衆院本会議で4月19日、政府提出の「こども家庭庁法案」と立憲民主党が提出した対案「子ども総合基本法案」、ならびに自公案、維新案の趣旨説明・質疑が行われました。党対案の趣旨説明は城井崇衆院議員、政府案・党対案への質疑は森山浩行衆院議員が行いました。城井議員、岡本あき子衆院議員が答弁を行いました。

城井崇議員 趣旨説明

 城井議員は冒頭、「子どもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、及び社会全体で子どもの成長を支援する社会を実現する」と法案の趣旨を説明。その上で、子ども施策のための予算の確保のために財政上の措置として「GDP比3%以上」とすることや子どもの貧困率の低下についての「具体的な数値目標の設定」を法案に盛り込んだと述べました。

 また、「子ども施策」については、子育て、教育、福祉、保健、医療、雇用、少子化対策その他の分野における子どもに関する施策であり、「性質上子どものほか若者を対象とすることが適当である場合にあっては、若者に関する施策を含む」と説明しました。

子ども総合基本法案趣旨説明(城井崇議員).pdf

森山浩行衆院議員、政府法案・党対案について質問
城井議員、岡本あき子議員が答弁

 森山議員は、「私たち立憲民主党は、旧民主党時代からチルドレン・ファーストの理念を掲げ、子ども子育て政策を一元的に立案・遂行する『子ども省』の創設を訴えてきており、ようやく私たちの考えが浸透してきたことを歓迎する」と述べる一方、政府案においては「理念や実効性などにおいて、懸念がある」と指摘しました。その上で岸田総理に対し、「昨年12月に閣議決定された基本方針から使われている『こどもまんなか社会』とは、具体的にどんな社会で、立憲民主党の掲げる『チルドレン・ファースト』と同じものなのか」と質問。岸田総理は、「御党の考えとも基本的には同じ方向にあると考えております」と認めました。

 また現在、日本に子どもをめぐる問題で、客観的な第三者として間に立つ機関がないため森山議員は、「与党内では反対の声も多いとの話も聞こえてきます」とけん制しつつ、「子どもコミッショナー」という、子どもたちの権利が守られているかを調査・勧告する機関の設置を提案しました。

 さらに森山議員は、政府案の「『こども』という概念には、困難を抱える18才、19才も含まれるため、この4月1日からの成人年齢の18才への引き下げにより、事実上、解禁された18才の高校生のAVが急増しており、子どもを性暴力や性犯罪から守るための『子ども家庭庁』の審議をする4月から、逆に被害が増えることは看過できません」と強調。岸田総理は、「現在、各党の皆さまの間で議論の動きがあると承知しており、早期に結論が得られることを期待いたします」と答弁しました。

 政府案の「こども家庭庁」と党対案の「子ども省」の違いについて、森山議員は提出者である城井議員に質問。城井議員は「違いは大きく二つ」だとして、ひとつは「こども家庭庁が内閣府の外局として設置されるのに対して、子ども省は各省と横に並ぶ立場の『省』としました。その上で、各省庁から一段高い立場で、子ども施策の企画立案、総合調査を行う機能も有するとしております」と述べました。

 もう一つの違いとして城井議員は、「文部科学省所管のうち、幼児教育と初等中等教育に関する事務を、子ども省に移管するとしたことです」と述べました。その上で、「子ども施策の中心となる教育行政は、子ども施策を一元的に担う子ども省こそが担当すべき」と強調し、所管の違いにより責任の所在が不明確となる「いじめや不登校といった学校現場を中心に発生する様々な問題に対して、国として一元的に取り組むことが可能になります」と答弁しました。

 森山議員が、党対案が「3%以上と財政上の措置を具体的に明記」した理由を質問したところ、法案提出者の岡本あき子衆院議員は、「子どもの育ちや子育てを支援するためには、まさに未来への投資である子ども子育てに関する予算全体を大胆に増やしていくことは、重要かつ必要不可欠です」と述べました。

 その上で、党対案に盛り込んだOECD平均並みの「GDP比3%」という具体的な数値目標は、岸田総理の言う「安定財源を確保しつつ、子育て予算を将来的に倍増」との「言葉だけ」とは違い、子どもに関する予算を確実に増やしていくことを「法律上明確化した」と強調しました。

政府案・立憲対案代表質問(森山浩行議員).pdf