政府は、2020年までに各都道府県が設置する地方防災会議の委員に占める女性委員の比率を30%に上げることを目標に掲げてきましたが、2025年に先延ばししました。 現在、都道府県の防災会議の女性割合は16.1%、市区町村では8.8%と低水準にとどまっています。また、女性の委員が1人もいない自治体は21.8%(348市区町村)にのぼります。(※1)

一方、震災が起きたとき、地方公共団体に設置される「震災対策本部」の職員の平均人数は、女性 32.0人、男性 83.4人で男女比にすると女性2.8に対し男性7.2。管理職となると女性0.5に対し男性9.5と、災害時の意思決定にかかわる男女差が顕著になっています(※2)。

「女性と女児は、災害の被害をより受けやすく、脆弱な立場にあります。災害リスクの根本的な要因を追究するには、災害リスクにおけるジェンダー不平等を明らかにし、コミュニティの災害レジリエンス(強じん性)を促進する必要があります」と、国連女性機関(UN Women)は指摘しています(※3)。

防災会議に女性委員が「ゼロ」の279自治体と「10%台」の294自治体の防災備蓄の状況を比較した調査(※4)によると、女性委員が「10%台」の自治体の方が、アレルギー対応食や生理用品、おむつなどの備蓄が充実、洋式仮設トイレや間仕切りについても女性委員が多いほど比率が高くなっています。 また、女性委員が「10%台」の自治体のほうが「ゼロ」の自治体よりも、避難所運営の指針に「女性の参画推進」「女性への暴力やセクハラ防止のための対策」「バリアフリー・ユニバーサル対応」「プライバシーの確保」「こころのケア対策」などの記載がある割合が高くなっています。

内閣府は2020年のガイドライン(※5)で、多様なニーズやリスクへの対応力を高めるためにも、意思決定の場や防災現場に女性を増やすことが重要だと指摘しています。

立憲民主党は、防災計画・災害対応を女性の視点で見直すため、各レベルの防災会議への女性の参画を進めます。避難所運営への女性の参加、女性や性的指向・性自任で困難を抱えている人のニーズ把握や相談に応じる体制整備、知識・経験を有するNPO等との連携など災害対応における男女共同参画を推進します。

(※1)内閣府・地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(2020年度)

(※2) 男女共同参画の視点による震災対応状況調査(平成24年7月)

(※3) 「気候変動に伴う災害リスクにおけるジェンダー不平等への取り組み」(UN Women フラッグシップ・プログラム・イニシアチブ)

(※4) 「防災・減災と男女共同参画 「2017年度女性・地域住民から見た防災・災害リスク削減策に関する調査」報告」東京大学社会科学研究所

(※5) 「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」(内閣府男女共同参画局・2020年5月)