崩した時に(学校に)行けないのはつらいです。名古屋市のように必要な時に使える移動のサポート制度があればいいなと思います」などと意見表明がありました。
さまざまな団体・個人からの意見を受け止め、大西座長は最後に総括しました。大西座長は、「確かキッズドアの渡辺さんだったと思いますが、キッズドアがとったアンケートのことに関して、『実態把握をなんで私たちがやらなきゃいけないのと、国がやるべきじゃないか』という話がありましたけれども、まず私たちが実態が本当に見えてるのか、政治がちゃんと実態を見ているのかということは、われわれは本当に突きつけられていると思います。立憲民主党は、『あなたのための政治』。枝野代表は、政治から見えてないと思われている人たちに対して、『私たちはあなたたちのことが見えてますよ』というメッセージが大切だと言っています。今日の話の中でも、例えば(法案にある)『全ての子ども』の中に外国にルーツを持つ子どもたちがちゃんと含まれているのか、もしかしたらそういう子どもたちが見えなくなってしまっているのではないか、あるいは義務教育の段階で、学校以外の学びの場、フリースクール等に通っている子どもたち、この子どもたちもちゃんと見えてるのかというような現場の取り組みからのお話があったと思います。私たちはそういう見えてないと思われてるところに、しっかり目を向けていくためにも、これからいろいろな皆さんと、こうやって繋がっていきたい」と今後も取り組みを進めていく決意を示しました。
「YouTubeライブ(字幕つき)」https://youtu.be/7HJ5rZNxzSQ