立憲民主党は5月18日、議員立法「LGBT理解増進法案」(性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案)を衆院に提出しました。
本法案は、東京オリパラ大会を控えた2021年に、超党派議連で合意された法案(議連合意案)と同じ内容で、「性的指向および性自認を理由とする差別は許されない」との文言を目的・理念に明記したうえで、性的指向および性自認の多様性に関する理解増進のための関係者の責務等を定めるものです。
2021年当時、立憲民主党は、野党会派が提出していた「差別解消法案」と比較して課題は残るものの、「議連合意案」が成立すれば性的指向・性自認について定める初めての法律となること等から、政調審議会で「議連合意案」に賛成を決めました。しかし、その後の自民党の差別的対応により、「議連合意案」の国会提出は実現しませんでした。
今年2月、当時の首相秘書官が差別発言を行い、「理解増進ではなく差別禁止の法制化が必要」との声が国内外から上がりました。しかし、岸田政権の対応は鈍く、立憲民主党などが提出している「差別解消法案」は棚ざらしとなっています。それどころか、岸田首相が総裁を務める自由民主党は、「議連合意案」の内容を改変し、差別禁止・権利保障を求める当事者の声とは逆に、差別を強化・拡大するおそれのある「修正案」として国会へ提出しました。
「議連合意案」は、差別禁止を含まず、当事者の尊厳を保護するには不十分ですが、当事者に譲歩をしてもらいとりまとめられたもので、その内容をさらに切り下げる自民党「修正案」を容認することはできません。立憲民主党は、自民党「修正案」の不当性を訴えるため、本法案を国会へ提出したものです。
立憲民主党は、昨年6月に、差別禁止を含む「LGBT差別解消法案」を提出しています。この法案の成立を追求しつつ、国会で本法案を議論することを通じて、自民党「修正案」が、性的指向・性自認の多様性が尊重される社会の実現に逆行するものであることを明らかにしていきます。