2025年4月に開幕する「2025年国際博覧会」(大阪・関西万博)は、開幕まで500日を切るなかパビリオン等会場建設のめどは立たず、費用も膨らんでいます。時事通信が11月10-13日に実施した世論調査では、「開催の必要がない」と回答したのは55.9%と、「必要だ」20.3%、「どちらとも言えない・分からない」23.8%を大きく上回り、多くの国民の理解を得られていません。
会場建設費が当初計画の約1.9倍の最大2350億円(政府負担は1/3の783億円)と大膨張したことなどを受け、立憲民主党は11月2日、「2025大阪・関西万博に関する基本的考え方」を公表。国会質疑でもこの問題を追及し、規模の縮小を含む大胆な見直しを求めています。
特に万博のシンボルとされる築物「大屋根(リング)」には約350億円が投じられ、完成すれば世界最大級の木造建築物になると言われていますが、万博終了後には解体される予定です。「日よけにもなる」という政府の説明に、泉健太代表は「日よけ、大きな日傘に350億円、世界一高い日傘に国民は納得するのか」と批判しました。
会場建設費とは別に、政府が出展する日本パビリオン「日本館」の建設に総額360億円、途上国支援に240億円、警備費(国庫債務負担行為)に199億円、全国の機運醸成に38億円と、国の負担として全体経費は837億円に上ることも国会での辻元清美参院議員の質疑で明らかになりました。
質疑では、会場となる大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)は埋め立て地で、インフラ整備計画の総事業数は89に及びます。地下鉄延伸工事費は、地盤沈下への対応やメタンガス対策等で当初の約250億円に約96億円追加(国が約88億円負担)。地盤が悪く当初予定していた道路整備が間に合わず、夢洲への車のアクセスは道路2本だけ。シャトルバスを運行しますが、ピーク時の便数は45秒ごとに1本と非現実的であることも質疑で分かりました。
辻元議員は「夢洲でなければ費用はこんなに膨らまなかったのではないか」と問いかけ、万博立候補申請文書を政府としてしっかり検討した形跡がないと指摘。大阪に建設関係が集中することで地方では公共工事や災害対策が進められず、近畿圏内でも駅前開発がストップしているところもあり、アクションプランにある「地方全体で万博のメリットを享受する」には程遠いのが実状です。
辻元議員は、1970年の大阪万博以後、関西2府4県の名目域内総生産の合計が全国に占める割合が落ちていったことにも言及し、「過去のノスタルジーにすがりつくのは持続的な国の発展を阻害する。万博は持続的な発展にならない。政府と維新の知事や市長、万博協会の見通しの甘さが露呈して、そのツケが今国民に回されようとしている」と批判。「総理に今できるのは、万博全体の経費を納税者、国民に示すこと」だと求めました。岸田総理は「できるだけ透明性をもって全体像を示せるよう努力する」と答弁。全体像を予算委員会に提出するよう求めています。
12月6日には、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に関する予備的調査要請書」を衆院に提出、「大阪・関西万博」に関する費用の全体像について次期通常国会の開会までに示すよう要請しました。