2018年12月5日、当時の野党5党1会派(立憲、国民、無所属、共産、自由、社民)は、「LGBT差別解消法案」(性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案)を衆院に提出しました。

LGBT差別解消法案.pdf

 学校でのいじめ、就職差別、誰にも相談できず孤立してしまう、自殺未遂の率が高いなど、性的マイノリティの困難を解消するには、性的指向や性自認にかかわらずすべての人の権利を尊重し、差別を禁止する法律が必要であるとの趣旨からでした。

 また、同法案では、すべての国民が、性的指向や性自認にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重され、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する活力のある社会の実現を目的にしていました。

 その後、東京オリパラ大会を控えた2021年、自民党を含む超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」で「LGBT理解増進法案」が合意されました。立憲民主党は会派で提出していた「差別解消法案」と比較して課題は残るものの「理解増進法案」が成立すれば、性的指向・性自認について定める初めての法律となること等の理由から、賛成することを決定していました。しかしながら自民党内で「差別は許されない」との法案の文言に反発の声が上がるといった「差別的対応」により、「議連合意案」の国会提出は実現しない事態となりました。

 あらためて立憲民主党は2022年6月8日、「LGBT差別解消法案」を衆院に再提出し、2023年1月に衆院内閣委に付託されました。経済界からも「理解増進ではなく差別禁止」を求める声が上がっていました。

 他方で自民・公明両党は、同性婚をめぐる差別的な発言で岸田総理秘書官が更迭される中、G7サミットを控え「議連合意案」よりもさらに「後退」した「理解増進法案」を提出しました。

 そのため、あらためて立憲民主党は5月18日、自民・公明案の不当性を訴えるため、「議連合意案」を国会へ提出しました。

 その後、6月9日の衆院内閣委で自民・公明両党は維新・国民の両党が提出した法案をほぼ「丸のみ」し、「理解増進法案」の再修正案を提出しました。

【自民・公明・維新・国民案の問題点】
●2021年の「議連合意案」の内容より後退し、「理解増進」に歯止めをかける規定や、差別・偏見を助長する規定を盛り込んでいる。
⇒「すべての国民が安心して生活することができるよう留意する」規定が追加された。
⇒この規程は、性的マイノリティへの理解を増進する施策をすすめると、国民が安心して生活することができないかのような内容であり、差別・偏見を助長するものである。

●民間団体の活動の促進について定める規定は削除された。

●教育現場などの取り組みにとって歯止めとなるような規定が盛り込まれている。

 G7広島サミットのコミュニケでも、「あらゆる人々が性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、暴力や差別を受けることなく生き生きとした人生を享受することができる社会を実現する」ことが約束されました。立憲民主党は今後も「LGBT差別解消法案」の成立を目指し、多様性を認め合い互いに支え合う共生社会を実現します。