立憲民主党は6月3日、「企業団体献金禁止法案」「収支報告書ネット公開法案」を衆院に再提出しました。
■「政治とカネ」問題の長年の懸案、「企業団体献金禁止法案」
企業団体献金は特定の業界団体などのために政治・政策決定がゆがめられるおそれが大きいことから、1994年に成立した政治資金規正法改正でまず政治家個人への企業団体献金が禁止され、2000年には政治家の資金管理団体への企業団体献金も禁止されましたが、政党本部・支部への献金や政治資金パーティーは引き続き認められ、その全面禁止が四半世紀以上の長年の懸案となってきました。
この法案は、会社、労働組合その他の団体(政治団体を除く)が政治活動に関する寄付や政治資金パーティーの対価の支払いをすることを禁止します。
一方、企業団体献金の全面禁止に伴って役割が大きくなる個人献金の促進策として、個人のする政治活動に関する寄付の税額控除の対象を政党・政治資金団体だけでなく国会議員、都道府県の議員・知事、政令指定都市の議員・市長(候補者等を含む)の資金管理団体にまで拡大し、その税額控除率は次の通りとします。
・2千円を超え1万円以下の部分……全額税額控除
・1万円を超え5万円以下の部分…… 50%税額控除
・5万円を超える部分………………… 30%税額控除
提出者は落合貴之、篠原孝、寺田学、手塚仁雄、森山浩行の各衆院議員。
企業団体献金禁止が長い間進んでこなかったことについて、筆頭提出者の落合議員は、提出後の記者会見で、「自分たちに都合の悪いことは世論が動かないとなかなか動きません。このような法案を提出することで、与党が審議していいと言えばすぐに審議できることになります。世論の応援をお願いします」と話しました。
■政治資金を一元的にネット閲覧可能にする「収支報告書ネット公開法案」
現在、国会議員関係の政治資金収支報告書は都道府県選挙管理委員会が公開していますが、インターネットで閲覧できない県選管も数県あります。また、国会議員や候補者が代表を務める政治団体や国会議員・候補者を推薦する政治団体、政党支部などが多岐にわたるため、政治資金の流れの全体を把握することがなかなかできません。
この法案では、総務大臣や都道府県選管が、収支報告書をインターネットで公表することを義務づけるとともに、総務大臣がすべての国会議員関係政治団体について、公表された収支報告書をインターネットにより国会議員・候補者ごとに一元的に閲覧できるように、国会議員・候補者名で名寄せしてリンクURLを総務省のホームページに掲載する等の措置を講ずることを求めています。
一方、収支報告書のネット公開が進む中で、寄付者の住所が番地まで公開され、その情報がSNSなどで拡散してしまうことが個人寄付をためらわせることとなっています。この法案では、収支報告書をネット公表するにあたり、個人の寄付者等の住所については市区町村名までの部分に限って公表し(収支報告書の紙の原本ではこれまで通り全部公表します)、個人情報の保護と政治資金の透明性を両立させます。
提出者は落合貴之、篠原孝、寺田学、後藤祐一、森山浩行の各衆院議員。