参院法務委員会で5月16日、政府提出法案の「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国に関する特例法の一部を改正する法律案及びその修正案」及び、立憲民主党など野党提出法の「難民等の保護に関する法律案」「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案」についての質疑が行われました。野党案発議者を代表して石橋通宏議員が趣旨弁明を行い、質疑では、政府案、立憲民主党など提案2法案について牧山ひろえ、石川大我両議員が質問に立ちました。

 石橋議員は、「現行法制度では難民認定は入管当局が行っており、公平性、中立性や専門性、透明性が確保されていない。また難民認定の基準が不透明であり、難民条約や人権諸条約、国際連合難民高等弁務官事務所等の見解を踏まえた基準に基づく適切な保護が担保されていないなど、G7の一員として極めて恥ずかしい状態が放置されている」と指摘しました。

難民保護法・入管法趣旨説明.pdf

 牧山議員はこれまで入管施設で18名の死亡事案が発生していることを指摘し、「入管難民行政の根本的な問題は何か」と法務大臣に問いました。
 斉藤法務大臣「死亡事案の原因は個別具体的事情として把握すべき」と述べました。
 発議者の石橋議員は「外国人の自由を奪うという行為を入管庁の強大な裁量のもとに判断されているという現行制度の根幹が問題」と指摘し、「戦後一貫して出入国管理行政に関して恣意的なことが行われてきた。制度の根本、根本の理念が外国人の人権を守らない、守らなくてもいいのだという組織的なカルチャーが大きな原因だと思っている。この根本の解決が何より重要」と述べました。
  牧山議員は石橋議員の発言を受けて、「まさにその通り。大臣は『個別具体的で一概には言えない』と答弁したが、根本が間違っている。根本を改めるべき」と政府に訴えました。
 牧山議員は「最大の問題は入管庁の体質。入管庁が巨大すぎる裁量権を持っている。結果、入管難民行政のあらゆる部分が他の関与なしに入管庁のみで行われてきている。基準のない恣意的な運用、政策の一貫性のなか、独善性と傲慢さ、ブラックボックスといわれる情報公開のあり方の透明性のなさを生んできた」と指摘しました。

 石川議員は質問で、参与員の1人が17年間で2000件審査した等と発言している件について、日弁連の調査によると参与員10名の平均は36件だったことに触れ、「ありえない件数。この問題は極めて重要」と述べ、審査の規模、勤務時間を調査するように大臣に求めました。
 斉藤大臣は「これから勤務実態を調べるとのことなので、考えてみる」と答弁しました。
 石川議員は、調査結果を法務委員会に提出するよう求め、理事会で協議することになりました。