令和3年度全国ひとり親世帯調査(厚生労働省)では、母子家庭は119.5万世帯にのぼり、父子家庭の平均年間年収は496万円である一方、母子家庭の平均年間年収は272万円と1.8倍もの格差があります(※1)。

 政府の調査によると、幼稚園3歳から高校3年生(18歳)までの15年間の学習費総額は全て公立の場合で574万円、全て私立で1838万円となっています。ひとり親家庭では子どもが教育を受けることは大きな負担となっています。

 さらに、ひとり親家庭の34%で、子どもが夏休み中に1日2食以下で過ごしていることが、民間団体の調査で分かっています。貧困率の高いひとり親家庭は、物価高騰が続く中、給食がない夏休みは食費など家計の負担が増えることが背景の1つにあると言われています。

 また、法務省の資料によると 離婚後、非同居親からの養育費を「受けたことがない」は母子世帯では56%となっており、貧困の一因とも指摘されてきました。2024年5月に成立した改正民法では、法定養育費制度が設けられたことを受け、立憲民主党は、不払養育費の立替・取立制度を導入する法案を国会に提出しました。

 ひとり親家庭への支援である児童扶養手当について、政府の拡充対象は第3子以降のみと限定的です。

 立憲民主党は、ひとり親家庭に対する児童扶養手当の支給月額を1人当たり1万円増額するとともに、支給期間を20歳未満(現行18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)に延長し、ひとり親家庭の子どもの大学や専門学校等への進学を後押しします。

 立憲民主党は、すべての子どもたちが、生まれ育った環境に左右されることなく、夢と希望をもって成長していくことができる社会の実現を目指します。そのために、ひとり親支援を強化し子どもの育ちを支えます。

【政策解説】立憲民主党のひとり親等支援策 

※1 厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」

◆立憲民主党の考え方

●ひとり親支援

・わが国のひとり親家庭の貧困率はOECD加盟国の中で最悪の水準にあることから、ひとり親家庭に対する児童扶養手当の支給月額を1人当たり1万円増額するとともに、支給期間を20歳未満(現行18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)に延長し、ひとり親家庭の子どもの大学や専門学校等への進学を後押しします。また、支給は毎月に改めることで、月ごとの収入のばらつきをなくし、ひとり親家庭の家計の安定を図ります。さらに、ふたり親低所得世帯にも月額1万円を支給します。

・ひとり親が資格取得のために講座を受講する際の負担の大幅な軽減や、講座受講時の子育て支援サービスの提供などの拡充を進めます。

・障がいのあるひとり親家庭や生活保護家庭を支援する障害者加算、母子加算を継続し、障害年金、児童扶養手当の制度拡充を行います。

・病児・病後児保育事業やファミリー・サポート・センター事業など、ひとり親家庭に対する子育て・家事のヘルパー派遣を拡充します。

・生活保護世帯の子どもの大学や専門学校への進学の妨げとなっている世帯分離の運用を改善し、生活保護を受けながら大学・専門学校等へ通うことができるようにすることで、貧困の連鎖を断ち切ります。

・就学援助制度の利用促進を図るとともに、入学前は前倒し支給を行います。

・生活困窮者自立支援法による子どもの学習支援事業は任意事業にとどまり、自治体の実施率が低いことに鑑み、自治体に対する支援策を講じることを前提に、学習支援事業を必須事業とします。その際に全ての子どもの学びの場を確保するという観点を明確にします。

・離婚後、住居の問題が発生することもあるため、保育機能や無料学習支援を受けられるキッズルーム等が完備された母子家庭等のためのシングルマザー・シェアハウス、「サービス付き子育て賃貸住宅」の整備を検討します。

・社会全体で子育てを支援し、子どもの貧困を防止する観点からも、行政機関が一時立替を行う諸外国の例を踏まえ、養育費立替払制度の創設など公的関与の拡大を進めます。

・親から子に引き継がれる貧困の連鎖を断ち切ります。就学前教育や高等教育に対する負担軽減策を実行します。

・「学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策」をさらに推進し、教育と福祉の連携を進めるため、小中学校へのスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置などを加速します。

・貧困が子どもの栄養状態・健康に悪影響を及ぼし、その結果として学習、就労等の活動を阻害するという悪循環を断つため、公立小中学校給食を無償化します。「フードバンク」「子ども食堂」の促進等の施策を官民連携して展開します。

◆立憲民主党の取り組み

立憲民主党「もっと良い学びなおしビジョン」 

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「不払養育費立替・取立制度導入法案」を衆院に提出