参院本会議で5月11日、「盛土規制法案」(宅地造成等規制法の一部を改正する法律案)の趣旨説明・質疑が行われ、立憲民主党から羽田次郎議員が質問に立ちました。
本法案は、昨年7月の静岡県熱海市における土石流災害により、死者27名、行方不明者1名、重傷者1名、住家被害98棟等の甚大な被害が発生したことを受け、盛土の安全対策を強化するものです。ただし、政府案には課題があるとして衆議院において、立憲民主党などの会派が盛土等に関する工事、土砂の管理等に係る規制のあり方に関する修正案を提出し、与党も賛同し、全会一致で可決した法案です。
羽田議員は、「地域住民の方々が、将来にわたり、安全に幕らせるようにするためには、災害防止策を十分に講ずる必要があり、逢初川(熱海市)の河川整備、砂防等のハード事業につきましても、速やかに進めていくことが不可欠」と訴えました。
その上で羽田議員は、逢初川源頭部の盛土崩壊地では、現在もなお、約2万立方メートルの盛土が残され、下流に住む住民に被害を及ぼすことが懸念されるとし、「盛土の残存部分を早急に撤去するため、国としても主体的に関わり、必要な対応を進めていただきたい」と質問。斉藤鉄夫・国土交通大臣は、「元の土地所有者に対し、熱海市が県の条例に基づき残存した盛土を撤去するよう要請を行っておりますが、元の土地所有者が応じず自治体による代執行が行われる場合には、その際に要する撤去費用等について、国費で支援することとしております」と答弁しました。
また羽田議員は、人家・公共施設等に被害を及ぼす恐れのある盛土は全国に1089カ所あると指摘。「熱海のような惨事を二度と繰り返してはなりません」と述べ、「対策を要する盛土については、国においても、地方公共団体の取組を、財政的・技術的に力強く後押しする必要がある」と訴えました。斉藤大臣は、「行為者等による是正措置を行うことが基本」とした上で、「国としては地方公共団体が行う安全対策工事等に対して手厚い財政支援を行う」と答弁しました。
羽田議員の地元・長野県でも大規模盛土造成地が495カ所あるとし、「盛土の崩落により被害が激甚化するような事態は、何としても避けなければなりません」と訴えました。その上で立憲民主党は、「盛土による災害を防止し、国民の生命・財産を守るため、今後も、政府へのチェック機能を十分に発揮し、状況の変化に応じた的確な対応が講じられるよう、全力で取り組んでまいります」と強調し、代表質問を終えました。
また羽田議員は質疑の冒頭、兄である羽田雄一郎・前参院議員が「PCR検査を受けに行く車中」で急逝したことにも触れつつ、新型コロナでお亡くなりになられた方々に対し、謹んで哀悼の意を表しました。さらに、コロナ禍の不安が続く中、ロシアによるウクライナ侵略などの影響で、国民の暮らしや企業経営に悪影響が及んでいるとして、政府の「予備費を積み増すための小規模な補正予算」を批判し、立憲民主党は「生活安全保障」を掲げ、「総額21兆円の経済対策を発表し、 早期の補正予算成立を求めていく」と訴えました。