2023年6月6日 常任幹事会決定
第1章 ハラスメント防止および対応の原則
(目的)
第1条
- 本党は、党籍を有する議員もしくは候補者、またはその他本党において一定の役職を有する関係者(以下「議員等」という)による政治活動における発言や行為に関し、ハラスメントの未然防止および発生した場合の対応の原則を定め、もって議員および政党人としての倫理の確立および人権の擁護を図る。
(定義)
第2条
- ハラスメントとは、セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場の内外における性的な言動等)、パワー・ハラスメント(他の者の人格・尊厳を害する優越的な関係を背景とする言動)、マタニティ・ハラスメント(妊娠・出産等に関する職務環境を害する言動)等を指し、他の者を不快にさせ、人格と尊厳を侵害し、または不利益をもたらすものをいう。
(ハラスメントの防止・排除)
第3条
- 本党は、議員等によるハラスメントによって他の者の人権が侵害されること、ハラスメントによって党活動および議会活動が害されること、ハラスメントを受けた者が不利益を受けることを防止・排除する。
(行動規範の提示と研修等の実施)
第4条
- 本党は、ハラスメントを防止するために、議員等が認識すべき事項およびハラスメントに起因する問題が生じた場合において望まれる対応等について、行動規範を提示する。
- 本党は、前項に掲げる行動規範の周知徹底を図るため、議員等に対する研修等を行う。
(救済手続の保障)
第5条
- 本党本部または党都道府県連合会(以下「県連」という)の執行機関は、議員等によるハラスメントが発生した場合、ハラスメントを受けた者に対して公正な救済が行われることを保障する。
(相談窓口の設置)
第6条
- 本党は、ハラスメントによる人権侵害について相談を希望する者に対する窓口を設置する。
第2章 ハラスメント対策委員会の設置
(委員会の設置)
第7条
- ハラスメント防止の徹底および救済手続の実施のため、本党にハラスメント対策委員会(以下「委員会」という)を設置する。
- 県連には、党本部に準じて、常設の機関を設置する。
(委員会の構成)
第8条
- 委員会は、次の各号に掲げる委員で構成し、委員は幹事長が選任することとし、委員長は委員の内から幹事長が任命する。委員の選任に際しては男女の比率が偏らないように配慮しなければならない。
- 一 所属議員の内から、幹事長が選任する議員 若干名
- 二 党外の弁護士 若干名
- 三 その他、幹事長が必要に応じて任命する者
- 委員の任期は党規約に定める代表任期に準じるものとし、再任を妨げない。委員会の事務局は、党職員の中から幹事長が任命する。
(委員会の業務)
第9条
- 委員会は、次の各号に掲げる業務を行う。
- 一 行動規範等のハラスメント防止に係る必要な規範・文書等の作成
- 二 議員等を対象としたハラスメント防止や人権尊重のための教育啓発
- 三 ハラスメントに関する相談および被害救済に関する事項
- 四 委員会への申立の審議および執行部への勧告
- 五 その他ハラスメントによる人権侵害に関する事項
(委員会の運営)
第10条
- 委員会の運営は以下の通りとする。
- 一 委員会は委員長が招集する。
- 二 委員会は、委員の過半数の出席により成立する。
- 三 委員会の議事は、出席者の過半数で決し、賛否同数のときは委員長の決するところによる。ただし、人権侵害行為を申し立てられた者(以下「被申立人」という。」に関する不利益処分を行うよう執行部に勧告するときは、出席者の3分の2以上の多数で決定する。
- 委員は、自らと関係のある案件について、委員会の承認を得て、委員の職責を回避することができる。
- 委員および事務局は審議の内容等に関し守秘義務を負う。
(外部相談機関の設置)
第11条
- 委員会は、委員会による審議等にかかる調査等の業務を委託するため、外部相談員等の外部相談機関を設置することができる。
- 外部相談機関は、委員会が委託したカウンセラー、弁護士等のハラスメントに係る専門家によって構成する。
- 外部相談機関は、委員会から委託された業務について守秘義務を負うとともに、調査対象者または第三者に対して調査結果および経過にかかる内容を開示しないものとする。
- 委員会は外部相談機関に対してハラスメント対策に関する助言を求めることができ、また外部相談機関は委員会に対して提言を行うことができる。
第3章 ハラスメントによる人権侵害への対応
(救済の申立)
第12条
- ハラスメントによる人権侵害行為が行われたと考えられる場合には、人権を侵害されたと思う者は、委員会に対して救済を申し立てることができる(以下救済を申し立てた者を「申立人」という)。申立は委員長宛に、直接ないし事務局を通じて文書をもって行うものとする。
- 委員会は申立について、以下に定める所管に従って、同一案件について一回のみ受け付ける。
- 一 国会議員等の言動に対しての申立については、委員会
- 二 各級自治体議員等の言動に対しての申立については、県連対策委員会
(申立の受理)
第13条
- 委員会は、申し立てされた案件については、受理して審議することを原則とする。
- 委員会は、ハラスメント救済の目的に明らかに合致しない申立、例えば虚偽の事実にもとづくもの、特定の議員または候補者を貶めることを目的としたもの、公認等または政策等の決定に関し特定の政治的目的を有するもの、また明らかに無秩序な申立である場合等については、委員会の決定を以て、当該申立を審議しないこととすることができる。
(申立の審議)
第14条
- 委員会は、申立の審議に当たっては、申立人および被申立人の双方から事実にかかる聴取を行わなければならない。ただし、委員会は外部相談機関の調査を以て聴取に替えることができる。
(当事者の守秘義務)
第15条
- 申立人が議員等である場合の申立人または被申立人は、外部相談機関による調査、委員会における聴取等の委員会の審議経過にかかる内容を外部に開示してはならない。
- 申立人が議員等でない場合についても、適正な審議手続を確保するため、委員会は申立の審議中においては、審議経過にかかる内容を外部に開示しないよう要請することができる。
(幹事長への勧告)
第16条
- 委員会は、審議の結果を幹事長に報告する。
- 委員会の審議の結果、被申立人の行為にハラスメントによる人権侵害があったと認定された場合には、委員会は、ハラスメントの解消、申立人の救済、被申立人への対応、再発防止策等必要な措置について、幹事長に対して勧告を行わなければならない。
- 勧告の有無にかかわらず、委員会は外部調査機関による調査、委員会における聴取等の審議経過にかかる内容を開示しないものとする。
第4章 党機関の責務
(党機関の責務)
第17条
- 委員会から勧告を受けた幹事長は、勧告にもとづき、速やかに各種の措置をとるように努めなければならない。
- 幹事長は、必要に応じて、審議の結果や勧告にもとづき行った措置等について、常任幹事会に報告する。
- 常任幹事会が党倫理規則の適用が必要と判断した場合は、倫理規則の手続きに従う。
(守秘義務)
第18条
- 党機関の構成員は、申立人および被申立人等のプライバシーの保護に留意し、知りえた情報について守秘義務を負う。機関の構成員を退いた後も同様とする。
(不利益対応の禁止)
第19条
- 党機関、議員等は、ハラスメントにかかる救済の申し立てを行ったことまたは調査に応じたことにより、申立人または調査協力者にいかなる不利益も科してはならない。
(党機関職員のハラスメント行為への対応)
第20条
- 党本部、県連等の党機関の職員については、本指針の趣旨を踏まえつつ、それぞれの執行機関において指導・監督・処分等を行うこととする。
附則
- 第1条 本指針は、2023年6月7日から施行する。
- 第2条 本指針は、その実施状況を踏まえて、必要な見直しを行う。
- 第3条 本指針の改廃は、常任幹事会の決定による。