立憲民主党公文書管理プロジェクトチーム(PT)の逢坂誠二座長(衆院議員)と奥野総一郎事務局長(衆院議員)は7月28日、公文書管理を担当する岡田直樹内閣府特命担当大臣に「国民共有の知的資源である公文書の管理に関する提言」を手交した後、意見交換を行いました。

国民共有の知的資源である公文書の管理に関する提言.pdf

 2011年4月、公文書管理法が施行され、公文書が国民共有の知的資源であり、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることが明確化されました。意思決定過程の検証ができることが義務化され、日本の公文書管理は大きく進展すると期待されました。しかし、法施行後も公文書の改ざんや廃棄など多くの不祥事が頻発しています。そこで立憲民主党公文書管理PTは、行政等の諸活動を適切に記録した公文書を確実に管理することは民主主義必須の要件であり、公文書が民主主義の根幹を確実に支える国民共有の知的資源となるよう、今回の提言をまとめました。
   
 逢坂PT座長は、法施行後も公文書の改ざんや廃棄など多くの不祥事が頻発しているとして、公文書の重要性に対する認識が薄いこと、日々の業務に追われ公文書を作るきちんとした体制がないこと、電子化には目視では探せないことや長期保存に向かないこと等の負の側面があることを指摘し、(1)行政等の意思決定過程などを後に検証できる公文書作成、(2)公務員が適切な公文書管理を行うための体制整備、(3)適切な電子公文書の実現――の3点が重要であると強調しました。とりわけ、組織的共用性はマストではなく、意思決定や政策の検証に必要なら組織共用以外の文書も公文書になり得ること、現用文書に関する専門家(レコード・マネージャー)の養成と独立した組織の設置、各省庁への派遣が必要であることを強調しました。奥野PT事務局長は、「(現場の公務員は)目先の業務に追われて公文書の重要性の意識付けが難しい実態にある」と指摘しました。

 岡田担当大臣は、「精力的に検討をいただいてご提言をまとめていただいた。しっかり検討させてください」「公文書管理のあり方について、デジタル化含めてご指導をいただきながら進めていきたい」と応じ、「アメリカの公文書館もぜひ一度見てみたい」と述べました。

 逢坂座長は最後に「レコード・マネージャーは日本が決定的に抜け落ちている」としてうえで、「一朝一夕にはいかないが、提言の視点を踏まえて、少しでも改善できるよう力添えをお願いしたい」と求め、意見交換を終えました。

 申し入れ後、逢坂座長と奥野事務局長が記者団の取材に対し、「1年未満の文書が増えているが、官邸の訪問記録や大臣の動静などが即日廃棄されることの見直しをすべきだ」「公文書は行政等の公正な執行証明であり、確実な記録を残すことが行政等に携わる者の正当性を担保する手段にもなりうるもの。適切な公文書管理が進むよう公務員の皆さんに力を尽くしてほしい」「公文書管理は地味なテーマだが民主主義を考える上で極めて重要だ。これからも継続して取り組んでいきたい」と述べました。

 立憲民主党公文書管理PTは、今後も公文書に関する諸課題を考察し、適宜、提言を行っていくことにしています。