本気の政治改革実現に向けて」(2024年1月26日)を基に作成
2024年4月23日

「『本気の政治改革』実現に向けた法制上の措置」の立法イメージ(2024年4月23日).pdf
「本気の政治改革」実現に向けた法制上の措置骨子(全体像)(2024年4月23日).pdf

第1 政治資金収支報告に関する処罰の強化

1 収支報告書の不記載、虚偽記入等に係る「連座制」

 政治団体の収支報告書について、会計責任者に加え、代表者にもその記載及び提出を義務付けること。

 ※ 代表者において、収支報告書の不記載や虚偽記入等に故意・重過失がある場合に処罰されることになる(⇒ 公民権停止の対象となる。)。
 ※ 政党助成法についても、同様の改正を行う。

2 その他「政治資金の隠匿」に係る罰則の強化

 収支報告書等の不記載について、現行の故意・重過失による場合に加えて、会計責任者の過失による場合(150万円を超える寄附に関する不記載に限る。)に対する罰則を新設すること。
 ※ 第163回衆法第5号(2005年(H17)10月12日)提出

3 国会議員関係政治団体の代表者の国会議員への限定

(1)国会議員関係政治団体のうち「2号団体」(=租特法上の寄附金控除の適用対象となる後援会等の政治団体)について、租特法上の寄附金控除の適用対象となる政治団体の範囲を、国会議員に係る公職の候補者がその代表者である政治団体に限定すること。
(2)(1)に伴い、規正法の国会議員関係政治団体の範囲についても、国会議員に係る公職の候補者がその代表者である政治団体・選挙区支部とすること。
 ※ 政党や政策研究団体などの租特法上の寄附金控除の適用対象となる団体についても、公職の候補者をその代表者とするものに限定する。

第2 政治資金収支報告の適正の確保・公開の充実

1 国会議員関係政治団体から寄附を受けた政治団体の収支報告の特例

 特定の国会議員に係る国会議員関係政治団体から年間100万円超の寄附を受けた国会議員関係政治団体以外の政治団体は、人件費以外の経費のうち一件当たり1万円を超える経費について、収支報告書に記載するとともに、領収書等の写しを併せて提出しなければならないこと。
 ※ 現行法上、一般の政治団体の収支報告においては、公開対象項目に「経常経費」を含まず、また、公開対象額は「一件当たり5万円以上のもの」とされているところ(規正法12条1項2号)、その公開対象を拡大する読替規定を設ける。

2 登録政治資金監査人による外部監査の拡充

(1)登録政治資金監査人による外部監査の対象となる政治団体に、「政党本部」及び「政策研究団体」を追加すること。
(2)登録政治資金監査人による外部監査の範囲に、「収入」に関する事項を追加すること。
 ※ 「国会議員関係政治団体」の「支出」に関して対象としている現行法につき(規正法第19条の13)、その対象団体及び監査範囲を拡大する。

3 政治資金収支報告書のオンライン提出の義務化

 政党・政治資金団体・政策研究団体・国会議員関係政治団体の収支報告書の提出について、電子情報処理組織を使用する方法により行うことを義務付けること。
 ※ 「国会議員関係政治団体」に限って「努力義務」とされている現行法につき(規正法第19条の15)、その対象を拡大した上で、義務化する。

4 収支報告書のインターネット利用による公表

(1)総務大臣・都道府県の選挙管理委員会は、収支報告書をインターネットを利用する方法により公表しなければならないこと。
 また、これに伴い、収支報告書の要旨の公表を廃止すること。
(2)(1)の場合において、収支報告書に記載された個人寄附者等の住所に係る部分を公表するときは、都道府県・郡・市町村の名称に係る部分に限って行うものとすること。
 ※ 第208回衆法第49号(2022年(R4)6月3日)提出

5 国会議員関係政治団体の収支報告書の一元的な閲覧

 総務大臣は、全ての国会議員関係政治団体について、総務省令で定めるところにより、4の(1)により公表された収支報告書をインターネットを利用する方法により国会議員に係る公職の候補者ごとに一元的に閲覧することができるようにするため、必要な措置を講ずるものとすること。
 ※ 第208回衆法第49号(2022年(R4)6月3日)提出
 ※ 4の(1)の個人寄附者等の住所に係る情報の保護の観点も踏まえつつ、デジタルで提出された収支報告書につき、横断的な検索が可能となるような措置・運用を行う。

6 収支報告書の公表期間の延長等

(1)収支報告書の公表期間について、「3年」から「7年」に延長すること。
(2)収支報告書の公表時期について、翌年の「11月末日」から「8月末日」に早めること。

第3 「政策活動費」・調査研究広報滞在費(旧文通費)の透明性の確保

1 政党から公職の候補者個人に対してされる寄附の禁止

 政党が行う公職の候補者個人への政治活動(選挙運動を除く。)に関する金銭等による寄附を禁止すること。
 ※ 政治資金規正法第21条の2第2項を削除することで、「政策活動費」のうち「政党からの寄附」として行われてきたものは禁止されることになる。

2 渡切りの方法による経費支出の禁止

 政治団体の経費の支出は、当該政治団体の役職員・構成員に対する渡切りの方法によっては、することができないものとすること。
 ※ 上記2の内容を新たに規定することで、「政策活動費」のうち「政党による精算不要の経費(“渡切費”)の支出」として行われてきたものについても禁止され、必ず精算が必要となる。その結果、最終的な支出先やその金額が政党の会計帳簿・収支報告書に記載されることになる。

3 調査研究広報滞在費(旧文通費)の収支の公開・残余額の返還

(1)各議院の議長・副議長・議員は、毎年一回、調査研究広報滞在費の収支報告書を、その議院の議長に提出しなければならないこと。
(2)各議院の議長は、(1)の収支報告書を公開しなければならないこと。
(3)各議院の議長・副議長・議員は、調査研究広報滞在費に残余があるときは、これを返還しなければならないこと。
 ※ 第210回衆法第13号(2022年(R4)11月17日)提出

第4 第三者機関

 国会による政治資金に関する立法機能の充実強化に資するため、政治資金問題に関する調査及び政治資金に関する政策提言を行う第三者機関を設置すること。
 ※ 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(いわゆる“国会事故調”)を参考にするもの

第5 政治資金パーティーの開催及び企業・団体献金の禁止等

1 政治資金パーティーの開催の禁止

(1)何人も、政治資金パーティー(オンラインで開催されるものを含む。)を開催してはならないものとすること。
(2)(1)に違反して政治資金パーティーを開催した者について、所要の罰則を設けること。
 ※ 政治資金パーティーの開催を禁止する法案を別途立案する。
 ※ 政治資金パーティーの開催の禁止により政治資金が集まりにくくなることに鑑み、租税特別措置法上の寄附金控除の適用対象となる「公職」の範囲(現行法上、国会議員、都道府県の議会の議員・知事、政令指定都市の議会の議員・市長が対象)の更なる拡大について検討条項を設ける。

2 企業・団体献金の禁止

(1)会社、労働組合、職員団体その他の団体(政治団体を除く。)は、政治活動に関する寄附をしてはならないこと。
(2)(1)に違反して寄附をした者について、所要の罰則を設けること。
 ※ 第208回衆法第48号(2022年(R4)6月3日)提出

3 個人のする政治活動に関する寄附に係る税額控除の拡充

(1)租税特別措置法上の税額控除の適用対象となる寄附の範囲について、国会議員、都道府県の議会の議員・知事、政令指定都市の議会の議員・市長(いずれも候補者等を含む。)に係る資金管理団体に対する寄附にまで拡大すること。
(2)税額控除率を、現行の一律30%から、次のように拡充すること。
 ① 2千円を超え1万円以下の部分 …… 全額税額控除
 ② 1万円を超え5万円以下の部分 …… 50%税額控除
 ③ 5万円を超える部分 ………………… 30%税額控除
 (なお、控除額の上限は、現行と同様、寄附者のその年の所得税額の25%まで)
 ※ 第208回衆法第48号(2022年(R4)6月3日)提出